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干渉と初夜

 特に話すこともなく面倒なのでさっさと乾杯を済ませた。

 突然で何話せばいいのか分からないし、長々と校長先生のように話せと言われたら無理だ。

 なので簡単に乾杯だけ言ってさっさと飲むのが1番いい。

 こんな感じで始まった祭りと言う名の宴。

 ちなみに俺達モビーディック・ムーンを仕留めたメンバーはタダと言う好条件付き。ただで食う飯ほど美味いものはない。


「むぐむぐ。結構いけるね」

「クジラはデカい分色々部位があるから。部位が変われば触感や味も変わる。こっちは皮に近い脂身みたいな感じだけど食うか?」

「食べる!!」


 こんな感じでユウと一緒に食べ歩きを楽しむ。

 ちなみにサマエルはなぜか俺の隣に来ないで少し離れたところからこちらを見ている。

 そしてまた悔しそうに表情をゆがませるのだから何がしたいのか全く分からない。

 一緒に居たいのであればいればいいのに。


 おそらくだがサマエルは俺に誘ってもらいたいのだと思う。

 何されてもいいとか言っておきながら自分から行動するのは苦手っという感じか??

 まぁとにかくこの視線をずっと感じ続けるのも嫌だし、誘ってやるか。


「サマエル」

「はい!」

「そんなところにいないで来い」

「はい!!」


 これだけで嬉しそうに寄ってくるんだからな……

 おそらく天使だった頃から誰かに仕えることに対して喜びを感じるんだろう。

 そして主がどうこう言わない限りは自分の感情を押さえつけているような気がする。

 だからこそそれが爆発ししたときに感情が駄々洩れになるんだろうけど。


「それじゃ俺達は食い物に関してはタダで食えるらしいし、食べ歩きしながら色々見て回ろう」


 こうして俺はユウとサマエルを連れてお祭りデートみたいなことをする。

 あっちこっち目についたものから食べ、たまに出店の遊戯で遊んでいるとネクストが真剣な表情で遊んでいた。


「ネクスト。お前何してんだ?」

「マスター。こちらの型抜きと言うゲームで最も難しいものに挑戦しています」

「確か抜いた型によって景品が変わるんだっけ?」

「はい。その最上位の景品を目指して挑戦しています」


 その最上位の景品とは何だろうと思って見てみると、景品に並んであったのは拳ぐらいの大きさのマリンストーンだった。

 あの大きさだと内陸で売ればかなりの額になる。

 この辺では純度は普通なので1万くらいで買える値段だ。


「あれ欲しいのか?」

「はい。以前の戦いで私は一切役に立つことがありませんでした。船の上でマスターたちの戦いを眺めていただけ。なので短期で実力を上げるには私の装備をより充実させたいと思いその素材を手に入れようとしていました」

「別にあれくらい買ってやるぞ?」

「マスターはそうおっしゃると思いますが、私はまだ与えらればかりです。なのでできるだけこういった素材を手に入れる事に関しては自力で手に入れたいと思います」

「俺から見ればネクストはまだ子供だから与えられるのは当然だと思うが……そう思うのなら頑張りな。頑張って手に入れたものは特別感があって良い」


 ネクストは型抜きでほしい物を手に入れようとしているので応援してその場を離れる。

 次に会ったのはジラントとズメイ。

 こちらは……完全に飲み会だな。

 酒と料理をがつがつ食って飲んでは食ってを繰り返している。


「お前らは……相変わらずだな」

「あ、旦那様。こっちに来て食べない?」

「今はいい。料理もいいが出店の料理を食べ歩くのも楽しいぞ」

「え~。それじゃ1度に食べる量が少ないじゃん。私は大皿で料理を食べたい」

「その気持ちも分かるが……こいつらはどうした?」


 あおむけの状態で苦しそうに倒れている男たちを見ながら言う。

 それに答えたのは酒ばかり飲んでいるズメイだ。


「そちらの男性たちは私達に勝負を挑んできた漁師たちです」

「勝負?怪我とかはしてないみたいだが……」

「勝負と言っても大食いと酒です。姫が大食い、私が酒を担当しています。姫がそこで転がっている男に大食いで勝負を挑まれ、他の男たちも祭りだからと言って飲み食いした結果がこれです」


 なるほど全員あおむけで倒れているのは腹に負荷をかけたくないからか。

 苦しそうにしながらもしっかりと意識があるのもただの食べ過ぎが原因だからだろう。

 そして顔を真っ赤にして倒れているのは酒か?

