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第1話 僕の女神が微笑むとき  1

運に見放された男の子と、それを見過ごせなかった戦女神の純愛ファンタジーを目指しています。ま、障害が物凄く多いのですけども。最後まで読んで頂けると嬉しいです。

面白かった時は評価&ブクマ登録なども頂けたら幸いです。


 何をやってもいつもこうなんだ――――。


 その時も蒼はそんな風に思っていた。


 つい今しがたも、少し長い階段を登ろうとするお婆さんの荷物を持ってあげましょうか?と親切で聞いたら痴漢をされると通報された。「みっともないな……。皆に見られて恥ずかしいよ・・」そう言いながら恥ずかしそうに、頭を掻きながら街の中を自分の家に向かって早足に歩きだす……。


 神憑かみつき そう、17歳。 薔薇原高校ばらはらこうこうの2年である。


 いつもこうなのだ。

 

 昨日も遅刻もしない時間に出たのに、いきなり飛び出してきた自転車にはぶつけられて足をくじき、時間が無くなったので電車に飛び乗るとドア付近の女の人のお尻にぶつかり痴漢と間違われる。その後も、慌てて学校に着くと学校のドアにシャツが挟まれてるのにそのまま歩いて破れてしまった。学校の帰りは帰りで、雨の予報も無かったから傘も持っていないのに局地的豪雨とやらで全身びしょ濡れになり、捨て猫が居て雨に濡れて可哀想なので、人の家の軒先の雨の当たらない辺りに置いてあげようとしたら、それを見てた近所の子供に捨て猫してると通報された。


「あ~昨日も言いましたがね、あまり不信な行動は謹んでもらいたいもんですね……。こっちも暇じゃないんで。もう……ブツブツ」―――― 目の前の警官が昨日の事を蒸し返して、ブツブツ言っている。こっちだって、好きで痴漢や捨て猫犯に間違われてるんじゃないっ!!……と大声で蒼も言ってやりたかったが、そんな勇気もないので謝ってしまう日々……。


 全てがこの通り、良い事がやって来ないのだ。

 だいたい、この名前からして音に出して言うと、『かみつき そう』なのである。この名前のお陰で、必ず初めて会う人からは「え~、なんか噛みつかれそうね。でも、そんな感じでは無いのね」――と、逆に引かれる始末。全く良い思いをした事がない。

 普通にしてても悪い事が向こうからやってきて、良かれと思ってやった事は悪く採られて警察まで来る始末。さすがに二日も同じ警察官に注意されると自分でもこの運の無さを疑ってしまう。「はは、神様に見放されてるんだろうかね、俺は」


 たはは……と、また空を見上げて苦笑いする。


 すると、いつも寄る近所のスーパーの前に変わったお菓子コーナーが出来ていた。


 スーパーの中にもお菓子コーナーは有るというのにそこに特別なお菓子専門のコーナーを新設してあるのであった。それも、美人の可愛いお姉さんが二人で案内をしてる。試食もさせてくれると言っているが今日からなのか。昨日この場所を通ったけど無かったように思えたが・・・。


「今日から売り出しの商品でも有るのかな……?」


 あまり興味もなかったが、不意にそこを見てみたくなった。

きっと、そのお姉さん達の魔力だろう・・・。


「はい、どれでも見ていってね~。どれも試食して欲しいもの買ってくれれば、素敵な福引が出来るようになってるから・・・」


 買うと福引が出来るらしい。


 しかし、”そうゆう運のからむ物”はどうせ自分には縁がないから、買わないで帰るとしようかな・・・。そんな風に蒼は思ってお菓子コーナーの品物を見てみた。

見たことのない名前のお菓子やケーキで、タルトやシナモンロールにプリンセスケーキというカスタードと白いクリームの甘いケーキなども売っている。これを全部試食出来ると言ってるのだ。それもあまりお金も高くない。

 しかし、蒼はわりと甘いものが好きなのだが、今日は買わないで帰ろうかな?・・・と思いその場を離れようとした時だった。


「あれ、お兄さん、買わないで帰ろうとしたね?なら、福引サービスするから、一個買いましょうか?」


 覗き込んで来た可愛いお姉さんが蒼の前に立ちはだかった。

 外人さんだ……。それも凄いグラマー。これで十分自分にはサービス出来てるんですけど?。この手の外人さんには蒼の性格からして拒否は出来ないのだった。


「なら、ひとつ下さい。そのケーキ」ショーケースに入った甘そうなケーキを指差して愛想笑いをする。


「うん、コレですか?有難う御座います。お買い上げの貴方にさらにケーキを10個と福引も10回サービスしちゃいますね~」


 ずっしりと蒼の手に持たされた。


「福引は、そこの角を曲がった先の突き当たりの空き地です~。どうぞ奮ってご参加下さーい!」


 え、なんでこんなに……?


 そんな顔で蒼は手にしたケーキの箱と福引を交互に見つめて苦笑いを浮かべて底を後にした。

 蒼のうしろ姿が角を曲がって見えなくなる頃、後ろのお菓子とケーキコーナーでは女性が同じものを一つ頼むと可愛いお姉さんがそれを箱に詰めながら、「御代は、1万5千円になりま~す!」っと、軽く答えてお客さんと揉めていた。


「なんで、さっきの若い男の子は150円で、同じものが1万5千円するのよ!」


「それは知りませーん!」そう二人で軽やかに答えると、また道行くカップルの男の人を見つけて「あ、そこのお兄さん、ケーキ買って福引しませんか~? ケーキも福引も安くしますから~今なら、男性100円均一~……」と分かりやすいえこひいきをしながら、まだお菓子を売るのだった……。


読んで頂けて有難う御座います。



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