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第53話 お騒がせ颱風(タイフーン)の来襲 4

さて年始二回目の更新!エピソード『お騒がせ颱風タイフーンの来襲』の4をお届けします。体調があまり良くなくて、更新分の内容が纏まらず遅くなって本当に申し訳御座いませんTT。

今回は年末と初めてのお正月のほのぼのエピソードを目指しています。それが上手く表現出来れば良いのですが。最後まで読んで頂けると嬉しいです。面白かった時はどうぞ宜しくお願い致します。

評価やブクマ登録など貰えると凄く嬉しいです。最近は少しづつ増える事もあり、少しだけ書いていて良かったと想う事も有りますが、更に登録貰える様頑張りたいと思います。

どうか最後まで宜しくお願い致します。

「蒼、私はコーラとサイダーと、母さんと泰菜はお茶だ。それを頼む!」


 電車の座席に座り、真勝が立ち上がった蒼に頼んでいた。

 新幹線の中である。窓の外には200キロ強のスピードで景色が過ぎていく。家族全員とブリュンヒルデで島根県は出雲大社への旅の途中であった。


「え~、また俺が買いに行くのか~?」


 そう言いながら立ち上がっていた蒼が1人ごちた。トイレに行くと言っただけなのに直ぐに父親の真勝に頼まれたのである。


「やれやれ……」それを聞くと、泰菜が顔をあげる。「1人で買い物も行くのが嫌なら、たまにはアニキ孝行をしてやろうか……」とそこまで1人思って立ち上がろうとした時だった。


「ブリュン、一緒についてってくれる? 売店の場所も教えてあげたいから」


 めんどくさがりな兄の声を聞いて、泰菜の身体がそこで止まった。「なんだ、アニキのやつ」少しジロッと見たら嬉しそうにブリュンヒルデが立ち上がって二人で歩き出すのが見えた。

 自分1人で行けばいいものを、わざわざブリュンヒルデまで連れて……と思いながら見ていた。ま、自分が手伝わされなくて良かったのだが、なんともすっきりしなかった。


 そのふたりの後姿を、少しの間泰菜は見つめていた。




 やがて、途中の大きな駅で列車を乗り換えて最寄り駅の温泉街に降り立った。


 頼んでいたレンタカーに乗り換えて、そこからお城や湖を見に行く。目的地の出雲大社までは時間が少しかかるため、その日は街を見学し、翌日の予定になっていたのである。


 湖の遊覧船に乗る時も、蒼がブリュンヒルデの事を気遣い色々と説明をしていた。

 確かに日本での生活がないため、兄が説明をするのは判るのだが、ブリュンヒルデの国でも遊覧船くらいはあるだろう。説明など必要なのだろうか?

 泰菜はその過保護ぶりに、兄の世話好きの性格が出過ぎだと心の中で嘆いてみた。


 クルーザーで眺める夕日は最高に綺麗で、茜色の空に五人は暫しの間見とれるのであった。

 だが、そこでも夕日を眺める兄の関心は主にそれを見るブリュンヒルデとの会話で、やれ綺麗だとか、風が冷たいからコートを締めた方が良いだとかとやはり過保護発言が目立って、海外帰りの彼女には少し気に障るものだった。「いつから日本の男はこんなに軟弱になったんだっけ?」



 そこから宿泊する温泉旅館まで車で向かって到着した。


 沢山の旅館の仲居さんに出迎えられて蒼たち一家はのれんをくぐった。大きな温泉旅館である。店の外や見える川べりにも足湯なるものがあって、まず宿に荷物を置くべきなのだろうが、そのまま全員で足湯に入りに行ってしまう始末。そうゆうのを一番にやり始めるのが有風の為、いつも蒼と真勝が荷物を持つ羽目になるのだが。


「蒼さま、ここ凄く気持ちいいですよ! さぁ入ってください」


 しかし、ブリュンヒルデが振り返って言った物だから、荷物持ちが途端にひとりになってしまう。「おい現金すぎるだろ、息子よ……」真勝の声も聞こえないようであった。


 夜になると素晴らしい温泉に入りに行った。


 そこで男湯と女湯に分かれたのだが、出てきた後のブリュンヒルデの浴衣姿を見た時は蒼が心臓が止まるようであった。その姿を見た蒼が声を出せないでいた。揚げた髪に艶やかなうなじが見えていた。少し上気した顔にほんのり石鹸の匂いがして、目の前に立っていた彼は目をパチクリするばかり、あれ、完全に息をするのを忘れてるみたいだった。


「おい、あまりブリュンちゃんばかり見ると、変態だと思われるぞ……」困り顔で横の真勝がからかった。しかし、大人の真勝から見てもブリュンヒルデの浴衣姿は反則に近い物があるのはその表情でわかる。(まあ、確かに高校に通って居ますが本当は違うただの女神様ですからね。普通の女性とは比べ物にならないでしょうねぇ)


「わぁ……」そこでようやく声がでた。


 しかし、そこで黙っていられなくなったのは泰菜であった。


「あまり鼻の下伸ばしてるとブリュンヒルデさんに嫌われるぞ、エロアニキ! 少しはしゃきっとしろ」肘で彼の脇腹を鋭く突いた。


 その鋭い肘鉄にグッ短く呻いたが、それでも逃げる泰菜を追おうともしないで、蒼はブリュンヒルデの姿に見とれてるのであった。


「こりゃ、蒼ちゃんはメロメロみたいね……。親子揃って、女の人には弱いのね?」有風が困り顔で蒼と、そして真勝の顔にゆっくりと視線を回すのであった。


「こりゃ酷いな、母さんは!」


 真勝は頭を書きながら笑うのだったが、泰菜は1人離れた場所でそれを冷ややかな目で見ているのであった。



 食事の後は温泉卓球。


 負けた方が肩揉み権利をかけて戦い、見事女性軍の勝利であった。

 本当は、蒼や真勝の方が強いので手を抜くはずだったのだが、ブリュンヒルデが思いのほか上手く、男性二人の本気のスマッシュを打ち返して、隣でやっていたほのぼの一家の度肝を抜いていた。


