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ネクスト対『吊るされた男』

「指揮官が急に殺された!!」

「敵はいったいどこだ!!」


 ナナシと光の神が戦い始める前、ネクストはナナシの指示通りポラリスの指揮官を狙って殺して回っていた。

 一撃で首を斬り落とし、突然指揮官がいなくなって混乱したところをジラントの攻撃で一気に殺す。

 それを繰り返してポラリスの騎士達は大幅に数を減らしていた。

 3体の天使達がジラントの事を倒せなかった以上ジラントの攻撃はやまない。

 しかも混乱しているときにタイミングよく攻撃されるのだからポラリス側はたまったものではない。


 ネクストは作業的に指揮官を狙い、確実に殺していく。

 それが自分の役割だと思っているので殺す事にためらいはない。

 むしろ友人を助けるための必要な行動だと思っているのでより正確に、確実に行わなくてはならいと考えている。

 これらの行為がユウを救う事に繋がるのだから真面目に行う。


 指揮官の特徴は一目で分かる。

 馬に乗っているとか、他の一般的な騎士よりも鎧に細工がしているなど、ナナシに見分け方を教わっていた。

 それに見るからに偉そうにしているからネクストにも非常に分かりやすい。

 偉そうにしている雰囲気とか、護衛がいたりするので分かりやすい事この上ない。


 ネクストはそれを瞬時に見分け、指揮官だけを倒す。

 それを繰り返している間、明らかに奇妙な男がこちらを見ていた。

 見るからに奴隷、もしくは囚人と言う風貌で、隷属の首輪にボロボロの麻製の服を着た。

 髪はぼさぼさ、髭もまばらに生えた不潔な男。


 その男がじっとネクストを見たかと思うと、突然襲い掛かってきた。

 ネクストは短剣で男の攻撃を防ぐと同時に伸ばしてきた腕を斬り落とそうとしたが、男の皮膚は非常に頑丈で浅く血が出る程度しか傷付ける事が出来なかった。


『緊急事態発生。明らかに他の騎士達とは違う存在を発見。対処します』

『待ちなさいネクスト。私が対処して――』

『私が対処します。これでもナナシ様に創られた存在ですから』


 レナが代わりに対応しようとしたが、ネクストはそれを断った。

 ここで1人で対応できなければナナシにはいつまでも守られる存在だと思われるのが嫌だった。

 他の仲間と同様に隣に立っていられる存在だと、ナナシに見せつけたいといつの間にか考えていた。


『……分かりました。しかし危険だと判断した場合すぐに手を出します。よろしいですね』

『ありがとうございます』


 レナと魔法で話し合った後、ネクストは男の前で短剣を構えた。

 男は明らかにネクストの事を捉える事が出来ている。

 スキル『忍者』によってネクストの存在は非常に希薄になっている。

 簡単に言えば目を凝らしてよく見ないと確認する事が出来ない。

 しかもそれは周囲が静かな場合だ。

 非常に騒がしいと言える戦場で周囲に紛れて、存在が希薄になっているネクストを捕らえるのは上位の証と言えるだろう。


 ネクストは小さく息を吐き出すと、風魔法で男に攻撃した。

 男は風魔法を受けて踏ん張って耐える。

 もちろん風魔法はかまいたちのように相手を切り刻む物だが、男の肌を斬る事が出来ない。

 防ぎ切った男は即座に前に出た。

 拳をネクストの腹部を狙って放つがネクストは風魔法を自分に使ってより大きく後ろに下がる。

 男の拳はポラリスの騎士に当たり、殴られた騎士は大きく飛んで行く。

 しかも鎧は破壊され、簡単に死んでしまった。


「何をしてる貴様!!罪人の自覚があるのか!!」


 他のポラリスの指揮官に男は怒鳴られた。

 その様子を見てネクストは男はポラリスの罪人である事を知った。

