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一蓮托生!  作者: 怪盗エース
スパイがいるらしいです
14/15

HELP!

前半は『舞』、☆より下は『魁人』の一人称となっています。


二週連続視点が変わってしまってすみません。


 ……ん?

 私はうっすらを目を開けた。映ったのは殺風景な部屋。全く見覚えがない。

「っ……!」

 両手は縛られていて、タオルも噛ませられていた――思い出した! 誘拐……ね。

 状況は極めて危険だったけど、私の脳はフル回転してくれた。どうにかして、逃げないと――!


 この部屋には小さな小窓がついているけど、とてもじゃないが届かないし助けも呼べない。困ったな……!

 ドアの開く音がした。私は睨みつけてやろうかと思ったけど、寝ているフリをすることにした。

「おい、起きろ」

 あっ、なんだ。この人私を起こすために来たの……仕方ない、演技を続けよう。

「ったく、よく寝るお嬢さんだぜ。こっちはさっさと家の電話番号聞いて、金をもらえることが出来ればいいのによぉ」

 ……ヤクザ絡みじゃない。

 私は驚いた。色々な所で恨みを買うような事してきたから、それの仕返しかと思って構えていたのに。お金で解決できるなら、今ここで交渉したい。たとえお金が返って来なくてもいい。警察に「被害届」が出せないし、ね。私は起きたように目を開け、驚いた顔を作った。


「お目覚めか」

「んん、ん……」

「おっと、これじゃあ話せねぇな――ほらよ」

 案外あっさりとタオルを取ってもらえたのが幸運だった。

「……あの、私になんのようですか?」

「悪く思わないでくれ。簡単に言うと、お前を誘拐した。家の電話番号を教えてくれるだけでいいんだ。そうしたら、絶対に痛い目には合わせないから」

「分かりました。ですが、一つだけお聞きしてもよろしいですか?」

「なんだ」

「私は普段からあまり家の外は出ないような生活をしています。なのになぜ、家に私が住んでいることが分かったのですか?」


 私はコレが一番聞きたかった。もしかしたら、情報源に原因(・・)があるかもしれないからだ。今ちょっとだけ嘘をついたけど、きっとばれないだろう。

「あぁ、スパイだよ。良い具合の人攫いを教えてくれるスパイがいるんだよ。裏の世界じゃ、結構有名なんだがな……お金に困らないようなお嬢様には、分からねぇだろうがな」

 裏で、私の名前を知らない人の方が意外なんですけど――!! ツッコミたかったけど、今回はそんな雰囲気じゃない。

「ほら、こうやって写真を配ってくれるんだ」


 その写真を見て、私は目を丸くした。コーラでヤクザに勝った時のだ。

「それにしても、こんな夜中に何してたんだよ」

「あの、いえ……ココアを買いに」

「……まぁいい。質問が済んだなら、こっちが聞くぞ。電話番号を……」

私は淡々と電話番号を言った。二度の確認をしてから、彼はうなづいた。

「素直なお嬢様でよかったぜ。だが、嘘をついているかもしれない。悪いがもう少しこのままにさせてもらうぞ」

 彼は満足そうな笑みを残して、部屋を去った。


「……ふぅ」

 すっごくお喋りな人だな……あんな根っからの悪じゃない人は、浅野組に入って欲し……いやいや、いくら優しそうでもこの私を危険な目に遭わしたのは変わらない!

 あぁ、でも動けそうにないや。本当に何も持っていないし、なんだか眠くなってきた。魁人とウサギのことだから、きっとどうにか……。


 誘拐されたのが初めてなだけあって、緊張が解けた瞬間急に睡魔が襲ってきた。そのまま私は、眠りについた。


                                  

                        ☆


 僕とした事が……!!

「――おいお前ら、聞こえるか!?」

 僕は緊急時にしか使わない通信機を取り出し、仲間に向かって叫んだ。

『どうしました?』

「組長が誘拐された! 市外へ行く車を、今から全部見張れ! 何かあれば連絡を!」

 命をかけてでも守れ。

 僕は最後に言い残してから通信機を切った。

「……ヤクザって本当に怖いな」

 僕の後ろでは、マヌケ面をしている宇佐見がいた。

「まだ優しい方ですよ、うちの組は。第一に――うちの組長は、警察のお前を殺してない」

 僕は宇佐見に向かって拳銃を向けた。

「っ……! 何考えてやがる!」

「舞様はお前を信じた。だが、僕はまだお前を信じていない……単刀直入で言う。お前、署に連絡とって突き出してないか?!」

 冷静沈着に考えて行動する僕だったが、今に限っては頭に血が上っていた。目の前にいるサツが犯人――と言うより、浅野組を裏切ったかもしれないのだ。


 すると突然、宇佐見は僕の胸ぐらを――掴んだだと?!

「おいお前! 何を考えて……」

「馬鹿じゃねぇの?! 身内――って言うと変だが……俺は仮にも浅野舞と同級生だ! お前らに弱みだって握られてんじゃねぇかよ……。そんなことしない、絶対にだ。だって俺……」


 お前の所の組長、好きだから。


 宇佐見がそう言ったとき、僕の意識は軽く飛んだ。

もう少し、シリアスなシーン続きます……。

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