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一蓮托生!  作者: 怪盗エース
初めの一歩
3/15

警察と名乗る人物

後半、☆の後は三人称になっています。

「なーんであの時言ったんだか……」

 今更後悔してももう遅い。あの話をしてから、お父さんは死んでしまった。満足そうな顔をしていたから、心残りはなかったんだろう。それは、私にとって逆プレッシャーだったけどね。私は苦笑いしながら、部屋を出た。


 ドアを開けると、目の前には、手帳を持ってひとり言をつぶやいている魁人がいた。深刻な顔をしているので、今回の仕事内容は真面目なんだと感じた。

「相変わらず、行動が遅いですね。予定より十分も過ぎています」

「……それで、今日はどうしたの。早く言いなさい」

「上手く話を変えやがったな……! 失礼。この前から予定していた取引のグループの一人が、サツに捕まったそうです。しかもそいつ、今回の内容を全部話したそうで……警備が厳重になっているそうです。どうします?」

「うわぁ……困るね、それは」


 取引の内容は、いたってシンプルなものだ。浅野組の勢力を広めるために、隣町の暴力団と同盟を組もうとしていた。だけど、こういう時は大体交渉が決裂して決闘になることは読めていた。いつもは何百人も引きつれてねじ伏せていたが、今回はそうもいかない。サツに見つかったら――さすがに、やばい。


「……真面目に話すって、大変だね。魁人、見直したよ」

「何言っているか訳分かりません。それより、このまま無視をしていたら、乗りこまれるかもしれません」

「仕方ないね。私と魁人で行こう。相手何人?」

「ざっと二十人くらいではないかと」

 私は無言で、お父さんの部屋に行った。慌てる様子もなく魁人も足音を立てずについてくる。私は、机の引き出しから拳銃を取り出す。ポケットに入れて、立てかけてある金属バットを二本とった。

「魁人、十人くらい大丈夫でしょ?」

「僕一人でも全員いけますよ」

「……はいはい。じゃあ、行きますか」


『いってらっしゃいませ!』

 まだ立っていた、彼らに私は叫んだ。

「いくら防音完璧でも、耳元で叫ばれたら私に迷惑でしょ――!!」




                              ☆ 




 夜。路地裏で誰かが殴られている。

「おい、金を出すだけの作業もできねぇのかてめぇ?!」

「調子乗んじゃねぇぞ!」

「ご、ごめんなさい……持ってないんです……だからっ……!」

 彼らの暴行もエスカレートし、青年は今にも気絶しそうだ。

「誰か……助けて……」


 すると、何かの音がした。その音は、近くなってくる。

「おい。その人から離れろ」

 黒いコートを着た人が、現れた。街灯が少ないので、顔をはっきりと見られない。

「あぁ?! てめぇは誰だよ!」

 彼らが殴りかかろうとすると、その人は華麗に避けた後、足を出して――転ばせた。

「痛っ!!」

「動くな」

 コートのポケットから、その人は拳銃を取り出した。

「俺は警察の人間だ。お前らを暴行罪で逮捕する!」


 青年は、ポカンとしてから警察にお礼を述べた。

「あの……! 有難うございました。お名前は……」

「……宇佐見うさみです。早く、病院に行って下さい。すぐにパトカーを呼びますから」

 宇佐見となのる警察官は、通信機をとりだした。

「二人、東通りで暴行を行った人がいたので現行犯逮捕した。被害者も怪我をしている。俺はこれから――指示を受けたとおり、浅野組の情報をつかみに現場へ向かう!」


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