気にしない木
ぽつりと佇む一本の木。
その木に群がる沢山の虫たち。
いっぱい、いっぱいくっ付く虫たちに、何とも思わない木。
虫たちは、他の木にない極上の蜜が出るこの木に沢山群がった。
虫たちの口コミは瞬く間に広がり、木という面影がないほど覆った。
しかし、その木は、何も言わなかった。
無心と受け入れるだけだった。
さらに虫たちは、密ではなく葉っぱや枝など頬張った。
とてもとても美味しい木を絶え間なく頬張った。
ついにその木は、面影すら無くなった。
時が経つと、瞬く間に虫たちが離れていった。
その跡地には、小さな小さな芽が生えはじめていた。
その芽が大きくなるにつれ、また虫たちが集まり始めた。
その虫たちの背中には、小さな小さな芽が生えてきてるとも知らずに....。