第13話 ミッドガルドの長い夜 6
蒼とブリュンヒルデは商店街を抜けて、昨日も向かった学校裏の丘を目指していた。
さっき聞いたフェンリルの声は、やはり誰も聞こえて居ないようだった。
すれ違う人は誰も慌てた様子も無く、いつもと同じ日常の時間を過ごしている様である。
ただ、再び暗雲が昨日と同じように広がり始めたので、皆口々に天気予報が外れたことなどをぼやく声が聞こえて来るだけだった。
やがて、商店街から離れ丘へ続く道に差し掛かるとき、疲れて歩き出した蒼が、天に現れ始めたフェンリルの姿を認めた。
かなり高い所に居るのだが、点のように見える米粒大のフェンリルもまた、蒼がブリュンヒルデと自分の所へ向かってるのを見つけてるようで、こちらを見ているのが分かった。
「見たところ、昨日と同じ姿ですが。あれほど殴り飛ばしてあげたのに、まだ懲りてなかったみたいですね……。」
フェンリルを見上げたブリュンヒルデが蒼の横で呟いた。
言うとおり、フェンリルは昨日見た時と同じ、可愛い中学生ぐらいの女の子の姿をしていた。伝説に聞く、巨大な狼の姿はする気が無いのか?それとも、その姿でも勝てる秘策を今日は用意してきたと言う事なのか……?
「では、今日はもう二度と地上を侵略したいと思わないように、キツク叱ってあげる事にしましょう!」
ブリュンヒルデは、天から呼び出した自分の鎧と武器を一瞬で身につけて、空に浮かぶフェンリルを見つめるのであった。
「あ……?」
だが、フェンリルを見上げる二人の視界に、空の端から何かが現れるのが見えたのである。
それは、人であった。
金色の兜を被り、同色の甲冑を身に纏った人が、雲間からいきなり現われ、空の中を何かを探すようにキョロキョロと頭を振って居るのであった。
手には、金色に輝く楯と、身体に似合わないほど大振りなランスを従えていた。
……と、フェンリルを発見すると、その方向へ向かうのであった。
蒼以外の勇者と言うのか……?
「誰だろ?……」
蒼はその様子を見て、横で空を見つめてるブリュンヒルデに聞いてみた。
だが、初めブリュンヒルデは知らないといった仕草で蒼に首を振ったが、ある一点を見て何かを思い出そうとした。
「あのアイギス(山羊革楯)の飾り……。ゴルゴンを着けてる?」
「ゴルゴン?」
蒼はブリュンヒルデの漏らした言葉を聞いてみた。
「ゴルゴンはペルセウスが斃した、見る者を石に変えてしまうという女の怪物です。蛇の髪の毛が生えていて、翼を持っている、かなり手ごわい相手です」
まるで戦ったことがあるみたいな表現で、蒼はそんなブリュンヒルデの横顔を思わず二度見してしまった。
「そのゴルゴンの付いたアイギスを持っているということは、恐らく彼女は……」
ランスを構えたその甲冑の戦士を見つめ、ブリュンヒルデは静かに説明するのであった。
そのアイギスを手にした女性がフェンリルを認めると、急に加速して中空に浮かぶフェンリルへランスを構えるのであった。
フェンリルはいきなり現れた、金色の甲冑の戦士を目にしてフッ……と少しだけ笑った。
バシュッ!
