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ドワーフの国に向かう

 ネクストがエルフの国でレベリングを行い、レベル20になったところで俺達はまた旅に出た。

 更にネクストとサマエルが追加されたことにより合計7人。

 本当にボッチプレイをしていた300年前からはあり得ない人の多さだ。

 なのでたった2人だけでバイクに乗るわけにもいかず、歩いて行動する。


「それで次はドワーフの国だっけ?」

「そうだ。さすがにまだ生きてるとは思うが、おっちゃん生きてるかな?」


 おっちゃんと言うのは俺がいつも頼んでいる砥ぎ師のドワーフの事だ。

 確か当時500歳で単純に今800歳だから……多分生きてるな。


 この世界のドワーフは他の漫画などに出てくるように低身長で力のある種族だ。

 土の魔法が得意であり、鍛冶などの物作りが得意。

 男の方は毛むくじゃらで髭をたっぷり蓄えているのが男らしいとされる。

 ちなみに女性の場合はただのロリ、ぱっと見子供だ。

 種族的に背が低く、普通に大きいくらいで中学生くらい、小さいと小学生くらいに見える者もいる。

 さすがに女性のドワーフは髭などは生やさないのでそのまんまロリである。


 ちなみに寿命は1000年でかなりの長生き。

 岩から生まれたとか岩に関する神様とドワーフの先祖の子孫とか、様々な話が出ているほどだ。

 どれが正解なのは知らないし、興味もないがとにかく背が低くて力のある種族と捉えればそれでいい。


「おっちゃん?」

「魔剣の砥ぎをしてくれるドワーフの事だ。魔剣の整備を行える人はあんまりいないから死んでたら困るな~」

「それってもしかしてジラントと戦った時の魔剣全部?」

「え、当然だろ」


 俺が当たり前のように言うと他の者達はみな呆れたようにため息をついた。

 それなりの数はあるがあのおっちゃんなら問題ない。

 何度か一気に持ってきて怒られたことはあるけど。


 そんな理由で俺達はドワーフの国に向かう。

 ドワーフの国は鉱山に囲まれた山の間に存在し、鉱山に囲まれた天然の要塞により防御は非常に高い。

 その代わり食料自給率は低く、鉱山特有のモンスターに苦しめられたりもする。

 鉱山にいるモンスターの類は物理攻撃に強いモンスターが多い。

 代表的なのはアイアンリザードとアイアンゴーレム。

 アイアンリザードは鉄の鉱石を皮膚に張り付けたトカゲなのでまだましだが、アイアンゴーレムは全身隙間なく鉄でできているために魔法でしか倒す方法がない。

 物理攻撃でも壊せないことはないが……効率を考えるのであれば魔法の方が圧倒的に良い。

 特に雷系の攻撃だとすぐにぶっ壊れるので楽だ。


「ドワーフの国でも少し小遣い稼ぎをしながらネクストの攻撃魔法の特訓をしようと思う。いいかネクスト?」

「マスターの命令に従います」

「あとジラントも魔法の訓練ここでしていけ」

「え、私も?」


 予想していなかったのかジラントが自分に指をさしながら俺に確認をする。

 俺はため息をつきながら言う。


「お前の場合周囲を巻き込んだ大規模魔法ばっかりで細かい作業とか苦手だろ。長距離から大規模魔法をぶっ放すのもいいが、精密に射撃できる能力も欲しい。だから洞窟内で魔法を使うっていうのはいい訓練になる。もちろん崩したら迷惑かけるから崩すなよ」

