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ジラントの初夜

 飯を食い終わったその日の夜、俺とジラントはベッドの上で向かい合っていた。


「…………」

「…………」


 お互いに無言。

 ジラントはこれから行うことに関して緊張しているように見えるが、俺の方は少し違う。

 緊張というよりは殺気が俺に向けられているのでヤり辛いということだ。

 1人は予想通りズメイがかわいい姪っ子を俺がひどい事をしないかどうか見張っている。

 もう1人はレナ。こっちはこっちで俺とズメイがヤる事が気に入らないらしい。

 そして興味深そうにわくわくした感じでのぞき込んでいるのがユウ。

 俺は別に見られながらヤる事は抵抗ないが、ジラントには少しハードルが高いんじゃないだろうか。


 だってジラントの奴処女だぞ。

 初夜が誰かに見られながらってさすがにそれはちょっとあれなんじゃない?と思っている。

 まだマシなのはジラントが緊張しきってガッチガッチになってまだ覗かれている事に気がついていない事。

 この状況をマシと言っていいのか本当に分からない。


「ジラント」


 俺がそう声をかけると想像以上に肩を震わせてからジラント話す。


「な、何!?」

「いや、緊張してるみたいだからさ、どうする?また次回にするか?」

「そ、それは困る!!」

「困るってなんだよ。どうせこれから一緒なわけだし、困るっていうのはなんか違くないか?」

「だ、だって……これ以上レナと離されたくないし……それに今日止めようって言ったらどうするの?」

「エロい事したいからレナ抱く」

「それが1番嫌なの!!だから抱いて!もう私されるがままになってるから好きにして!!」


 なんだかやけっぱちみたいな感じでベッドの上で大の字になるジラント。

 ヤりたいって感情はあるみたいだし、面倒だから本当に俺が攻めまくってジラントにはマグロになっていてもらうか。


 覚悟は決めたが動けないジラントの上に覆いかぶさり、ジラントはこれからされる事に緊張しているのでとりあえずキスをする。

 それでも反応が俺好みじゃない……

 今の反応はただ緊張して感覚が鋭くなりすぎているだけだ。

 もっとこう、甘ったるい感じが好みだ。

 よく意外と言われるイチャラブの方が俺は好み。

 より詳しく言うと俺に依存してくれる軽いヤンデレがいいんだよな。

 そうすれば首輪なしでも今後の関係楽だし。


 キスでもまだ緊張しているのなら俺は1度ジラントの横に寝て抱きしめる。

 抱きしめたまま頭をゆっくり撫でて緊張をほぐす。

 しばらく撫で続けるとジラント安心した表情を作りながら力を抜いていく。

 ジラントの方からも抱きしめてきたので俺はもう1度キスをした。


 最初は本当に緊張が解けているか確かめるためだけのキス。

 唇だけを触れさせるものだ。

 唇を離すとジラントはうっすらと目を開いて残念そうに見える。

 これならもういいだろうと思いながらジラントの口の中に舌を突っ込みかき回す。

 ジラントは……嫌がっていない。むしろ俺が積極的にジラントの事を求めていると分かったからか俺を抱きしめる力が強くなった。

 また唇を離すとジラントはとろけた表情をしながらもっと欲しいとねだりだした。

 でもそれだけでは足りないので俺はジラントの唇をむさぼりながらジラントの身体をまさぐる。


 ジラントはもう完全に緊張が解けていた。

 俺に触れらるだけでうれしいと全身で表現しながらも、もっと強い快感が欲しい。もっと激しく求めてほしいと身体をくねらせる。

 それはただ快感に悶えているだけではなく、俺を誘惑し、その先の行為をしてほしいというアピールだ。

 寝た状態から再びジラントに覆いかぶさる体勢になり、俺は言う。


「ヤるぞ」

「うん。来て」


 ――


 次の日の朝、久しぶりに腰とあそこが痛かった。


「あ~……ヤりすぎた」


