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スキル説明

 そんなノリと勢いだけの異世界転生により俺はどこかの町でぽつんと立っていた。

 周りの人達は人相の悪い男や、分厚い化粧をしたおばさん達が風俗に誘おうとしている。

 少し路地裏を見てみれば、ボロボロの服を着た子供が野犬のような鋭い視線を手当たり次第送っている。おそらくひったくりでもするつもりなんだろう。治安が悪いというのは本当らしい。

 そして俺の服装は初期装備ですらない。ゲームじゃありえない装備していない状態で町の中にいた。

 その姿は完全に身ぐるみはがされた後の人。下着みたいな短パン、下着みたいなTシャツ、武器や防具は一切なし。助かったのは貴重品アイテムは無事だった事だろうか。でもこれは武器にも何にもならない。

 舐めプにも程があるだろ。普通だったら絶望的な状況かも知れないが俺のスキルだけは無事なようなのでどうとでもなる。


『名前  ナナシ Lv99

 称号  大罪を背負う者 悪神の代行者

 スキル 大罪人 覇王覇気 森羅万象 魔神 武の極 状態異常無効』


 称号やスキルだけを見ると数が少ない様に感じるかも知れないが、称号とスキルの違いは自分の意思で発動する事や、スイッチのオンオフが出来るかどうかと言う感じだ。

 称号は常時発動するステータスの上昇系であり、大罪を背負う者の場合はスキル『大罪人』を使用した時、その効果の上昇とバットステータス付与の成功確立を上げる。

 悪神の代行者は罪を犯すような行動をした際にステータスが上がるらしい。これはゲームをしていた時に得た称号ではなく、おそらく異世界転生した事によって得たおまけだろう。


 スキルに関しては、大罪人がいわゆる統合されたスキル、俺が罪を犯しまくって得た大罪シリーズと言われるスキルをまとめた物の様だ。


『傲慢』はゲーム内の教皇を殺す事で得る事が出来る。スキルの内容は自身から半径100メートル×レベル内で様々な空間系魔法がMP消費なしで使用可能というスキル。空間魔法はかなりの上級魔法扱いで、瞬間移動や空間を切り裂いて攻撃するというマンガみたいな攻撃も可能だ。

 ゲームバランスを崩壊するぶっ壊れ性能なのは当然だ。元々このゲーム内の教皇を殺すという条件があまりにも厳し過ぎるからだ。教皇は常に護衛である10体のNPCに守られているし、そのNPC達も平均レベル90というぶっ壊れた守りなのだから誰も狙おうとしなかった。

 でも実はこれには穴があり、周りにいる護衛を倒さなくても別に良い。ぶっちゃけ教皇を暗殺できればスキルを得る事が出来る。

 まぁ俺も『傲慢』を手に入れる事が出来ると知っていた訳じゃないけど。ただ単にぶっ殺したらどうなるんだろうという好奇心からだったが。


『嫉妬』は自分よりレベルの高いプレイヤーを100人殺す事で手に入る。スキル内容は一時的に相手のスキルや容姿を完全コピーすると言う物、俺は別に今のプレイスタイルに文句はないし、強いからマネしようと思ってなかったのでぶっちゃけ俺の中では死にスキルだった。

 だってレベルもコピーした当時のまんまだし、今じゃ俺よりも低いレベルの人間にコピーする必要性がない。精々使えるのはコピーした身体を使って濡れ衣を着させたり、俺の知らないスキルを知るためと言う感じだ。

 意外と有名なプレイヤーのスキル構成は情報として高く売れたのは意外だった。


『憤怒』は回復なしの状態異常“怒り”の時に10000体殺す事。これはプレイヤーだろうがモンスターだろうが関係ないのでちょっとだけ楽かもしれない。

 ただ気を付けなければならないのは、怒り状態だと魔法とスキルが使用できないというデメリットだ。その代わり物理攻撃力と速度が上昇する訳だが、プレイヤースキルが非常に重要と言える。

 そして最大のデメリットは『憤怒』を手に入れるためのクエストを途中でリタイヤできない事。生き残ってスキルを得るか、死んでしまうかのどっちかだけである。


『怠惰』は自分以外のプレイヤー、またはNPCが自分のレベルを10上げる事。

 普通これを聞けば無理じゃね?っと思うだろうが俺には倒したプレイヤーを奴隷にする事で成し遂げた。あっちこっちから恨まれているので向こうからやってきたプレイヤーとNPCを半殺しにして状態異常で動けなくした後、“隷属の首輪”と言うアイテムを使って奴隷にして俺の経験値を集めてきてもらった。

 NPCから見ればただの隷属なのだが、プレイヤーから見るとこのアイテムを装備させられるとゲームオーバー扱いにされる。その代わり俺もプレイヤーに装備させる場合HPをギリギリまで削らないと装備できないというデメリットがある。お陰で力加減を間違えて殺したプレイヤーの数も多い。

