3話:身バレ
3話:身バレ
2人とも泣き止んだ後、
「パチパチパチパチ・・・」
と、ずっと続いてる拍手に愛杜は驚いた。
見ていた人がいる。
この人は・・・。
≪『由崎 祐紀』≫
今のシーンを見られた!
「赤塚愛杜さん。私もあなたを見ていたわ。」
何をいってるんだ、この人は。
確かにこのフラグの回収は必須だから詩杏を振ったりもしたが・・・。
「愛杜君。」
祐紀は少し緊張した声で言った。
「いや、レイヤーネーム『愛羅様。』」
祐紀はまた落ち着きを取り戻すかのように言った。
「見せてもらったわ。これだけ可愛らしい詩杏を振るなんて、貴方、物凄い事しますわね。」
(いや、あんたの方が可愛いし、綺麗なんだけど・・・。)
「そして、私?。ええ、私は由崎 祐紀。あなたのクラスメイトよ。覚えてくれてるかしら。私たちが入学して、まだ2日目ですもの。覚えてないのは無理ないわ。」
愛杜は心の中で、
(いえ、めっちゃ知ってます(汗)。僕はあなたと付き合いたいんです(汗)。)
愛杜は焦ったが何も言わないで、無言でいるより何か言った方がいいと思った。気の利かない言葉を発した。
「いっ、委員長。どうした?。」
心の声は伝わらなかったようで助かった。
「『委員長、どうした』じゃないわ。あなたは詩杏を振ったのよ。これがどういうことか分かるでしょう?。」
「僕もほんとはフラれたようなものだし・・・。」
「だまらっしゃい。貴方はね、貴方はね!尊いの!。眼福なの!。それが分かっていない。貴方程の美少年は簡単には見つからないのよ!。」
(いや、そういうあんたは相当美少女なんですけど・・・)
祐紀はまだ続ける。
「繰り返すわ!。貴方は尊いの!。眼福なの!。」
祐紀はまだ続ける。
「貴方を撮影するために買った一眼レフデジカメ、「Can〇nのEO××〇〇。」、遠くからも撮影できる望遠レンズ。中学生の小遣いで買えるものではなかったわ。「貴方を写す事」が元中学生女子がする趣味としては異常よ!。」
(自分で異常言うな!)
「機械音痴な私が、被写界深度をコントロールできるようになるまで1ヵ月は掛かったわ。少ない容量のSDカードに撮りに撮ってハードディスクに移してはまた撮りまくりよ。そして、1日のノルマは100枚よ!」
(ああ、そうですか・・・。僕と趣味が似ているのかな。なんか段々どうでも良くなってきた。)
愛杜の中で祐紀のイメージが崩れていく。高嶺の花の美少女だと思っていたのに。ガックシ・・・。
「愛杜君。これを見て。」
アルバムだ・・・。
これは、あれだな。写真屋さんで貰える小さな冊子にできる無料のアルバムだ。
愛杜はゆっくり警戒した状態でアルバムを受け取った。
こ、これは!
中を見せられて焦る。これはこれはこれは、これは!!!!。
(物凄い美少女!)
愛杜は絶句した。
そこに写っていたのは紛れもない。
≪『愛杜本人』≫
だった。