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そして僕らは…  作者: マジコ
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そして僕らは… その1

空を鳥型のモンスターが飛び回っていた。その空の下レンガが積まれてできた家々の間を石が敷き詰められている道を俺は進んだ。仕事場に向かう人で人通りは多かった。朝食をカフェとかで済ましている人もいた。この町の住人は朝食を外で食べるという人も何割かいる。俺は自宅で食べる派である。大通りから路地に入って進んだ先に空き地がある。使われることの無さそうな木材が一応積まれて並べられて放置してある。朝からその空き地に俺ら三人は集合していた。


「アーク!」


俺の名前であるアークという名を元気よく口にしたのはアルフィーだ。彼女はこの国の娘にしては珍しく髪を短く切り揃え動きやすい身なりをしている。まるで外遊びに行くために特化したような格好をしているのだ。実際、アルフィーは外で遊ぶのが大好きな奴である。この王都から離れている町とその周辺はアルフィーにとっては楽しく自由に闊歩できる遊び場なのである。


「朝から元気な奴だなぁ。」

「こんないい天気の日は元気になるわよ。」

「お前はいつだって元気だろう。」


アルフィーの屈託のない発言にドニーが突っ込む。


「こういう日は余計に楽しいのよ。暖かくて気持ち良い朝じゃない。」

「ふわぁ、僕は眠いよ。」

「ドニーはわかってないわね。こうして良い気候の日にみんなで集まって遊ぶのが良いのよ。ドニー、わくわくしない?気の置けない仲の友達と集まるの?」

「楽しくないと言ったら嘘だけど。」

「でしょ!今日は何して遊ぼうかなぁ。」


アルフィーは大層ウキウキしていた。無邪気というかまさしくお転婆という言葉がぴったりであった。


「朝からテンション高いな。」


俺は溜め息をして言った。こいつの明るさには疲れる時がある。一度、朝から晩まで連れ回されて家に帰る頃にはバテバテだったこともある。ドニーと俺が疲れはてているのを尻目にアルフィーはまだまだ遊び足りないような様子だった。その時、何故か俺はああアルフィーには逆らえないなと思ったものである。


「アークはテンション低いはね。いつもならやる気満々熱血漢なのに。」

「確かにアークにしては珍しいね。ふわぁ。」


ドニーが欠伸をしながら指摘する。


「朝からそのテンションでいたら死ぬよ。ドニーだって眠そうじゃないか。」

「ドニーはいつもこんなもんよ。」


そう言うとアルフィーはドニーの両頬をつねった。


「痛いよアルフィー。」


その様子を見ていたら俺は可愛い奴等だなと思った。


「はは!」

「何が面白いんだよアーク。」


ひりひりするのかドニーは頬を擦りながらじろりと俺を睨んできた。助けずに笑っていたことが、気にくわなかったようだ。


「ドニーがアルフィーにつねられているのを見るのは愉快だなぁと思ってな。」

「くそ!」


ドニーは俺の右頬をつねってきた。俺もやり返そうとドニーの左頬をつねった。そのまま取っ組み合いの喧嘩となった。それを見て笑いながらアルフィーが止めに入った。


「もう、二人とも喧嘩は駄目よ。落ち着いて。」

「アルフィーが最初につねったんだろ。」


そう言ってドニーはアルフィーの両頬をつねった。


「い、痛いわ。」

「ドニーそれぐらいにしておけ。流石に女に手を上げるな。」


俺がドニーを宥めるとドニーは渋々といった感じでアルフィーの両頬から手を離した。アルフィーは頬を擦りながら頬を膨らました。


「もう!乙女に暴力ふるうなんて男の風上にも置けないわ。」

「お前は挑発するなよ!」

「あっかんべー。」


俺が宥めてもアルフィーの調子に乗った言動は続いた。俺一人ではアルフィーを落ち着かせられないと思い俺はドニーに助けを求める視線を送った。しかし、ドニーは放置されている木材に寝転び気持ち良さそうに寝始めていた。自由な奴だ。


「ドニー!」


俺が大声でドニーを起こす。しかし、ドニーはすやすやと眠りに着いていた。相変わらずマイペースな奴だ。あてにならないドニーから視線を外し、眉間に皺を寄せた俺はある提案をした。それは町から出て近くの森へと探険に行こうではないかというものである。アルフィーなら絶対に乗ってくるそう確信していた。こんな活発な人が乗らない話ではないと考えている。案の定アルフィーは乗ってきた。


「それは面白そうね。そうだミニウサギ狩りに行かない?」

「それはいいな。」


ミニウサギとはこの辺り一帯に生息する小型のモンスターだ。繁殖力が強くゴキブリ並みとの意見もある。瞬く間に増えるのだ。でも、危険性はないと言える。戦闘力は皆無で子供でも簡単に捕まえられる。森の狩人が最初に捕まえるモンスターでもある。そして、焼いて食べると美味い。さっぱりしていて食べやすいのだ。真偽は不明だが薬草を食べさせて育てたミニウサギは病に効果があると言われている。市場でもまるごとでよく売られている。ポピュラーな素材なのである。毛皮も利用され冬の時の毛皮は防寒服へと使われる。ミニウサギは大量に捕れるので毛皮の流通量も多く、安価である。だから庶民の冬の季節の定番の服となっている。今日はそれを狩りに行こうと俺は提案をしているのだ。


