嘘と真実
少しでも興味を持っていただきありがとうございます。気まぐれで書いた短い短いお話、というより、思い、です。
深夜2時に布団の中で、いつからか弱くなってしまった自分と重ね合わせていただけたら、と思います。
言葉にしなければ相手には伝わらない。そんなことは重々承知だけれど、素直になることが苦手。例えば、好きだというその2文字を簡単に言葉にすることが出来ない。私は自分に自信がなかった。
「今何してるの」
「漫画読んでる」
「俺はバイト終わった」
「お疲れ様」
「すごい眠たい」
「明日も早いの?」
「うん」
「そっか」
「じゃあ、おやすみ」
「おやすみ」
彼からすれば他愛もない会話なのかもしれないけれど、私の中では心が躍るほど楽しい時間。「秒単位の返信」に私は安心を感じ、「おやすみ」の一言にもう終わりか、というもの悲しさを感じる。まだ明日になっていないのに、明日連絡が来なかったらどうしようという不安に駆られ、明日もまた私を愛して欲しいという欲望を胸にする。私の荒れた感情などお構いなしに朝は来る。
「おはよう」
「おはよ」
「今度の休み、どこか行きたい所ある?」
1番苦手な質問。本当は貴方と一緒ならどこでもいい。そう言いたい。貴方に嫌われない返信の仕方を教えてほしい。私が行きたいところに貴方は笑顔でついてきてくれることくらい分かってる。でも怖い。私は貴方が発する言葉1つ1つに過剰反応してしまうほど貴方のことが好きなのだ。興味がなかったらどうしよう。嫌いだったらどうしよう。マイナスな感情だけが私の頭に浮かんでしまって結局何も言えなくなる。
「どこでもいいよ」
1番言ってはいけない言葉を私は毎回毎回、使ってしまう。
「分かった。考えておく」
「ありがとう」
本当の言葉を彼に伝えるのが私は怖い。どう思われるか、そんなことばかり考えてしまう自分が嫌い。自分を否定すれば、私を好きだと言ってくれる彼を否定しているような気がして辛い。
私は自分の意思を伝えられず、彼に甘えてしまっていた。彼なら分かってくれるだろう、彼ならこんな自分でも愛してくれるだろう。そう思っていた。違った。間違いだった。彼は人間だった。私と同じ人間だった。私が言葉にしない思いを知るはずもなかった。
「幸せにしてあげられなくてごめん」
最後にそう言った彼の後ろ姿は、見たことのない後ろ姿だった。幸せだった。私はとても幸せだった。涙を流してしまうほど素敵な映画も、生クリームがたっぷりのった美味しいケーキも、写真を撮るのを忘れてしまうほど綺麗だった景色も、私は全部、貴方に伝えたかった。私は、嘘を吐いていた。本当は一緒に水族館に行きたかったよ。本当は一緒に有名なオムライス屋さんに行きたかったよ。今更だけど。全部全部、今更だけど。伝えておけばよかったかな。伝えたら何か変わっていたかな。本当は大好きだったよ。私のところからいなくなる前に伝えておけばよかったな。なんてね。本当に今更すぎて笑えてくるね。でも、貴方が私のところからいなくなったとき、明日が来るのが怖いと思わなくなった。貴方から愛されない明日。貴方から連絡が来ない明日。そんな明日を嘘まみれの笑顔で生きていけたなら、私は本当に強くなれる気がするから。
意味がわからない、そんな文章だったかもしれません。それでも何故か書きたくなった、誰かに届けたかったのです。最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。