 ドラゴンを抱くのは初めてだが、体力と性欲半端なかった。

 最初こそジラントはマグロ状態で受け身になってばかりだったが、途中から自分からも動いてみたいと言い攻守交代。

 どちらかが疲れたら交代しながら延々と繰り返す。

 どうやらジラント少しでも身体と身体をくっつけた状態が好みだったのか、真正面から抱き着いて離れようとはしなかった。

 キスも唇がふやけるんじゃないかと思うほどしたし、ジラントの尻尾は俺の腰に絡みついて決して離さない。

 さすがに腰を動かし辛いと言ったら少しだけ緩めてくれたが、ジラントが快感を得る部分は1番奥だったらしく、とにかくそこにくっつけたがっていた。

 さすがに疲れて寝たいと思た時もジラントは決して離れなかったし、抱き着いたまま寝た。


 それにしても……ベッドが想像以上にぐっちゃぐちゃだな。

 それだけ長い時間していたのは分かっていたが、これはひどい。


「失礼します。湯浴みの準備が出来ました」


 そう言ったのはズメイだ。

 すでに後ろには多くのメイドが並んでおりいつでもベッドを洗える準備をしている。


「おはよズメイ。もうちょびっと寝かせてくれねぇか?」

「これ以上放置した場合そのベッドごと廃棄しなくてはいけなくなります。ですのでジラント様もご一緒に湯浴みに連れて行ってください」

「え~」

「え~ではありません。掃除の邪魔です」


 しっしと追い払う動きをしながら言うズメイ。

 そんなズメイにこんな返しをしてみた。


「で、1晩見張っていた感想は?」

「本当にあなたの性欲は化け物じみていますね。あの淫魔に鍛えられたのですか」

「いや、鍛えてもらったのはベッドの上での女の子の扱い方だけ。体力とかはまぁ……レベル上げればどうとでもなるから」

「はぁ。お嬢様、起きてください。湯浴みの準備できてますよ」

「う、う~?」


 ジラントはまだ夢の中らしい。

 そりゃそうだ、俺だってまだ寝てたい。

 多分気絶するように寝てから1時間程度しか経ってないぞ。


「もう少し寝させろ~」

「ダメです」


 そういわれて俺とジラントは強制的に風呂場へと連れていかれた。

 メイドさん達に身体を洗われ、湯船にドボン。

 ジラントも似た感じで湯船にドボンした。

 まぁ湯船って言っても王族が使う風呂だからスゲー広いんだけどね。

 これ1度に何十人は入れるのかな~。


「う~、眠いのに寝れない……」

「ジラント。ここは素直に諦めろ。最低でもベッドが変えられるまでの辛抱だ」


 そういうとジラントは頭を俺の方に乗せる。

 いつの間にかジラントの手が俺の手を握っているし、このまま湯船の中で寝そうな感じだ。


「ねぇ……今度は急にいなくならない?」

「急にってなんだよ」

「急に……いなくなって寂しかった」

「…………」

「絶対にいなくならないって思っていた人が急にいなくなって、二度と会えないって言われて悲しくなって、他の人達が嘘をついてる様子もなくて、でも信じられなくて……」

「…………」

「でもやっぱり嘘だったんだね。今ここに……いる」


 そういいながら眠たげな表情のまままた俺の真正面から抱き着いてくる。

 眠たいせいか力が弱い。

 弱い分は俺がしっかりと抱きしめた。

 それに安心したのかジラントは俺の肩に顎を乗せて甘える。


「これからは……一緒……強くなれたから……一緒に……」


 そういって静かに寝息を立て始めた。


 正直に言って本当によく分からない。

 俺は大罪人だ。

 自分の事が1番大切で、他人の事なんて一切考えてこなかった。


 俺より優しい男はいる。

 俺より真っ当な男はいる。

 俺よりいい男絶対にいる。


 なのになぜ……ジラントは、いやレナやベレトは俺が良いと言ったんだろうか?

 湯船につかりながらのんびりと考えてみよう。

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