 当時はその奴隷の使い方を知るために適当に狩場で魔物を殲滅させていたのだが、奴隷が倒した経験値は全て俺に入り、あっという間にレベルが10上がったかと思うと同時に『怠惰』を手に入れていた。

 ちなみに『怠惰』のスキル効果は自分自身のステータスが半分になる代わりに味方のステータスが2倍になると言う物だ。

 なのでこれもほぼ死にスキル。俺自身の手で殺すのが楽しかったし、俺自身が弱体化するのは避けたいと思っていたから。

 それにぶっちゃけ俺犯罪ばっかりしてたからボッチだったし、仲間いないから使えるのは奴隷達だけだったというのもある。

 今奴隷もいないから使いようがないし。


『強欲』は相手の装備、アイテム、スキルなどなど、相手が所有してる物を奪うスキル。

 前に1度魔物使いの珍しいプレイヤーが従魔を使って攻撃をしてきたのだが、強欲で奪えた。その後は奪った従魔でプレイヤーを殺した。

 こんな感じで相手の所有物を奪って俺の物にするスキルで使い勝手はかなり良い。俺のプレイスタイルと相性の良いスキルなら俺の強化につながるし、奪われた相手は弱体化するので良い事尽くめだ。

 でも必ずしも当たりばかりではなく、俺のスキル構成と相性の悪いスキルだって存在する。あとは普通に俺自身が使い辛いと感じるスキルは一応はずれに分類される。

 だがどうやら現在は1度死んだことにより奪ったスキルが全てなくなってしまった。まぁそんなもんなくても十分強いから問題ないんだけど。

 このスキルを得るにはどっかの国の国宝を奪う事。国のレベルによって得る事が出来たり出来なかったりするが、大国のお宝を盗めばだいたい手に入る。

 まぁ俺はただ単に欲しいアイテムを奪ったら偶然手に入ったんだけど。


『暴食』は意外と地味だが使い勝手がよく、広く使えるスキルだ。

 まず攻撃は身体の1部が触れた所から相手のHPやMPを吸収できる。ただすでに放出された魔法は触れてもMPに変わる訳ではない。

 暴食を得るとHPとMPの上限が取り払われ、ほぼ無限にHPとMPが手に入る容量を得る事が出来る。本来であればレベルアップかHPやMPを上昇させる消費アイテムを使う必要があるのだが、そういったアイテムは非常に高価でレベル99になって、それ以上HPやMPが上昇できないであってもHPとMPに関しては増やし続ける事が出来るようなるのだ。

 それからリアリティーを感じるためか体力ゲージも用意されている。こちらも上限はなくなり無限に食料を食べて、体力ゲージを通常以上に溜めておく事が出来る。

 デメリットに関しては状態異常を防ぐ効果はない事だろうか?間違って毒物を『暴食』で食べてしまうと自ら毒を取り込んだ事になる。おそらく体内に吸収されてしまったという扱いなんだろうがこれは気を付ければ防げるものだし、例え毒を食べてもHPがほぼ無限だからそう簡単に倒れる事はない。

 だから気を付けるのは『睡眠』や『麻痺』の様な身体が動けなくなる類。あとはレアだけど『石化』とかもかな?と言っても薬に出来るのかどうか分からないけど。

 ちなみにこのスキルを得る方法は聖獣と呼ばれるモンスターを100匹食べる事。どの聖獣を食べてもスキルを得る事は出来るが、絶滅危惧種扱いで数が少ないのが注意。

 俺はどうやってスキルを得たって?絶滅危惧種を保護する自然公園に侵入して狩りまくった。聖獣はみんな意外と美味しかったです。


 最後に『色欲』はスキルの効果は意外とエロくなく、スキルを得る方法はとある闇ギルドのクエストでホムンクルスの製造をしている魔術師をぶっ殺して持っている魔導書を奪うと手に入った。

 強姦も何度もしてきたのに関係ないとはこれはいかに。

 そして色欲のチート能力は人造人間ホムンクルスの製造である。

 と言っても出来るのはホムンクルスの製造だけではなく、錬金術を使って様々なアイテムを自作する事が出来ると言った方が正しい。

 でも作るには必ず素材が必要で、その素材を生産する事も出来る。かなり便利そうなスキルに聞こえるかもしれないが、素材を作るのは結構なMP消費が激しかったりする。

 簡単な物、例えばただの鉄とかだったらMP消費量も大した事はないのだが、レア素材であるミスリルを作ろうとするとメチャクチャ消費する。多分MPに極振りした魔法使いでもかなり厳しいんじゃないだろうか。俺の場合は『暴食』のおかげでMPを限界以上に溜める事が出来るからそれで作れたが、金の延べ棒サイズのミスリルを作る時にMPをかなり削られた。ぶっちゃけ俺以外の奴らが手にしていたとしても、素材は自分の手で取って来るしかなかったと思う。

