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異世界・ブリアントパーズで、最愛の男性と情熱的な恋をする。
自信を失いかけている。
恋愛大学で有名なラピュアス大学の入学を決めたものの、今だ単位が取得できず。
異世界・ブリアントパーズは、難攻不落。
現世でモテモテだった私が……。
運命を信じて、次の課題にチャレンジ!!
大学には食堂がある。
メニューも豊富で。
周囲はにぎやかだけど、一人ぼっちの私。友達もほしくなる気分。
「よぉ、なに食べてるの?」
うむ?!
この男は……。
テリウスだ!!
「なにかようですか?」
憮然とする。
「試験で苦戦しているようだけど」
どこでそんな情報を?
テリウスは、私の前に座った。
喋りたくはない。口をモグモグ。
「単位欲しくない?」
こんなこという男なんて……。
「ねぇ?」
見ないでよ。
「単位?」
金を払えば、売ってやるとでも言うのか……。
「このままだと卒業できないよ」
今度は脅迫か?
「ちょっと」
この男、私のトマトを指でつまんで食べた。
最後に食べようと思ったのに~
「隙を見せると、さらわれるだけだよ。恋も大好物も」
「だからなに!!」
怒っている。
「だから、単位が欲しければ」
ムカついて、コップの水をかけた。
周囲がざわつくが、気にしない。
テリウスの顔が濡れている。
やりすぎたかな?
「なにが目的? お金? 私の体?」
「別にそんなこと、単位の取りやすい講座を教えてあげようと」
「そんなこと、自分で考える」
きっぱりと断った。
……つもりだけど
「なによ。取りやすい講座って」
テリウスは自分のハンカチで顔を拭いた。
そのハンカチからフレグランスの香り……いい香り~
「他人にものを頼む態度ってあるのでは?」
「だったら、いいです」
この場所から離れたいと思った。
「わかった。今回だけ特別サービス」
と言って、メモを見せてくれた。
「お礼を言うのは、結果次第で」
そのメモを受け取った。
新しい講座の受講を希望し、その教室に入った。
マリエーヌ教授、初めての女性の教授だった。
なんて優しい瞳、現世なら聖母と呼ばれていたかも。
その講義は、異世界も現世も変わりがない。心を説く講義だった。
なんか、受講生、穏やかな顔をして聞いている。
平和を愛することの重要性とか、捧げる愛から得られるものとは……とか。
恋愛は戦い……なんて、言葉も耳にしたけど、こんな講義も悪くはないと思った。
家に帰って、レゼッタさんと授業の話をした。
「欲望にまかせて奪い合うのも愛の形だけど、心にシコリを残したら、いい気分はしないでしょうね」
「確かに、恋愛をして虚しさが残ることもあった」
「このテールスープ、美味しい」
「そう、おかわりあるわよ」
この家は、スープと同じくらい温かい場所だった。
マリエーヌ教授の講座に参加したら、時の流れがはやく感じられた。
ついに試験の日がやってきた。
また、別の国にいって、テーマモデルのハートを掴むこと。
今回は、いつもと違い、特定のテーマモデルはいない。
ただ、受講生には、赴く国が割り当てられ、その国の成人男性からラブレターをいただくこと。
国王とか王子とか皇太子など、特定の人物ではないのなら、簡単なミッションでは? と思っては見たものの、異世界の恋愛に苦戦している私。
一般市民にアプローチして、恋心を抱かせるほうが得策かも?
しかも、テリウスから紹介された講座であることも油断がならない。
マリエーヌ教授の講義は有意義だったけど、最後の試験でトラップが? なんて疑いも持ってしまう。