 だがポラリスは罪人を嫌う傾向にあるのではなかったかと、ネクストは考えるがすぐにそんな暇はないと思ったのでそれ以上考えるのをやめた。


 男は少しだけネクストを探し、見つけるとまた獣のように襲ってくる。

 爪で引っかこうとしたり、噛みつこうとしてきた。

 ネクストは冷静に男の動きを見て的確にかわす。

 男の動きは非常に単調で、大きく手を振り下ろしたり、ほとんどがむしゃらだ。

 だがその力任せの攻撃は非常に危険であり、ネクストのレベルが高いとはいえ直撃を食らうのは非常にまずい。


 何せまだネクストには決定打がない。

 ナナシや他のみんなに教わった暗殺術や一撃必殺となる攻撃をいくらはなっても、男の強靭な皮膚に守られて命を奪う事が出来ていないからだ。

 首の動脈を狙った一撃。

 伸ばした手首を斬り落とす技。

 鳩尾に放った風の砲弾を放つ魔法。

 どれもあまり効果が薄い。

 皮膚が浅く斬る事が出来ている点を見る限り、全く攻撃が効いていない訳ではない。

 ユウとは違う防御系のスキルを大量に持っているのか、それともまた別のスキルによって体を強化しているのかネクストは調べる。


 まず男の体の表面にオーラや覇気のような輝きは見られない。

 麻痺毒を混ぜた投げナイフを突き刺した時、ほんのわずかだが動きが鈍った。

 だがすぐの解毒されたか、動きは元に戻る。


 ネクストは様々な方面から男を確かめて戦略を練る。

 それでいくつか分かったことがある。


 1つはこの男自身にあまりスキルはないのではないかという予想。

 他のナナシ達の持つ『状態異常無効』とは明らかに違う反応を見せているからだ。

 一瞬睡眠系の毒を混ぜた攻撃を受けさせた時、男はすぐに眠りそうになったのにすぐに意識が覚醒した。

 他の毒も似たような感じであり、麻痺毒を受ければ一瞬動きがぎこちなくなるがすぐ元のように動けるようになる、幻覚系の毒を使えば視線が合わなくなったと思うとまたすぐはっきりとこちらを視界に捉える。

 どの反応も『状態異常無効』を持っているのであればありえない反応だ。

『状態異常無効』は元々効果を発揮させないのだから一瞬だけ効果があるという時点でおかしい。


 もう1つは体の異常な頑丈さはおそらく男の持つスキルの力だ。

 こちらの方は身体能力の他に、異常な動きをしている。

 ただ力任せの攻撃で同じレベルの相手と戦った事がない素人の動き。

 おそらく戦った事があるとしても、力任せだけで勝つ事が出来たナナシの言う技術のない強者だ。

 だからこの獣のような動きは男自身の動きだろう。


 最後にこの男、ナナシの言う特徴によく似ている。

 ナナシが言うには完全な隷属状態に非常に似ているところだ。

 つまり男に毒が効かないのではなく、隷属されている命令で毒を食らっても食らったと認識できていないのではないかという予想。


 実際男は少しずつ顔色が悪くなっており、おそらく戦闘ではなく体調不良で汗を流している。

 ダラダラと汗は止まることなく、顔色も非常に悪くなっているというのに相変わらず動き続ける。

 力任せの攻撃をずっとし続けているのに体力が切れるどころか息切れ1つしない。


 おそらくこれが答えだろう。

 男は数は少ないが強力なスキルを持っている。

 そして隷属の首輪によって状態異常にかかっても構わず戦いを続けるように命令されている。

 これが答えだろう。

 ではこのまま毒で殺す事も可能であり、苦しみも感じているのかどうか分からないが、やろうと思えばこのまま毒で死ぬまで時間稼ぎをするのもいいかもしれない。


 しかしそれではナナシ達に強くなったことを見せる事が出来ない。

 時間を掛けて戦う事も出来るが、ネクストは自分で倒す方法を模索し始めた。

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