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閑話 ポラリス上層部3

『申し訳ありません。見失いました』

「仕方がありませんむしろ次の行き先、獣人の国に向かっている事だけでも知れたのですから十分な成果です」

『それからもう1つ。どうやら私のスキルの事を察しているようです』

「分かりました。しかしあなた自身の事はまだ発見されていないのですね」

『はい。あくまでも私が『怠惰』を使用している事を察したので警戒されております』

「では『隠者』はそのまま情報収集を続けてください」


『ふむ。ではそろそろ攻めるか?』

『落ち着いてください『戦車』。あなたの戦い方ではあの森の中を疾走することは出来ないでしょう。あなたにはもっとあった戦場があるはずです』

『しかし獣人の国に居るのであれば攻めるべきだろう!いつまでも傍観せず、勇者様を奪還するいい機会ではないか!!』

『獣人達は術力至上主義の野蛮な国です。戦いと繁殖しか考えていない獣共を相手にするのはこちらの戦力が足りないのです』

『ならば獣共を守る森を焼き払ってしまえばいい!!』

『そんなのもっと無理ですから!!』

『無理と言うな『魔術師』!!行動しなければ獣を1匹も殺す事が出来ん!!人間のみの世界を作るのが我らの役目、それこそが神託!!我らは神の意思を実行しなければならない!!』


「落ち着いてください『戦車』。それに関しては1つ手を打っています。それが終わるまで待ってみてはいかがですか」

『どういう事でしょうか、『法王』様』

「現在獣の国に『女帝』が向かっています。彼女なら森を突破し、勇者様と接触する事が出来るでしょう。そしてうまくいけばここに連れて帰る事が可能です」

『『女帝』が?あの堅物が本当に動いたと?』

「私から頼みました」

『それなら納得です。しかし大丈夫でしょうか?相手はあの『大罪人』なのでしょう。女に殺せるとは思えませんが』

「女だからこそ突く事が出来る弱点もあるのです」

『ああ。もしかしてあれですか。『大罪人』は女に弱いという話でしょうか』

「『魔術師』の言う通りです。『大罪人』は女だけは殺さず、生かすというのは聖女への行動で確認済みです」

『なるほど。敗北しても生きて帰ってくる可能性は高いと』

「はい。もし失敗した場合はさらに手を打つ必要がありますが」


『現状行える手段としては悪くないかと。しかし『戦車』に同意するわけではありませんが、いささか奥手すぎませんか?これでは主から早くせよと神託が来てもおかしくないのでは?』

「今回は主もお認めになっております。敵は『大罪人』、慎重に動いてもよいと。まずは勇者様を無傷で『大罪人』から取り返すことを重視されております。ですから『戦車』。森を焼き払った際に勇者様に火傷でも負った場合は主からどのような罰を受けるか分かりませんよ」

『分かりました。もう少し慎重に動きます』


「それから『隠者』。あなたにはもう1つ仕事をお願いします」

『何でしょう』

「『死神』と『悪魔』、それから『力』を動かせるよう準備しておいてください」

『!?彼らを動かすのですか!!』

『奴らは我らにとっても諸刃の剣!それこそ運用を間違えれば勇者様が無事でいるかどうか分かりませんぞ!!』

「それだけ『大罪人』が強大な存在であると言う事です。では聞きますがあなた達は超巨大な海の怪物を単独で撃破できますか?」

『それは……』

『…………』

「それだけの強敵なのです。ならばこちらもそれに合った札を用意しなくてはなりません。『隠者』は彼らの準備をお願いします。『力』に関しては伝説の大罪人と戦わせると言えば簡単についてくるでしょう」

『承知しました』


『『法王』様。実験の途中経過ですが、少しずつ改善しつつあります』

「どうですか」

『例の研究か。どうだ』

『少しずつですが耐久数は上昇していますが、やはり戦闘で役に立つかどうかと聞かれると厳しいかと。現在動かすことすら難しいのでもうしばらく調整が必要かと』

「分かりました。しかし『大罪人』との戦争も近いでしょう。少しでも早い完成を心待ちにしています」

『は!』

『だが『魔術師』。『悪魔』に手伝わせれば研究も早くなるのではないか?あいつも狂ってはいるが魔法の腕は確かだ』

『む。しかしあれが研究に参加した際好き勝手にいじる可能性が非常に高い。今回は特別な1体ではなく、汎用性の高い複数体を求めているのです。あれが参加したら計画そのものが破綻してしまいます』

『そう上手くはいかないか。だが『悪魔』の参加を考えるべきではありませんか?『法王』様』

「しかしそれは本当に最終手段とします。あれが介入した場合『魔術師』の意見同様に破綻してしまう可能性が非常に高いと考えます」

『承知しました』


「それから『塔』に聞きます。『首を吊った男』はどうなっておりますか」

『……おとなしくしています。不気味なほどに』

「不気味なほど?」

『あれは最下層で永遠に首をつっていますが、以前は苦しみながらもがいていました。しかし現在は苦しみながらも必死に声を抑えている様子です。まるであれは……小動物のようでした』

「小動物?あの『首を吊った男』が?」

『はい。『現代の大罪人』と言われていた奴がここの所、声を必死に抑えて自身の存在を隠そうとしているように見えました。以前にも1度だけありましたが』

「以前はどのような時に声を抑えていたのですか?」

『……ドラゴン。大罪のドラゴンと呼ばれているジラントが塔に突っ込んできたときです』

『まさか奴はその時と同じ脅威、もしくはそれに近しい存在が近くにいると察しているとでもいう気か』

『あくまでも現在では予想の範囲を出る事はないが、私はそう考えている』

『これは嫌な雰囲気が出てきましたね。『女帝』は本当に大丈夫なのでしょうか』

「獣の国に入ることまでは出来るでしょう。あの国は強ければ入国を認められる国、入国は簡単でしょうが『大罪人』に目を付けられる可能性は高いでしょうが、彼女なら大丈夫でしょう」

『私もそう信じたいですが……』

『『女帝』は一騎打ちでは非常に強い。信じるしかあるまい。他の仲間はどの程度おられますか?『法王』様』

「彼女の弟子が5名同行しています。そう簡単に敗北する事はないでしょう。弟子の方々のレベルはみな50を超えています」

『それなら大丈夫でしょう。50を超えるのにはかなりの時間と経験が必要となります。それなら勝てるでしょう』


「では今回の会議はこれで終了とします」

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