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ブリュワーズに戻ってきた。

色々あって少し疲れたかな。

ゆっくり休もう。


休日の後だった。

私は、ラピュアス大学のキャンパスを、手紙を手に走った。

いい知らせ、ステップは軽かった。


教授室にノックも忘れて駆け込んだ。

「せんせい!!」

「なに、大きな声で」

マリエーヌ教授に手紙を見せた。


それはまさしくバランティア国、マーティスさんからのラブレターだった。


『僕は、君と出会い、君と過ごし、君と困難を乗り越え、心を取り戻すことができました。火災での出来事がなければ、ずっと変わることはなかった。

すべては、君がバランティア国に来てくれたおかげです。ありがとう。本当にありがとう。

僕は、君を……エミリアさんを、愛しています』


マリエーヌ教授の瞳が潤んでいた。

「読ませてもらった。この手紙は確かに、テーマモデルからラブレターよ」

ホッとした顔をした私。

「合格」

と、言ってくれた。


教授の入れてくれたティー、とてもいい香り。

飲んでも美味しくて。


「お相手の心をつかむ恋愛って、感動的じゃない?」

「はい、表面的な派手さで男性を選んできた自分にとって、また少し前進した気がします」

「そうね。この世界の恋愛は様々、違ったミッションをこなすことで、新しい自分に気づいたり、まったく違った自分に生まれ変われたり」

「はい」

「楽しんだらいいわ。この大学に通いながら」

「ありがとうございました」


やったぁ~

単位修得!!


レゼッタさんにも報告しなくちゃ。

今夜は、ぐっすり眠れそう。


な、なんと単位修得のお祝いに、1階パン屋さんからケーキが送られてきた。

レゼッタさんの作るごちそうも豪華で。

お腹一杯食べたら眠くなった。


こうして一日は終わった。


学業は続く。

次の講義をどうするか?

相談室では、各講座についての説明や受講の資料などが手に入る。


どうしたらいい? 迷っている。


学生食堂で一人ランチ。

単位修得といういいことがあったので、ちょっと奮発。

デザートにパフェを注文。チョコレートのプリンがのっていて美味しそう。

「どう? 一人ランチのお味は?」

勝手に手前の席に座ったテリウス。


「邪魔しないで」

「それはないだろ。僕のおかげで単位がとれたんだから」

確かにマリエーヌ教授の講座を紹介してくれたのはこの男。

お礼は言わないと。

「ありがとう」

「心がこもってない」

「ありがとうございました」

丁寧に言ってみた。


「なによ!!」

テリウスは、私の隣に移動してきた。

「ちょっとぉ」

一人ランチを邪魔しないでって。


「なに?」

テリウス、自分の頬を指さしている。

「お礼にキスを」


はぁ? 馬鹿じゃないの?

「単位がとれたのは、素敵な出会いがあったから……そして運命的な出来事があったから」

なんでキスのサービスまで。


テリウスは、横顔をよせ、目を閉じている。

私は、チェリーを無理やり口に入れてやった。


ムゴムゴ……ムゥゥ


チェリーを食わえたまま目を開けるテリウス。


私は、ランチのトレーを持って、別の席に移った。

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