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第六話〜恋〜
私は私を助けた男がいるらしい家の前に立っていた。
その家は他の家よりも少し豪華な造りになっていて、どこか優雅さを感じられた。
「ここに私を助けてくれた人がいるのね。お礼を言わなくちゃ」
そう呟いたとき私は神様の言葉を思い出した。
ーその人に猫だと知られたら魔法は解けてしまいますー
魔法が解けちゃう…いや、元々私はお礼を言って猫に戻るつもりだったんだ。むしろ解けてくれないと困る。
でも…
人間の姿で見るこの世界はとても素晴らしいものだった。
それに…あの人ともう二度と会えなくなることを思うと胸が苦しくなる。こんな気持ちは初めてだ。そうか、これが、恋というものなのかな。
猫に戻りたくない!
そう思ってしまう…
でもいつか戻るときは必ず来る。それなら…
私は彼に会うことにした。そして全てを話す。この気持ちも込めて…
次回最終回!