 食い過ぎとの見過ぎなら放っておいていいだろう。

 急性アルコール中毒で死んだとしても知らん。


「なるほど。それにしても随分飲み食いしたみたいだな。ジラントは腹が出てるし、ズメイも顔が真っ赤だぞ」

「え、マジ?」

「そんなに顔が赤くなっているでしょうか?」


 ジラントは腹を触って、ズメイは顔を触りながら自分の状態を確認している。

 まぁこいつらドラゴンだから食べ過ぎ飲み過ぎでぶっ倒れるようなことはないだろうし、放っておいていいだろう。


「とりあえず宴だからって調子乗りすぎて他の連中の分まで食い過ぎるなよ~」


 俺はそう言って2人から離れた。

 そのあとも食べ歩きをしながら港で商人達が溜まっているところに行くと意外にもレナがいた。


「レナは何してるんだ?」

「ナナシ様。ちょっと彼らと交渉をしていました」

「交渉?」

「祖国にクジラ肉を下してもらえるよう交渉していました。ちょうど祖国で商人をしている者もいましたのでちょうどよいと思いまして」

「ああ。実家にお土産送る感じ?」

「その感覚でよろしいかと」

「そして……白猫は何してるんだ?」


 白猫は顔を真っ赤にして地面の上でゴロゴロしている。

 完全に酔いつぶれた様子だが……酒に弱かったのか?


「白猫酒はダメだったのか?」

「この子はまたたび酒を飲んでしまったのでこうなりました」

「あ、またたびか。納得」


 猫系獣人を絶対酔わせる酒、またたび酒。

 製法は簡単。またたびを酒に突っ込んで寝かせるだけ。イメージとしては梅酒とかに近いかもしれない。


「でもこいつ獣人じゃないはずだろ?またたびで酔うのか?」

「見た目通りなら酔ったはずです。それに違うと言ってもあまり獣人と変わらないように感じます」

「ふ~ん。ならベースは獣人でそのあとから混じった?それとも獣人に真似た影響か?」


 色々予想してみるが今のところ答えは出ない。

 ユウも面白がって白猫の前で指をちらつかせると、面白いようにじゃれてくる。

 普段はそんな様子は一切なく、興味なさそうにしているのにちょっと意外だ。


「実家に土産を送るのもいいが、ちゃんと宴も楽しんでるか?」

「楽しんでおります。交渉もほとんど終わったので今日は飲むつもりです」

「そうか。ちゃんと楽しめよ~」


 そう言ってから俺達はまた離れた。

 そうして食べ歩いている間にユウが腹をさすり始めた。


「流石に食べ過ぎたかも」

「あ~、なんだかんだで食べたもんな。屋敷に戻って寝るか?」

「そうする」

「サマエルも一緒に来てくれ」

「はい」


 講師と俺達は一足先に屋敷に戻ってきた。

 ユウに歯を磨かせて風呂に突っ込ませる。

 俺はサマエルと2人になりベッドの上でぐだ~っとする。


「ふぅ。たまにはこういうのもいいな」

「そうですね。このように賑やかなのもたまには悪くないかと」

「お前の感覚だと100年前の事も最近って言いそうな気がするが?」

「いえ、主様がいなくなった後は研究に没頭していたのであまり祭りなどには参加していなかったのです。なので久しぶりなのです」

「そうか。楽しめたか?」

「楽しみました。主様と祭りで共にできるとは思っておりませんでしたから」


 まぁ確かに大罪人の俺がのんきに祭りを楽しむだなんて想像しないだろうな。

 なんて思っているとサマエルが俺の前で突然土下座をした。


「申し訳ありません」

「え、突然何?」

「以前から私の身体に違和感を感じていたのですが、その正体をお伝えする事を恐れ、今まで伝える事が出来ずにおりました。どうかこので私を殺してください」

「…………突然すぎて訳分からん。最初から説明してくれ」


 突然殺してほしいだなんてせっかくの祭りの雰囲気が台無しだ。

 俺はため息をついてからサマエルを見下ろすと最初から言う。


「私が以前自称善の神の使いであったことはお覚えでしょうか」

「当然だ。お前は自称善の神の怒りを買い、堕天した」

「はい。そして以前の役割、つまり天使としての役割が復旧されているようなのです」

「…………どういうことだ」

「私の以前の役割は私の目と耳を使って人間達が善の神に信仰心を向けているかどうかの確認でした。これはありふれた役割であり、全ての天使がこの役目と機能を持っております。堕天した際にこの機能は停止したはずなのですが、復旧され再び使用されているようなのです」

「つまりお前の目と耳を使って自称善の神が俺達を見張っているという事か」

「はい。なので罰を。私を破壊する事で罰をお与えください」


 なるほど。言いたい事は分かった。

 つまりサマエルは無自覚に俺達の情報をクソ神に流していたのか。

 それならと思い俺はサマエルの肩を掴んで顔を上げさせる。


「サマエル。なら俺はお前に罰を与える。おとなしくしていろ」

「はい。ありがとうございます」


 サマエルは本当にうれしそうに身を預ける。

 だが俺はその場でサマエルを殺すなんてことは当然するつもりがない。

 サマエルをベッドの上に寝かしつけ、服を脱がせる。


「あ、主様?」

「罰を与えると言っただろ。おとなしくしてろ」

「は、はい」


 服を脱がせた後のサマエルの身体は非常に美しい。

 元天使と言うのがふさわしく、黄金比で女性を作ったらこうなるのだろうと簡単に想像がつく。

 俺も裸になってサマエルの身体をまさぐる。

 サマエルは驚き、顔を真っ赤にしながらもこちらの事をじっと見る。

 瞬きを忘れたかのように目を開いたまま俺の事をひたすらに凝視する。


「あ、主様。いったい何を……」

「いいからおとなしくしてろ。あと翼を展開しろ」

「は、はい……」


 サマエルは消えそうな声でそう言いながら翼を展開した。

 翼はカラスの翼のように黒いが、非常にきれいだと思っている。

 誰にも染める事が出来ないこの翼ももう完全に俺の物だ。

 それを一度捨てた奴が俺の物を勝手に奪って利用している?