光のような速さで一気に打ち出されるランス。
しかし、その速さよりも早くフェンリルは別の場所に転移して、金色の戦士を見下ろすのであった。
「何物だ? これからこのミッドガルドを殲滅するのだ。お前と遊んでる暇は無いのだがな」
小さい身体のフェンリルが、金色の戦士を見下したように言い放つ。
「その減らず口、今すぐ叩けないようにしてくれるわっ!」
返す言葉と同時に、火の吹くような攻撃がその戦士のランスから繰り出される。
目にも止まらぬ速さで貫くランスの攻撃が、一瞬で数十回フェンリルの居る場所へ突き出されるのであった。
そして、それを避けられると、巨大な槍先を返しながら、横から縦へと、縦横無尽に華麗な攻撃を目の前のフェンリルへ叩き込むのであった。
だが、その攻撃の全てをフェンリルは髪の毛ひとつ乱さず、軽々と避けてしまうのであった。
「!」
自分の渾身のランスでの突きが彼女の手の持った杖に食い止められたのである。
目をむいて、フェンリルを見つめる金色の戦士。
「その程度の力で私に戦いを挑むのか? 愚か者め」
不意に呟いたフェンリルの杖から強大な咆哮が噴き出して、金色の戦士が吹き飛ばされた。
地上に向けて弾き飛ばされる金色の戦士。
あまりの力の差に、戦士は弾き飛ばされる力に耐え切れず、地上へ激突しそうになった。
ガシッ!
その身体を、ブリュンヒルデが受け止めた。地上へ僅か数メートル。
受け止められて、ブリュンヒルデに驚く金色の戦士。
かなりの衝撃だったのか、それとも自分がこんなにも簡単に弾き飛ばされたのが信じられなかったのか、戦士はブリュンヒルデの顔を見て、しばし、動けず周りを見るばかりであった。
「大丈夫?」
蒼が、戦士を抱いて降りて来たブリュンヒルデに聞いた見た。
「人間?」
すると、金色の戦士は自分を抱くブリュンヒルデに気付いたのかその場から身をお越し、再び戦闘の構えをして、蒼達の上に留まるのであった。
「大丈夫よ、人間。私の名は、アテナ。この地上を殲滅すると言った者を斃しに来てあげたわ。もう心配しなくても良いわよっ!」
その見上げる宙に浮かぶ、”アテナ”が蒼に言い放った。
「アテナ……って、あのオリュンポスの女神の?」
「そう!」
アテナは自分の名を知られていて、少しだけ誇らしげであった。
「やはり、その勇姿アテナ様だと思いました。金色の鎧にアイギスが覚えが有りましたから……」
ブリュンヒルデは宙に浮かぶアテナを知っているようであった。
しかし、その名を呼ばれたアテナはブリュンヒルデを訝しげに見て、言葉を発したのであった。
「助けて貰ってすみません。けれど、あなたはなんと言うの? 恐らく初めて会ったと思うけど……」
「はい。ブリュンヒルデと言います。この戦士様の戦女神です!」
そう嬉しそうに蒼を手で示して言うのであった。
「……」
ブリュンヒルデの言葉に、信じられないという顔をして蒼を一度だけ見た。
「なら、助けてもらったついでに悪いけど、あの化け物はなんというか知ってるかしら?」
アテナはフェンリルを指差してブリュンヒルデを見た。
すると、スっと真面目な表情になったブリュンヒルデが静かに、フェンリルを見上げて説明するのであった。
「あれは、フェンリルと言う巨人族の狼です。予言では、最後の戦いで王である我が父を飲み込むと言われている者です。アースルガルドで閉じ込めていましたが、戒めを解いて、この地上を殲滅しに来たと言っていますが……」
ブリュンヒルデは静かに説明したが、蒼は、ブリュンヒルデが見せたその複雑な表情を見逃さなかった。
「あなたの父王を……? なら分かったわ。それならば、尚更この場であの怪物を始末して置こう。あなたたちは離れて居て!」
アテナはそう言い放つと、蒼とブリュンヒルデから目を逸らして、フェンリルを見上げるのであった。
アテナが目を向けた空の中から、フェンリルがゆっくりと降りてくるのが見えた。
余程の自信が有るのか、まるで動じない様子でフェンリルはアテナを見下ろして、地上近くまで降りてくるのであった。
「お前たちもそこに居たのか、ならば好都合だ。こいつの始末がついたらすぐに昨日の決着をつけるから、逃げずにそのままで居てくれ」
見ると、そこに昨日の戦いで上顎から半分に飛ばされたヴァナルガンド杖が、上顎と下顎をボルトで固定されて降りてくるのであった。
