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お父さんと一緒  作者: 熊沢五月


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仲間が増えました

私はやっと気が付いた。

お父さんがやたらと守る、守ると言って、本当に守ってくれていたことに。そしてムウもお父さんのサポートをして守ってくれていた。


「お父さん、ムウ。ごめん」

「何を謝っているのでですか?」

「私がお父さんとムウの足手まといになっていてごめん」

「謝らないで下さい。全てはご主人が望んだことなんですから」

「そうだぞハルカが謝ることなんて何一つないんだぞ」

私は情けなくて涙が溢れてきてしまった。そんな私の背中をお父さんがさすってくれて、みんな私が泣き止むのを待っていてくれた。


私はふと疑問になった。

ケンは村人だったはず。でも私を食べようとしなかったし、普通に対応してくれていた。

「ケンさんはどうして助けてくれたんですか?」

「おそらくまだ村に来て日が浅かったのと、生に執着していなかったのではないでしょうか」

ケンに聞いたはずが、ムウが答えてくれた。ただムウの答えを聞きケンは納得した表情をした。


「そうかぁ、オレ小さい頃から体が大きくて筋肉が付きやすい体質だったみたいでさ、いろんな格闘技を薦められてやってたんだけど、実はあんまり好きじゃなかったんだよね。

人を殴ったり、投げたり、蹴ったりすることがいつまで経っても慣れないし、楽しいって思えないし、それに痛いのはイヤだし。

本当はアニメを観たり、ゲームしたり、本を読んだり、プラモ作ったりするのが好きなんだ。

格闘技はみんな応援してくれるし、期待もしてくれて、それに応えなきゃって頑張ってたんだけどね」

「うんうん、わかるよ。期待されると頑張っちゃうよなぁ」

お父さんが腕を組み頷きながら話を聞いている。

「それで試合中目の前がキラキラしたかと思ったら真っ暗になって、オレ死んじゃったんだなって。それで、もうみんなの期待に応えるために自分の好きなことを我慢したり、隠したりしなくていいんだって嬉しかった。

その後なんか吸い込まれるような感じがして治まったらすっげー綺麗な人がいてさ、門を目指すように言ってくれたんだよ。

異世界だってアニメやゲームみたいで、なんだか嬉しくなって一人を満喫しようと歩きだしたんだけど道に迷っちゃったんだよね」

ポリポリと頭を掻きながら照れたようにケンは笑った。そして頭を深々と下げて言った。

「ごめんなさい。親子水入らずなのはわかってはいるんだけど、どうかご一緒させてもらえないでしょうか」


ケンもお父さんと同じ方向音痴らしい。

「それに、あの...」

ケンがモジモジしながら何か言いたそうにしている。お父さんがそれを見て、クスっと笑いケンの背中を叩いた。

「ほら、ちゃんと言わないと!」

お父さんに言われ、ケンは背筋を伸ばしてムウの方を向いた。


「ムウさん。オレはムウさんと一緒に行きたいです。ずっと一緒にいて下さい!」

頭からまるで湯気が出ているんじゃないかと思えるくらい、ケンの顔は真っ赤になっている。


「お断りします」

ムウはバッサリと切り捨てた。

ケンはガックリと項垂れて恨めしそうに小声でお父さんに言った。

「ほら、まだ早いって言ったじゃないですか。オレとしてはもっと仲良くなってからって思ってたのにぃ...」

お父さんはケンの肩をポンポンと叩くと、ムウに聞いた。

「なんで断っちゃうの?悪い奴じゃないよね?もっと相手を知る時間が必要?」

ムウは背筋を伸ばしてお父さんを見る。

「私はご主人を門までご案内します。その間ハルカ様をお守りするとお約束しております。

そして今回、門に到着したらご主人に付いて行く予定です。ですからお断りしました」


ムウは恋バナに対して鈍いらしい。女子として何か話をしてあげたいところだけど、なんせ私にも縁遠い話題だ。ここはお口にチャックすることを選択し状況を見守ることにした。


お父さんはニコニコしながらムウに問いかける。

「じゃあさ、門に向かうのにケンが付いてくるのはOKということでいい?」

「そうですね。それは大丈夫です」

「じゃあ。門に着いた後ムウは一緒にいてくれるって言ってたけど、そこにケンが付いてくるのは?

せっかく仲良くなれたし、一緒じゃダメかな?」

「ご主人とケンが一緒、ということですか?」

ムウは少し考えて答えた。

「私はご主人に付いていくだけですから、ご主人に他の誰かが一緒にいても構わないです」

「じゃあこの先、ケンが一緒に行ってもいいわけだ」

「そうですね。それはかまいません」

ムウの言葉を聞いたケンはパアッと顔が明るくなった。

「よかったなケン。じゃあオレに付いて来いよ」

お父さんが笑いながら言うと、ケンはコクコクと頷いて立ち上がった。


「それじゃ、行くか!」

お父さんの掛け声でムウも、ケンも動き出す準備を始めた。

お父さんはニカッと笑って私に右手を差し出した。

私はその右手を掴んで立ち上がる。

立ち上がった私の頭をお父さんはワシワシ撫でる。

「もう、髪の毛が絡まるじゃん」

「そうか、ごめんな」

そう言いながらもお父さんは楽しそうだ。

私達は4人になりまた歩き始めた。

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