枯れた太陽
当たり前のように訪れていたものの喪失。
朝が来て、昼が来て陽が沈み、やがて夜になる。
毎日繰り返し、それが当たり前だと皆が異口同音に言うだろう。
ひとりの詩人が呟いた言葉がある。
「 太陽というのは、人々の希望で生きている。
希望が絶望に優っているからこそ、太陽は地を照らす。
故に、絶望が優れば、太陽は枯れて死する。ただ、夜の闇が残るだけだ。 」
そう言い残して去った詩人の名を、我らは誰も知らない。
時は止まることを知らず
残酷なまでに正確無比な時計の音が、一瞬だけ止まったときに
この世界の太陽は枯れた。
人々は戸惑い
貧民も平民も偉い人も我を忘れて慌てふためいた中、
真っ暗な都会の街中、
顔をフードで覆ったひとりの男は
更に己の顔を隠すように強くフードを引っ張り
大地に一雫の涙を落として、静かに静かに、闇の中に消えていった。