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9.
いつの間にか眠っていたらしい。私はソファの上で目が覚めた。
ケータイのアラームが不愉快な音を立てて暴れている。
「うるさいな」
そう手を伸ばして、アラームを切った。
昨日のことはあまり覚えていない。
まるで夢を見ていたような不思議な感覚だった。
私はキッチンに向かって歩く。
なぜか四足歩行をしそうになったけど、そこは理性でコントロールした。
台所にはおとといの晩ごはんのおかずがある。
まだ食べてなかったっけ?
そう不安になりつつも、悪くなっていないことを確かめて、レンジでチンする。
いつもは朝ごはんは食べないけど、今日は空腹でおかわりまでした。
おいしいものを食べて、おいしいと思う。
当たり前のことなのに、涙が出るほどそれがうれしかった。
今日は学校が楽しみだ!
そう制服姿を鏡台でチェックして、玄関のドアを開ける。
なんでこんなにわくわくするのか、自分でもわからなかた。