 ふざけるな。


 俺は『色欲』を使用しながらサマエルの身体を愛撫する。

 決して傷付けないように、少しでも幸福を感じるように手と舌を利用して優しく身体をなぞる。


「あ、主様。それ、ダメ!」

「イきたいなら好きなだけイけ」

「それ、恥ずかしい……っ!」


 必死に我慢しているようだが我慢されるのも身体に悪い。

 俺は自己主張の激しい突起部分を舐めるとサマエルは我慢できずに鳴いた。

 そのあとすぐに俺の事を見て恥ずかしそうにしているが俺まだ続ける。


 それにしても……見つからない。

 だとするともしかしてあっちか?


「サマエル。本来の姿に戻ってくれ」

「……え?」

「本来の姿に戻ってくれ。本来の姿でヤりたい」

「そ、それは……」


 サマエルは本来の姿の事を嫌っているのは知っている。

 だが今その姿が必要だ。

 俺は目で強く訴えると、サマエルは恐る恐ると言う様子で姿を変える。

 その状態で再び愛撫を再開。サマエルは快楽に必死に耐えながら蜜をこぼし続ける。


 いつの間にか蛇の部分が俺の身体に絡みつく。

 力はちょうどよい感じでただ離れたくないという意思を感じ俺はそのままにする。

 改めて蛇になった下半身を愛撫して確認するが見つからない。

 胸と翼も愛撫し探るが……ないな……


 そうなると少し危険だが頭か?

 俺はサマエルの頬をやさしくなでた後にキスをする。

 もちろんソフトな奴ではなくディープな物だ。

 サマエルはキスされたことに驚いてか少し固まったが、遠慮がちに舌を絡ませる。

 キスをしながら俺はサマエルの頭を撫で、見つけた。


 サマエルの脳内に妙な信号を発信している器官を確認。

 脳そのものにと言うよりはその部分に魔法を使っている感じで物理的には破壊できない。

 だがこの『色欲』を使えばこの程度の術式どうとでもなる。

 かなり繊細な術式のようで少しいじっただけで自然消滅した。

 情報を残さないための防御だろうか?だが定期的に確認しておくべきか。

 他にもサマエルの身体に変なところはないかまさぐりながら探す。

 いくつか見つかったので同じように干渉すると消滅した。


『あの……主様……』


 蕩けきった表情で言うサマエルはイって少し落ち着いたのか不思議そうに俺の事を見る。

 だから俺ははっきりと言う。


「サマエル。お前への罰を言う」

『は、はい!』

「俺の子を孕み、元気に生んで育てろ。それが罰だ」


 俺がそういうとサマエルは泣き始めた。

 ぽろぽろと涙をこぼしながら確認するように聞く。


『よいのですか?私のような異形と、醜い者に子を産めと』

「当然だ。てかお前が醜いのだったら元々抱こうとしない。その姿に自信を持て。俺は美しいと思ってる。それとも何か?俺の美的センスってやっぱおかしい?」

『そ、そんなことはありません!!ただその、自信がどうしても持てないと言いますか……』

「お前がお前を信じられないのであれば俺が信じてやる。と言うか手放すつもりはないからな」

『し、しかし自称神の影響が』

「それさっきお前の身体をまさぐってるときに見つけて振れたら勝手に消えたぞ。何か違和感はあるか?」


 俺がそう確認すると自分の身体をペタペタと触るが首を傾げた。


『違和感は……ありません。元々もしかしたら、くらいの者でしたから本当に影響がなくなったのかどうか確認を取る方法が分からないと言いますか』

「だから俺が調べるんだよ。定期的にこうして抱くから覚悟しとけよ。あ、それから念のために言っとくけど抱くのは俺の意思だから。お前の身体を調べるだけなら抱く必要ないから。俺はお前に俺の子供を産んでほしいからだくだけだから」


 子供を産んでほしいというところを聞くたびにサマエルは顔を赤くする。

 そしてサマエルは俺の前で女性が最も大切にしているところを手で開いた。


『分かり、ました……このサマエル。主様であるナナシ様の子を、孕んで生みます』

「ああ、頼む。あとこれはうまくいったらだけどさ」

『はい?』

「最低でも子供2人欲しい」

『………………頑張ります』


 サマエルは顔を真っ赤にしながら俺に身を任せたのだった。

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