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お父さんと一緒  作者: 熊沢五月


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1/10

ダイエット始めました

クラスカーストランク外の高校生ハルカは、突然異世界に行ってしまう。しかも父親と一緒に。ウザイながらも進むしかない。

私は今ウォーキングという名の夜のお散歩をしている。お父さんと一緒に。



元々他人とコミュニケーションをとることが苦手で、友達という友達はいなかった。

仲良くしている、という名目で、私に事を下げて笑う。そして私は作り笑顔でその場を過ごしていた。

高校に行ったらそんな奴らとオサラバして、明るくコミュニケーションをとり友達も作る、と野望を持っていたが失敗した。

入学してほとんどが知らない子達の中で笑顔で話しかけてくれる子もいたけど、15年の年月をかけて培ってきたコミュ障は、簡単には私から離れてはくれなかった。

言葉に詰まり会話を成立させることが出来ない私。高校デビューに失敗した瞬間だった。

周りの子達を見るとキラキラして見えた。そして一様に手足が細い。自分と彼女達の違いに愕然とした。


その日の夕食はハンバーグだった。私の皿に盛られた小さ目の2つのハンバーグ。ごはんはいつもの半分にして、付け合わせの野菜とハンバーグは1つだけ食べた。

「ごちそうさま」

「どうしたの?もう食べないの?」

お母さんが聞いてくるけど正直面倒くさい。

「ダイエットするから」

これで納得するとは思わないけど、多少の口撃は収まると思ったのが甘かった。

「じゃあ、お母さんここを片付けてるから、お父さんとウォーキングしておいでよ」

お母さんはさもいい考えだという顔で言う。

高校生にもなって父親と二人でウォーキングなんて、とも思ったけれど一人で外をウロウロする気もない。それに今お父さんは全力で回避しようとしている。

「この前、会社の健康診断でメタボ確定だったよね?」

お母さんが笑顔でお父さんに言ってるけど、お母さんの目は笑ってない。

対してお父さんは何かモニョモニョ言ってるけど、お母さんは完全にスルー。

「娘が一人で夜外を歩くって心配じゃないの?」

お母さんがお父さんにダメ押しするけど、それじゃまるで私がウォーキングに行くの確定みたいだよ。

しかもその一言で行くことが決まった。


お父さんと二人で歩く。

お父さんは白いTシャツに黒いジャージ。青いスニーカーを履いて、水色のウエストポーチを腰に巻いている。まだ春なのに肩には白いタオルをかけて、時々そのタオルの先端で顔の汗を拭いている。

「ねえ、お父さん。そのポーチに何が入っているの?」

「これか?」

 お父さんがポーチのファスナーを開けて見ながら答える。

「小銭と携帯とティッシュ。あとビニール袋だな。

 小銭は喉が渇いたらジュース買うだろ。ティッシュは鼻をかむし。ビニール袋はゴミ入れだよ。

 必要なものは大体出てくるぞ」

 ニコニコしながら説明してくれるけど、もう話すこともない。

 私はテクテクと少しだけ早足で歩く。出来ることならお父さんと距離を取りたいところだけど、私の後方1メートルを広げず、縮めず付いてくる。

 鬱陶しいけれど一人になるのは恐い。

 家を出てなだらかな下り坂を進む。

 住宅街を抜けると私が通った中学校がある。

 懐かしいなんて気持ちはない。薄暗い道を歩いているような3年間だった。

 愛想笑いだけが上達したっけ。

 中学校は大通りに面していて、学校の外周に沿って歩く。

 学校の角を曲がり、学校を過ぎると古い団地がある。

 団地の向かいにはコンビニがあり、コンビニの明かりはオアシスのように見えた。

 私は後ろを振り向きお父さんに言った。

「ねぇ、コンビニで休憩しよ」

「いいけど、お父さん小銭しかないよ」

「ケータイ持ってるじゃん」

と、その時お父さんが上を見た。お父さんの目が大きく見開き叫ぶ。

「ハルカ!」

 そしてメタボとは思えない速度で近寄ると私を突き飛ばした。

 お父さんの重量と速度で私は吹っ飛ばされる。

 吹っ飛ばされた私は近くにあった電柱に頭と背中を強打した。

 マンガで目の前に星がチカチカする場面があるけど、私の視界も一瞬真っ白になりチカチカ

した。

 やっと薄目を開けて見えたのは、お父さんの上に大きなコンクリートの固まりが落ちてくる瞬間だった。

 お父さんの後ろには古い団地の壁が欠けているのが見えた。

 「あぁ、あの壁が落ちたんだ」

と、妙に納得している自分がいる。

 そして私の視界は暗闇に包まれた。





初投稿です。

拙い文章ですが、読んでもらえると嬉しいです。

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