「じゃ、仕方ないから肩を出せよ! 疲れてるんだろうから」部屋に戻ると、早速旅行疲れの出ているので、肩揉み権利が発動するのであった。


 負けたチームである蒼は泰菜に近づいて軽く笑った。まさか負けるとは思っていなかったが、負けたものは仕方ないと海外帰りの妹の苦労を労ってあげるつもりだった。

 何も恥ずかしくはなかった。既に横では有風の肩を父親が楽しそうに揉んでいたのだから。それにその後には絶対にダメだとは言ってるが、ブリュンヒルデが控えてるのである。ひょっとしてダメな物は、自分かも知れないな――と少し想像してみたりして。


「いや良いわ。お父さんにやって貰うから……」 


 だが、スーっと目の前を妹の姿が通り過ぎた。


「え……?」


 いつもなら「おお、頭が高い! 控えおろう」と言わんばかりにふんぞり返り、肩を心行くまで揉ませる泰菜がその時ばかりは澄ました顔で通りすぎて行くのであった。


「なんなんだ、おい……」少し変な感じに彼はその姿を見つめるのであった。


 ならば後はする事は一つ。

 振り返る蒼が両手を腕まくりしてブリュンヒルデを見ると、ブリュンヒルデは有風と真勝と輪になって三人で肩を揉みあって居るのであった。


「なんでそうなっちゃうのかな?」


 いきなりの悲劇に悲痛な声を上げる彼の声を聞くと、ブリュンヒルデが一言そう言うのだった。


「有風お母さんが揉んでくれると言うので勿論お断りしましたが、蒼さまにされると危ないからと言うことで、仕方なくして貰っています。蒼さまにさせる訳には行かないのですみませんです」


 想っているが故にそうしたのである。

 しかし、「想ってくれるなら、逆に肩揉みをさせてくれれば僕は幸せになれるのにーっ!」温泉街の夜空に蒼の心の叫びだけが、惨めにこだまするのであった……。




 翌朝、出雲大社にいよいよ向かうという時、その異変に蒼は気付くのであった。


 泰菜に渡した水を彼女が受け取らなかったである。

 そう言えば、前日の夜も肩揉みの時おかしかったと記憶があった。


「あれ、俺何かしたのか……?」


 じっと見つめていると、泰菜がその視線に気が付いた。


「おいお前、何か怒って……」


 だが、全てを言い終わる前に泰菜が先へ進んで借りたレンタカーの中に入って行ってしまった。


「いったい何だって言うんだ」蒼も少し憮然として、車に無言で乗り込むのであった。


 しかし、車の中では泰菜は至って普通で居た。

 真勝や有風と話しときやブリュンヒルデと接する時も可笑しな所はなかった。

 蒼にも普通に話しかけて、笑う顔もしていた。

 だが、それの何処かが何かおかしかったのであった。


 明らかにいつもとは違う表情を、時折するのが蒼には府に落ちないのであった。


 それでも一行は目的地に付くのであった。


 車を近くの駐車場に止めると、大きな鳥居からすすむのであった。


 お社がある二の鳥居から入り、本殿を拝んだ。


 沢山の人で賑わう中を進むと、大きな注連縄が下がる場所でみんなで参拝する。東京で拝んだ場所とはまた違う雰囲気の中、拍手の回数が違うなど戸惑いながらみんなで笑いながら神様の総本山でお参りをするのであった。


 思いくじを引き、それを見せ合いながらお守りもかった。


 参拝も終わり、今度はその先ほどは急ぎ足で回った社までの道のりにあった土産物屋などの店に行こうとなった。


 しかし、すぐに真勝と有風は疲れたというので、喫茶店に二人を残し子供だけで回ってくるように言われ、蒼は少し嫌な予感がした。泰菜の態度がやはりおかしかったからである。朝から微妙に会話をしては居なかったのである。

 だが、逆にその事を話すのに良い機会かもしれなかった。


「判ったよ。行こうか、泰菜も……」


「…………」


 何も言わずそれにしたがって店を出る3人。


 しかし店を出ると同時に、泰菜はすぐに態度を表面化するのであった。

 すぐに先を1人で歩き、後ろからついてくる蒼やブリュンヒルデの子とは見ようとはしていなかった。さすがにブリュンヒルデまでもそれには気が付いた。


「おい、さっきからなんだ。何かあったのか?」


 その言葉に、少しだけ泰菜は振り返った。しかし、足は止めない。振り返り目を細めて蒼を見たが、何かを言う訳でもなかった。だが、やはり何も言わない。反対に何も言わず足を速めるのであった。


「全く、困ったヤツだ……」


 そこで泰菜の姿が信号の傍の店を曲がった。すっかり隠れるようなスピードであった。

 大通りでそこから土産物屋が多く立ち並ぶ商店街になり始まりの所であった。

 何を怒ってるのかは判らないが、何か気に入った物でも買うしかないだろうか?

 蒼は、傍にいるブリュンヒルデを見て困った顔を一つした。そして、泰菜が進んだ商店街の始まりの信号を曲がった。


 だがしかし、そこに泰菜の姿がなかったのである。


「え……?」


 見れば、それほど多くも無い人ごみの中、泰菜の姿は何処にも見当たらないのであった……。

最後まで読んで頂けて有難う御座います。

面白かった時は評価やブクマ登録も併せて宜しくお願い致します。

ここまで読んで頂いて本当に有難う御座いました。

ではまた、次回の更新で^^。

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