「お前これ幾ら掛かったと思ってるんだぁ? 結構したんだからな。このままでは澄まさんぞ、このヴァルキュリアめ!」
怒りながら叫ぶフェンリルの顔を見て、一瞬だけブリュンヒルデの顔をもう一度見るアテナ。
しかし、ブリュンヒルデは意も関せずといった風に、涼しげな顔でフェンリルの罵声を聞き流してるのであった。
だが、そんなやり取りを聞いてる暇は無いと、アテナが一瞬の隙をついて、フェンリルの下から高速でランスを打ち抜くのであった。
いきなり、地上がアテナの飛び立った風圧で、大きくたわんだ様だった。
「余計な戯言を聞いてる暇など無いわ!」
「チ……」
しかし、打ち抜くランスの攻撃をヴァナルガンドの杖の一振りで受けて、すり抜けるアテナの姿をフェンリルは眺めるのであった。
「せわしない女だな……。あまりうるさいと、相手もせずにすぐ黙らせるぞっ!」
「出来るものなら、さっさとやって見せて、この巨人族の狼風情がっ!」
アテナの怒号がその場で閃き、光速に乗ったかのように姿が消える程の速さで、フェンリルの横から避けようの無い突きを立て続けに打ち放つのであった。
「やりましたかっ!?」
ブリュンヒルデが嬉しそうに手を握り締める。
しかし、その電光石火のアテナの攻撃を、フェンリルはいとも簡単にヴェナルガンドで受けて、打ち手の止まったアテナの身体を、真正面から蹴り飛ばすのであった。
「ガーーーッ!……」
蹴り飛ばされる衝撃を受けながら、次の攻撃がくるのを察知してアテナは必死の力で空に踏みとどまったのである。
見れば、先程と同じようにフェンリルはヴァナルガンドの口をアテナに向けていた。
「来る!」
ヴァナルガンドが口から凄まじい勢いで、光の咆哮が噴き出してアテナの居る空間を吹き飛ばしたのであった。
だが、アテナは吹き飛んでいなかった。
咄嗟に構えたアイギスの後ろから、アテナは少し誇らしげな顔でフェンリルを見るのであった。
「何物の攻撃も寄せ付けぬ父から授かりし神のアイギスだ。その程度の攻撃など、恐れるに足りぬ!」
しかし、顔をあげたアテナが見た空間に、フェンリルの姿はもう無かった。
「?」
「後ろーーー!」
下から、ブリュンヒルデの声がアテナの精神を呼び覚ました。
振り返るアテナの後ろには、すでにフェンリルの回し蹴りが炸裂する所であった――――。
「甘いわっ!」
重い攻撃を受けて、物凄い速さで吹き飛ばされるアテナ。
その吹き飛ばされる身体を、更に先回りして、空中から地上へ叩き落すのであった。
ドーーーーーーーンッ!
地上へ、巨大な音を立てて、アテナの身体が突き刺さった。
地表が、空に巻き上がり、火山の噴火口のような半径数十メートルの穴を開けて、アテナの身体は地下にめり込んでしまうのであった。
「口ほどにも無い、女神だな」
空から見下ろすフェンリルが、手の指をボキボキ鳴らしながらアテナを見下したように呟いた。
「くっそ……」
苦しそうに地下の穴の中から、アテナがフェンリルを見上げた。
力が入らず身体を起こす事が出来ない。
もう腕に力が入らない為、楯も構えられなかった。
「なら、動けないようだからここまでとしようか?」
フェンリルはヴァナルガンドをアテナに向けた。
「この世の全てを飲み込むこのヴェナルガンドで……」
杖の先についた狼の頭が大きく口を開けた。
全てを飲み込む能力を与えられた杖なのか、周りの物が急にその口へ向けて吸い込まれて行くのだった。
気付けば、周りの木々も引き千切れて飛んで行き、石も、草も、地面の土でさえも、地上を離れ凄い風に巻かれながら、ヴァナルガンドの口へ吸い込まれるのであった。
「!」
そして、アテナの周りの土も次第に浮き上がり、遂にはアテナ自身も身体が浮き始めたのであった。
アテナは、動かない手であたりの木の根や土を掴もうとするのだが、すり鉢状になった土の穴に落ちて居る為、腕で踏みとどまることも出来なかった。
だが、もし仮に真っ直ぐな穴でも、すでに先ほどの攻撃を受けたダメージで力が入らなくなっていたから結果は変わらなかっただろうが……。
「こ、このままじゃ、吸い込まれてしまう……」
アテナがもがきながら、反転して浮き上がった身体を必死に土の穴に繋ぎとめようとしたが、もうそれも限界だと思った時だった――――。
「なんて危険な事するのよ!」
ガンッ!