「旦那様は大罪人なんだからそんなこと考えなくていいでしょ!?」

「大罪人ってのはポラリスでの話だ。お前らの国で大罪犯した覚えないぞ~」


 そう笑いながら言うとジラントは地団駄を踏んだ。

 それをなだめるズメイ。

 実際ジラントには長距離砲撃的な役割がふさわしいとは思うが、周りに俺達がいる状況でも使えるとなるとある程度の命中性能も高めてほしい。

 あれば問題ないと言って関係のない物を巻き込むのは個人的につまらない。

 俺も大量虐殺はしているが関係のない連中を殺すほど落ちぶれてもいない。

 それをジラントにも実践してほしいと思っている。

 そのためにはただの移動砲台としてではなく、スナイパーのような精密に打ち抜く技術も身に付けてほしい物だ。


「それからネクストのメイン武器をどうするかもドワーフの国で決めよう」

「マスター。質問なのですが私にはすでに『短剣使い』『弓使い』のスキルを保有しております。それなのにメイン武器とはどういう事でしょうか」

「今回選ぶのは短剣だけのつもりだが、一応機械弓も見てみるつもりだからな。ドワーフの国には様々な武器がとり揃ってある。さすがに俺の魔剣は気に入った相手にしか力を貸さないから渡せねぇが、それでもドワーフの武器だって悪くない。何より普通の武器っていうのは知識と経験さえあれば誰にだって使えるのが1番利点だ。大きさや刃渡り、いろいろ細かく決めようと思えばいくらでも変化させる事が出来る。機械弓に関してはお試しだがな」

「なるほど。つまり様々な短剣や弓から私に適したものを選ぶ、という事でよいでしょうか」

「そういうこと。と言っても弓に関してはエルフの方が優れているし、機械弓はおまけみたいなもんだ」

「了解しました」


 ネクストの事も納得させ、俺達はドワーフの国に向かって歩き続けた。

 休みながら歩いて10日後、ようやくドワーフの国に着いた。

 と言ってもドワーフの国のはじっこであり、首都まではまだまだ遠い。

 だが想像だにしていなかった乗り物があったのでそれを利用することにした。


「すごいねこれ!こんなにいっぱい人を乗せて首都まで行けるの!?」

「らしいな。にしても鉄道か……まさかこんなものまで作られているとは思わなかった」


 そう、鉄道。

 蒸気機関車が走るあの鉄道だ。


 どうやらこの世界でも鉄道を開通させたらしい。

 300年前には存在していなかったのでおそらく俺がいない間に作られたのだろう。

 機関車は何両もあるし、見た目通りの性能とは思えない。

 何せ魔法が当然のように存在する世界なのだからかなり速くてもおかしくはない。


「ナナシ様は知っておられるのですか?」

「少しだけね。とりあえず俺達が乗るのは……あの寝台列車だな」


 1番豪華な寝台列車を指さしながら俺は言う。

 この寝台列車を使って首都までおよそ2日かかる。

 だが普通の寝台列車では1週間もかかるそうなので時短にもなる。

 あとどうせ食うならうまい方がいい。


「そんじゃさっさと乗っていくぞ」

「むっす~」


 そんな中、1人だけいまだ不満を持っているのがいる。

 サマエルだ。

 さすがに寝台列車でこの人数が1度に泊まる事が出来る部屋はなく、2人1組で泊まる事になったのだが……白猫と一緒が嫌らしい。


「主様。初めての旅行で主様と一緒じゃないのはどうかと思うんだけど」

「そんな事言ったって……くじ引きで決めたじゃん」

「ええ、ええ。1人にするのは危険だからとの理由でユウちゃんとネクストちゃん、白猫ちゃんをバラバラにしたのは分かるよ。でもね、それでもやっぱり最初の旅行くらい主様と一緒になりたかった!!」

「わがまま言うなよ……どうしようもないじゃん」

「でもズメイちゃんとジラントちゃんの組み合わせは不自然だよね!?」

「いつものコンビじゃん」

「いつものコンビだからおかしいの!!しかも、しかも全く懐いてくれてない白猫ちゃんと当たるなんて……」


 まぁ確かに白猫はサマエルに懐いていない。

 サマエルに強力な毒があると本能だけで理解できているのか全く近寄ろうとしないのだ。

 ちなみに今の白猫はなぜか列車の匂いを嗅いでいる。

 何がしたいのか全く分からん。


「とりあえず、諦めろ」

「そんな~。主様と夜中にエッチな事をする計画が……」

「そんなこと考えてたんかい」

「僕、いまだに処女!!」

「ゆっくり出来たら抱いてやる」

「エルフの国でもそういって結局抱いてくれなかった!!」

「はいはい、そのうちな~」


 軽く流しながら俺達はドワーフの国に居るおっちゃんの元へ向かうのだった。


「スルーされた……またスルーされた……」

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