「だろ。」

「ミニウサギの肉は美味いからなぁ。」


俺は可愛らしいミニウサギの姿と美味しそうな料理になった盛り付けを想像して何だか気持ち悪くなった。変な想像させるなと俺は思った。


「じゃあ、これから出発ね!ドニーも行くわよ!」

「うーん。」

「ほら、ドニー起きなさい。」


アルフィーから体を揺さぶられ大声で呼ばれてもドニーは起きようとしなかった。しびれを切らしたアルフィー(とは言っても数分待っただけ)はドニーの腹を思い切り殴った。


「げほげほ!何をする。」

「起きたわねドニー。さぁ、出発よ。」

「人の質問を無視するな。」

「アークも早く行きましょ。」

「俺に人権はないのか。」


ドニーが呻いていたが、俺は出発前に準備をしてからの方が良いと提案した。アルフィーは早く行きたそうだったが、それは近所とは言ってもモンスターの生息する森。用心した方が良いとアルフィーも思ったようだ。

まだ、不満を口にするドニーにアルフィー、俺の三人は一旦解散した。その後、昼食やポーションなどを鞄に入れて俺は集合場所の空き地に戻ってきた。母に今日は近所の森まで足を伸ばすと言ったら気を付けるようにと注意された。そして、ミニウサギを捕まえてきたら今日はミニウサギ料理の数々作ると意気込みを語っていた。俺は苦笑しながら頷いた。到着すると既にドニーとアルフィーがいた。


「二人とも早いな。」


あのマイペースなドニーが遅刻しないとは。学校ではいつも2時間目に来たりする奴なのに。そして、アルフィーはまぁ、乗り気の時の身軽さには定評がある。


「アークが遅いのよ。」

「そうだそうだ。この俺より遅いなんてたくしっかりしてくれよ。」

「まぁ、確かに遅刻ではないが、待たしたのは悪かった。でもなドニーには言われたくない。」


そう俺は言うとドニーの頬をつねった。


「いたたたたた!何しやがる!」


ドニーは勢いよく俺の手を払いのけた。そして、後ろに下がり臨戦態勢の構えを見せた。


「このやろうよくも俺のやわ肌の頬をつねりやがったな!」

「おっ!やるかあ。」


俺も態勢を整え喧嘩の姿勢を取った。ドニーと俺は親友であるが故か、よく喧嘩をする。2、3日に一回のペースでする。そして、大体アルフィーが仲裁する。


「二人ともそんなくだらないことで喧嘩をしないの。」

「「だってこいつが!」」


俺とドニーはハモった。


「「はは!」」


そして、互いに笑いあった。これで今日の喧嘩は終わりである。いつもアルフィーの仲裁で互いに可笑しくて笑いあいさっきまでの怒りを流すのだ。決して蒸し返さない。それが今の俺たちのルールである。


「じゃあ、出発しましょう。」


アルフィーの号令で俺たちは町から程近い森へと探険に向かった。

この町の周辺にもモンスターはたくさん生息している。でも、危険性は低い地域である。スライムとかミニウサギなど駆け出し冒険者が武器の使い方の練習に狩られるぐらい弱いモンスターしかいない。だから子供だけで行っても何ら危険はない。むしろモンスター側が子供相手でも警戒して近寄らないのである。

町の外へと向かって俺たちは歩いた。この町には城壁がない。作る必要がないのだ。先程言った通りこの地域のモンスターには危険性が低いのである。

町は各々の仕事に取りかかり始めて忙しい空気が漂っていた。町の子供たちは俺たちのようにグループを作ってそれぞれあそんでいる。子供にも派閥があるのだ。俺たちはアルフィー閥で弱小勢力である。町の大きな公園ではいちゃもんつけられるのでいつも今日の朝集合した脇道に入ったところの空き地で遊んでいる。

町の唯一の名所の大聖堂の前を通過し、買い物客で賑わう市場を抜け、南側の町の外へと出た。町の回りは草原が広がっている。スライムやバットンなどの雑魚モンスターが生息している。町の南側に出て西を見ると森が見える。そこがセレスの森で目的地だ。

俺たちはアルフィーを先頭に森へと向かった。この辺のモンスターを倒すのに武器はいらないし、もしもの時はアルフィーが魔法で撃退する。だから、のんびりと俺たちは歩いた。天気も良いのでドニーは空を見上げて心地良さそうにしている。 アルフィーは鼻唄混じりに歩いている。俺も気分良く歩いている。

バットンが遠くを飛んでいるのが見えた。あれは唐揚げにすると美味いんだよなぁ、ちょっと捕まえに行こうと思ったが、どんどん俺たちとは逆の方角に向かって飛び去っていた。惜しいなと思ったが今日はミニウサギ狩りだ。持ち帰って母に美味い料理を作ってもらおう。

町からセレスの森は近いので昼前には森の入り口に到着した。危険性は低い森とはいえ一応監視小屋がある。監視小屋はかなり昔からあるようでもうだいぶボロボロである。それが良い味を出していると思えなくはないが、やはり貧乏そうでダサい。監視小屋の主人はモーリスのじいさんだ。


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