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一蓮托生!  作者: 怪盗エース
スパイがいるらしいです
12/15

【会議】ケーキパーティと襲撃

後半、三人称になっております。



 あの凄まじいデパート騒動から早二ヶ月――

 皆さん、お待たせしました! ほんとにゴメンね!


 私は軽くお辞儀をした後、ブイサインでカメラを見た。……と一人でやっても全く楽しくないから、近くにあったぬいぐるみを掴む。

 今私は、部屋の片づけをしている。魁人たちが、私の部屋で遊ぶ……いや、作戦会議開くって言ってたからね。


「おや、結構片付いたではありませんか」

 魁人は仏頂面のウサギを連れて私の部屋に入ってきた。いつもならそのままスルーしていたけど、魁人はある箱をもっていた。あれ、何処かで見たことあるデザイン? そう思っているうちに、魁人は折り畳み式のテーブルを出して、その箱を置いた。

「何してるんですか。あなたの為に買ってきたのに――部下にあげてしまいますよ」


「あぁーー! それって……タルトじゃない??!」

 限定シーズンが過ぎていた苺タルトが、今私の目の前にいる。なぜ、どうしてなんて言葉は出て来なかった。私は思いっ切り魁人に抱きついてしまう。

「きゃーー、魁人有難う! 大好き!」

「わっ、ちょ?!」

「……金を払った俺はなんだよ?!」

 ウサギが不貞腐れている理由が今分かった。あぁ、私が給料配布を少し伸ばしたから魁人がお金なくて、ウサギを脅して買ったって所か。

「ごめんごめん、つい。ウサギも良くやった!」

「っ……!!」

 私はウサギの頭をポンポンとした。黙ったのを見ると、ちょっと嬉しかったのだろう。ウサギの扱い方、少し分かったかも。


「そう言えば、なんで苺タルトケーキ買ってきてくれたの?」

「覚えてないんですか、この前のテスト。まったく勉強してないのに、なぜ天才的な点数を取れるのか不思議です……そのご褒美ですよ」

「あぁ、先週の期末か。あれは難しかった……ってお前、何点だよ」

「……忘れた」

 私は首をかしげた。いつテストをやったかも覚えてない。と言うか、いちいちテストの事なんて覚えているわけないでしょ! 私は必要じゃない記憶を消してしまう変ながあるらしい。


「全教科満点ですよ」

「なんだと! お前、そんな頭いいのか?!」

「あぁ、あのクソ簡単……なんて言葉は使っちゃいけない、易し過ぎた問題のこと? なんも手応えなかったからつまらなかたよね」

 私は別になんの悪びれもせず言ったけど、ウサギは相当のダメージを受けた。軽くうなだれた後、私を見た。

「……平均点知ってんのかよ、そのテスト」

「ん?」

 ウサギがブツブツ言っているけど、そんなの書いていたら今回の尺なくなっちゃうでしょ――?!

「――ふぁくせん会議始めるよ」

「舞様、食べながら話すのはあれだけやめろと言ったじゃありませんか。全く、何度言ったら分かるのですか!」

 私はケーキを頬張った後、誰かが淹れてきた紅茶を飲んだ。

「……あれ、今日の紅茶、ちょっと味が違うね」

「そうですか? ……本当ですね」

 魁人も首をかしげた。

「この紅茶は宇佐見……が入れたのですか?」

「いや、俺じゃねぇぞ」

 ウサギもキョトンとしながら勢いよく飲み干す。


「なんでだろう……?」

 急に私の視界が揺れた。二人を見ると、魁人は頭を抱えてウサギはうなだれていた。

「……睡眠薬……です……」

 魁人はそのまま床に伏せた。

「ちょ、ちょっと二人とも……!」

 私は、半分以上閉じている目で部屋に入ってくる人の影が見えた。黒いスーツを着て、サングラスをかけている人だ。性別は――分からない。

「アンタ……私の部屋に勝手に上がり込んで……」

 そこまで言って、私の意識は途切れた。



 その人物はニヤリと笑い、舞を軽々と持ち上げた。

「作戦実行――」

 その声はかなり低い声で、男と思われる声だった。彼は舞を抱えたまま、部屋を出た。



「っ……!」

 初めに起きたのは宇佐見だった。勢いよく起きあがり、魁人をゆする。

「……舞……様……?!」

 魁人は目を見開き、全体を見回した。舞の姿が見えないのだ。机の上には、小さなメモ帳が置いてあった。


 浅野舞は預かった。一億円用意しろ。明日の夜、一二時に取りに来る。


 そこには淡々とそれだけ書いていた。

「舞様……!」

 魁人はメモ帳を握りつぶし、床に捨てた。宇佐見は、警察に連絡しようと携帯を出した。

「おい、何をやっている!」

「何って、被害届をださねぇと……!」


 僕たちは、裏の世界の人間です。


 魁人が悲しそうに言うと、宇佐見は、携帯の電源を切った。

「寝てしまってからまだ三十分しか経っていない。市内にはいるな……」

 魁人はそれだけ言い残し、部屋を飛び出した。

「おい、待てよ!」

 宇佐見も慌てて追いかけた。


「……元組長、申しわけありません!」

 走りながら、魁人は固く目をつむりながら呟いた。


少しシリアスになってしまいました……。


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