フェンリルはいきなり頭を後ろから殴られて、完全に動きを止めていた。ヴァナルガンドが吸い込むのを止める。
振り返ると、そこにブリュンヒルデが怒って、手にした槍でフェンリルの頭を殴っているのであった。
「また貴様か、いつの間に後ろに回ったのだ!?」
フェンリルが慌ててその場から飛びのいた。
そのブリュンヒルデの攻撃に、ヴァナルガンドの狼の顔が怯えた表情をした。よっぽど、この間の顎を切断された恐怖が、脳裏に焼きついてるらしかった。
「オイお前、なんでそんなに力が強いのだ。アースガルドでもお前ほどの力が有るのは、他に雷神トールぐらいだぞっ! 見ろ、お前にやられたせいで、ヴァナルガンドが怯えてるじゃないかっ!」
「知らないわよ、そんな事! あなたが弱くなったんじゃない?」
そう言うと、ブリュンヒルデがフェンリルの頭上を飛び越えながら、フェンリルの顔すれすれに槍を放つのであった。
その攻撃を寸手の所で、かわすフェンリル。
しかし、フェンリルの下がる挙動に合わせて、ブリュンヒルデが一瞬早くフェンリルの前に現れるのであった。
「そんな危ない杖はこうします!」
スパッ!
槍がフェンリルの鼻先を走ったかと思うと、杖の先にあったヴァナルガンドの頭が見事に杖の上から切り落とされてるのであった。
その攻撃には、さすがに狼の頭部分も驚いて、自分の下半身たる杖の切り口部分を二度見して、驚くのであった。
「あーーっ!」
ヴァナルガンドの先を切り落とされて、声にならない声を上げるフェンリル。
「こ、このぉ……」
フェンリルはあまりの怒りに我を忘れそうな声を漏らしていた。
それを、穴からやっとの思いで這い上がって来たアテナが見上げながら、蒼に呟いた。
「あの強さは、いつもなのかしら……?」
「いつもって、あまり戦ってるのは見たこと無いですが……、昨日も簡単に空の彼方まで殴り飛ばしてましたから。見たまんまの大人と子供みたいな戦いでした」
「そう……」
アテナは感心したように、ブリュンヒルデの動きを見ていた。
「アースガルドの戦女神は、あれ程までに強いの? 完全に、あの狼をパワーで圧倒してる……」
ブリュンヒルデの動きはそれ程までに早く、且つ強いのだった。
「強さだけ見れば、主神すら上回るかも知れないわ……」
蒼もその圧倒的なパワーは昨日で、すでに感じていた。
フェンリルの攻撃をその槍先で軽く受けるブリュンヒルデが、フェンリルを楯で押し返して、完全に動きを封じてるのであった。
身体のあちこちを痛めつけられて肩で息をするフェンリル。
ブリュンヒルデを睨みつけて、心底恨んでるような顔をした。
「勝負は着いてると思うけど、もうここには手を出さないと言うなら、これ以上痛めつけません。この条件を飲めますか?」
ブリュンヒルデは、フェンリルの前で仁王立ちに立ってそう言い放った。
アテナをあれ程圧倒していたフェンリルだったが、ブリュンヒルデの前ではまるで赤子のように攻撃を封じられて、勝負にならなかった。
ブリュンヒルデの様子はまだ疲れてないが、フェンリルは既にヘロヘロの状態である。
「ヴァナルガンドの恨みを晴らすまでは、戻らないぞ……」
それでも、フェンリルは疲れた身体で、杖をブリュンヒルデに向けるのであった。
「そうですか? それなら今日はアースガルドまで……」
そう言うと、フェンリルの首根っこを掴んで持ち上げるのであった。
「飛んでいって、二度とここには来ないで下さいーーーーっ!」
そう言うと、フェンリルの身体を空の彼方に放り投げるのであった。
キラーーーーン!
