第四話〜人間に〜
目が覚めた。体の感覚がいつもと全く違う。
私は自分の願いが本当に叶ったのか確かめるために神社の池に向かった。
上手く歩けない…いつものように歩けない…
なんとか池までたどり着いた私は池の水を覗き込んだ。
そこに写っていた私の姿はー
人間になった私の姿…………ではなくいつもの黒猫の私だった。
えー!変わってないじゃん!
ー私の願いは人間になることだった。人間になれば私を助けた人間に会えると思ったのだ。
…でも、それならいつもと全然違うこの体の感覚はなんだろう。
今度は自分の目で自分を見てみた。
全身の黒い毛は生えていなかった。手足は長くなっていた。尻尾はなくなっていた。頭の上にあった耳は横に付いていた。
私は人間になっていた。
“気がついたようですね”
私に魔法?をかけた神様が話しかけてくる。
“願い通りあなたを人にしてさしあげました。ただし、人の姿に見えるのは直接あなたを見たときだけです。水面や鏡に写る姿、写真に写る姿はあなた本来の姿で写ります。そしてあなたの探し求めている人に正体がばれたとき魔法は解けてしまいます。”
つまり相手が猫だと気づく前に助けてくれたお礼を言えばいいってことね。そして、私が猫だとばれて猫に戻る。よくできた魔法ね。…ん?間接的に見た場合、猫に見えてしまうことに意味ないわよね?
“まあ、そうですね。でもゲームは障害があった方が楽しいでしょ?”
えー!ゲームとかじゃなくてただお礼言いたいだけなんですけど!
“まあまあ、それじゃあ人間の世界を楽しんで来てくださーい!あっ服は特別にサービスしておきましたよ。女の子が裸で街ふらついたら問題でしょうから。じゃあ改めて、良い人間生活を!”
変わった神様だ…
私はそう思いながら神様からいただいた服を見た。
結構可愛い服だ…
私は早速私を助けた人を探そうとしたが、上手く立つことができない…
まずはこの姿に慣れないとだめね。