 他には自分が触れた地面や大気を利用して魔法の真似事をしたり、元素を利用して水素爆発を起こしたり一酸化炭素中毒で暗殺してみたりとそんな感じで使っていた。

 ちなみに『色欲』最大の効果であるホムンクルスの製造は1度もやった事がない。

 だって人手は奴隷を使えばいいし、製造に結構しっかりとした施設を作る必要があったから面倒臭くてやらなかった。それに地面に触れて落とし穴を急に作ったり、低コストの鉄で相手を串刺しにする方が不意打ち付けてよかったんだよね。武器の製造まではやってなかったけど。


 あ~。大罪シリーズの説明だけで疲れた。

 残りのスキルはパパっと終わらせよう。


『覇王覇気』は覇気シリーズの中でも特にソロ向きのスキル。

 例えば『英雄覇気』だと『カリスマ』と言うスキルが付随しており、自分が使っている時に仲間にもある程度のバフが付与される事で攻撃力や防御力が10%アップする。

『魔王覇気』だと『恐怖』というスキルが付属されており、攻撃する対象を脅す効果が追加される。

 そして俺が持っている『覇王覇気』は完全に使用者個人のみの強化であり、その代わり他の覇気より全ステータスが20%上昇する。


『森羅万象』は探知系スキル。自分自身を中心に半径1メートル×レベルだけ距離が伸びて探知する事が出来る。

 そして本来であれば自分の目からの視線しか感じる事が出来ないが、このスキルを使えば上空から自分自身を捕らえる事が出来る。

 他のゲームとかで自分が操るキャラクターを上空から見て操作する事が出来るあれだ。あんな感じでスキルの範囲内なら自由に視点を変える事が可能だ。


『魔神』は一見凄そうなスキルだが、ただのMPの上限突破系スキルと、MP消費を抑えるだけのスキルだ。

『魔力』から始まり、『魔術』『魔導』とスキルを進化させていって最後に『魔神』。プレイヤーレベル60を超えた辺りからみんな持ってるスキルなのでそう珍しい物ではない。


『武の極』は武器アイテムを使わずに戦う『武道』の最終スキル。殴る、蹴る、投げるなどの攻撃力を上昇させてくれる。

 このスキルないとただ殴って攻撃しても大してダメージにならないんだよね。主にPVPを想定しているプレイヤーは結構持ってた。


『状態異常無効』はそのまんま。状態異常にならないスキル。

 俺の『暴食』のようなスキルでも状態異常を無効化出来るので普通に便利。それからあくまでも状態異常を受けないというだけなので普通にダメージは受ける。

 初心者だとこの辺間違えている時が多いんだよな……状態異常特化の魔法でもダメージはある。

 たとえ大した攻撃力でなかったとしても、一応ダメージ判定はある。例えば毒液をかけられたとか、毒を塗った針で刺されたとか、攻撃判定までは無効化しないので注意。


 他のプレイヤーなら他にもかなりのスキルを所有していると思うが、俺の場合大罪スキルにどんどん取り込まれていったのでこの程度だ。しかも大罪スキルも全部統合されちゃったし。

 とりあえずこの治安の悪そうな町からスタートか。

 まず俺が行うべき事は中立都市、リブラっと言う国に行く必要がある。この国は様々な国と中立を保っており、悪人善人関係なく商売をする俺にとって都合の良い国だ。

 そんな悪人も大人しくする国として治安が良い分この国で犯罪を犯すと非常に後が面倒臭い。リブラで捕まった悪人達は大抵が無期懲役で永遠に檻の中。死刑はないらしく、文字通り寿命が尽きるまで贖罪を続けさせられるらしい。


 そんな面倒な国に何故いくかというと、そんな中立都市に世界最大の銀行があるからだ。

 その銀行には金だけではなく宝石や金塊、絵画などの文化的な物から武器や防具も預ける事が出来る。さらに世界最大であり、世界最高の防衛施設も整っている事から世界中の金のある者共が様々な物を預けに行くのだ。

 そして俺の様な名の売れた大罪人であろうとも扱いは平等であり、国際手配されていようが世界のトップスターだろうが貧乏人だろうが、金や物を預けた者に最大限の敬意を払い、持ち主が取りに戻るまで永遠に守り続けるとの噂だ。

 その噂により死んだどこかの大富豪の宝がそのまんま残っているとか、そんな噂も途絶える事がない。本当か嘘か分からないが、その噂を信じて盗みに行く無謀者もいるとよく聞く。


 さて、奪われた俺の最強装備の情報を探しながら向かいますか。

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