傲慢
すいやせん…リアルが忙しいもので
「……っかはっ…!」
目覚めた途端、僕は跳ね起きた。
何かとてつもなく悪い夢を見ていた気がする。
神とか言う変態野郎にもう一人の僕を救えとかなんとか…。
……ん?
「ここ…どこ…」
見たことのない物に包まれた空間。正直居心地が悪い。
机や椅子などの使い方はわかるが…ガラス張りの机なんて見たことも無い。脆そうで使いたくはないな。
色のない部屋だ。面白みのない部屋。
ーーやっとお目覚めかい?
神と名乗った奴の声が頭の中で響く。姿は見えない。
「お前…ここは一体どこだ」
どこに向けてるか自分でも分からないが、睨みながら聞いた。
ーーここは、あの子のいる世界のこれから君が住む場所だよ。
神は特に気にした様子もなく静かに答えた。正直ムカつく。
「そいつは今どこにいるんだ」
あの子って一体誰だよ…もう一人の僕ってどんなやつなんだ。
そんな思いを全部確かめるために場所を聞いた。
ーーその前に、君は今この世界の知識を全く持っていない状態なわけだ。だから僕が、特別の特別な特別に君の中に基本的な知識とガイドを埋め込むよ!
「は…?…ぅあ…!!!」
最後ノリノリで言ったの一生恨んでやる…。
そうは思えど、何も考えられないくらいに頭を鋭い痛みが襲う。走馬灯のように知識が僕の中に入り込んでるのが分かる。そしてその痛みに耐え切れず、僕の意識は深い闇の中に落ちていった。
暗くて錆とカビの臭いが充満した汚いところが、僕の生まれた世界だった。
幼かった僕が跳んでもその景色を見ることの叶わなかった窓というものは、九つの歳になるころには、背伸びをしてやっと見えた。けれど、その窓から見える景色の変化はいくつになっても二種類だけだった。雨が降るのか、降らないのか。いつだってそこから見える空は曇天だった。けれど、その時の僕にはそれだけで充分だった。