勢いよく飛んでいくフェンリルの身体が、雲間を突き抜けて見えなくなるまで見つめる三人。その目に、フェンリルの姿が星のように煌いて、消えるのが見えた。
「これで当分はアースガルドでフェンリルを監視してくれる筈。ここには来ないようになると思うけど……」
ブリュンヒルデが手の埃を叩くように独り言を言いながら空から降りてくる……。
その様子を蒼とアテナが下から見上げていた。
「あの化け物をあそこまで追い込めるとは、アースガルドの力がそれ程までとは知らなかった。いつもあのぐらいの怪物を、ヴァルキュリアは相手しているのか?」
降りてくるなり、アテナが近づいてきてブリュンヒルデの力を称えた。その足はフェンリルとの戦いで傷めたのであろう引きずっていた。
ブリュンヒルデは恥ずかしそうにしたが、アテナの足を見てそっと屈みこみ痛みの状況を見ようとするのであった。
「大丈夫ですか?」――――足の状況はそれほど酷いものでは無かった様だったので、ブリュンヒルデはまた立ち上がってアテナの言葉に答えた。
「今日はたまたま力が勝って居ただけなのでしょう。いつもはあのような巨人族の相手は私には出来ません。出来るとしたら、雷神トール様か、テュール様でしょう」
「?」
アテナはその言葉の理由を探した。
「ならなんで今は、アレとお相手出来たと言うの? 特別な何かをしたとか、あいつの弱点を知っていたとか……?」
「さぁ、分かりません。そういう物も特別には何もないです。ただそういえば、昨日から身体が軽く感じられました。そのせいで、動きも早くなり、あのフェンリルにも負けないって言うか、相手にもならないと思えましたね。不思議ですが、初めてです。なんでだろう……?」
「ここに来てからだってことかしら?」
ブリュンヒルデは少し考えた。
「そう言う事ですね。蒼さまの戦女神になってからだと思います」
その返事にアテナはすかさず聞き返した。
「いつもそうゆう風になる物なのかしら?」
「いえ……」ブリュンヒルデはそっと言葉を返した。「初めての事です。戦女神になっても力は変わらないですから……」
そう言うと、照れくさそうに微笑むのであった。
「…………」
アテナはその言葉に、何事かを考え、やがて蒼を黙って見るのだった。
「?」
それを感じ、自分を指差して『違う違う』と手で合図をする蒼であった……。
「本当に大丈夫でしょうか。少し休まれてから国へ帰っても宜しいのではないですか?」
アテナが痛む足を押して旅立とうとするのを、蒼とブリュンヒルデが心配そうに見つめていた。
「いや、それはしないで良さそうだから。足もだいぶ楽になったし。有難う。あなた達の力が有ったればこその勝利だったわ。逆に礼を言います」
アテナは足をワザとよく動かし、その言葉を残し、空に舞い上がるのであった。
「また会う時があれば、その時はまた一緒に戦って頂戴ね。その時まで……」
そこまで言って、アテナが蒼の方を見てるので、目が合った蒼が照れ笑いをする。(なんで見てるんだこの人? 怖いな……)
「それでは……」
蒼とブリュンヒルデが見てる前でアテナは空に向かって飛んで行った。
その姿が消えるまで見送った二人は顔を見合わせると、また言うのであった。
「昨日に続いて、まさか今日も来るとは思わなかったね。相当、恨んでたのかな?」
「そうですね。しかし……」
そこまで言うと、蒼のお腹がなった。
ブリュンヒルデもおなかを押さえて、二人顔を見合わせると、お腹が空いた事を言いながら「帰ろう」と二人でまた笑い合うのであった……。




