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黄泉の道、上層

『黄泉の道』は全て探索されたわけではないので正確な階層の数は不明だが、300年前に判明しているのは36階層までだ。

 その先に関しては未踏破だと思われる。

 なんせそいつらプレイヤーの中でトレジャーハンターと自称して様々なダンジョンに潜り込み、宝の類を探し当てる事を重視していたのでいくら潜ってもお宝が見つからなかったことからその階層で見切りを決めたらしい。

 だが誰もが通る1階層から10階層は非常に弱い悪魔しか出てこない。

 レベルで換算すると大体20程度。

 しかしオーラを纏うか魔法でしかダメージを与える事が出来ないため、これを知らないと非常に面倒になる。


 そして『黄泉の道』内部は本当に何もない。

 まっ平な道がただただ続いているだけ。

 洞窟の中なので暗いはずなのに自分達の姿と悪魔達の姿だけははっきりと分かるのだから不思議な物だ。

 それ以外は各階層のどこかにある階段を探して下るだけ。

 あえて言うなら何もない真っ暗な空間という恐怖を感じやすい空間に注意することくらいか。


 現実で1番近いのは夜の高速道路。

 あれに電気などが点いていない感じをイメージしてくれれば分かりやすいかもしれない。


「何ここ。本当に何もない」

「だから大量に食料とかが必要になるんだよ」


 ダンジョンに入ってユウがそう言った。

 この『黄泉の道』には本当に何もない。

 食料となる動物も、水もない。

 あるのは紫色の霧と悪魔だけ。


 悪魔に関してはどこからともなく姿を現すのでまずは下層に続く階段を探す事から始める。

 その間必ず悪魔に襲われるところまでがセットだ。


「マスター。あれが悪魔ですか」

「そうだ。下級の悪魔だからそんなに強くないが、さっき言ったコツを忘れると勝てないから気を付けてな」


 種族的には他のと変わらない悪魔だが、レベル20以下の悪魔の事をプレイヤーの間でレッサーデーモンと呼んでいる。

 見た目はバフォメットっという悪魔っぽい。

 ヤギの頭に人間の胴体、足もヤギっぽくて蹄がある。

 知能は低く悪魔の癖して魔法なんて全然使ってこない。


 レッサーデーモンはこちらを発見すると飛んで襲い掛かってくる。

 だがこれくらいで驚く俺達ではない。

 ネクストが短剣を使って風魔法を使用した。

 かまいたちを起こす魔法でレッサーデーモンはあっさりと両断されて紫の霧になった。


「マスター。今のは倒せたのでしょうか」

「倒したぞ。悪魔は倒しても今みたいに紫の霧の変わって消えちまうんだ。これはレベルに関係なくすべての悪魔がそうだから霧になったら確実に倒したって事が分かる」

「承知しました。悪魔は倒すと紫の霧になる。インプットしました」


 ゲームだと思うと自然だと思うが、現実と考えるとやっぱりちょっと不思議だな。

 これが肉体を持っていないという事なんだろう。


「次はユウ。お前もやってみな」

「分かった」


 ユウの方は現れたレッサーデーモンを右上から左下にオーラを纏った状態で切り伏せた。

 確か『勇気』だったか?

 あれやっぱ地味だよな~。

 もうちょい強力なスキルにならないのはなんでだろうな。

 あっさりと倒したユウは感覚を確かめるように剣を握り直す。


「どうだった。感覚は」

「ちょっと変な感じ。倒す瞬間までは確かに肉体があるような感覚だったのに、急に軽くなってすごい違和感」

「やっぱ近距離で攻撃するとそうなるよな。ネクスト。次はお前もオーラを使わない攻撃をわざとしてすり抜ける感覚を覚えておいた方がいいぞ」

「了解しました」


 またすぐ現れたレッサーデーモンをユウ達は今度は指示通り何も特別な事をせずに攻撃した。

 ネクストは弓矢で、ユウはただ剣を振ったが全てすり抜ける。

 事前に話しておいたからか、驚く事はなかったが本当にすり抜けるんだと実感した様子。

 ユウは切り返しながらレッサーデーモンを倒す。

 今度はオーラを纏った攻撃なので倒す事が出来た。


「なるほど。納得しました。これが悪魔の特徴なのですね」

「そうだネクスト。これだから長距離系の物理攻撃はあまり使えないんだ。付与系のスキルがないと難しいし」

「了解。攻撃は魔法と再インプットしました」

「ユウの方もなんとなく分かったか」

「うん。確かにこれはちょっとコツがいるね」

「よし。それじゃ次はあれを2人で倒してみようか」

「あれ?」


 ユウが不思議そうにしているときにレナが駆け寄ってきた。


「ナナシ様。これくらいでいいでしょうか」

「オッケー。多分そんなところだろ。それじゃ夕、ネクスト。あの悪魔の群れ倒してみてくれ」

「え?」


 ユウが声を漏らした後、甲高い声と共に悪魔の群れが現れた。

 全てレナによって誘導された悪魔達であり、獣と変わらないとはいえ数百体となれば大変だろう。

 ユウとネクストはその数の多さに驚き、ユウは俺に怒鳴る。


「ナナシ!?何あの数!!聞いてないんだけど!?」

「元々上層、つまり弱い悪魔しか出てこないこの場所はその分数が多いのと再出現が非常に多い階層でもあるんだよ。ほら、さっき倒した悪魔がもう復活してきた」


 最初にネクストの魔法によって倒された悪魔が復活し、周囲を見渡す。

 そして目に入った生物を手あたり次第殺そうとしてくる。


「な、なんで!」

「あの悪魔達は確かに倒す事が出来るがあいつらの元々の身体はこの霧そのものだ。だからどれだけ倒したとしても霧がまた集まればすぐに復活可能って訳だ。しかもレベルが低いと必要な霧の量も少なく済むみたいで他の悪魔と比べても復活速度が早い。そして数も多い。あいつら全滅させてくれ。魔力管理を気にしながらな」

「っ!緊急戦闘に移行します」

「いきなりキツすぎない!?」


 なんて言いながらもユウも戦闘態勢を取る。

 レベル的には2人とも十分に勝てる。

 問題はMPの配分と連続で現れる敵にどこまで対応する事が出来るかだ。

 レナは2人に悪魔を押し付けた後、俺の隣で聞く。


「流石に今回は強引すぎるのでは」

「元々あいつらは強い1人や1体とは戦闘経験があるが、複数体の連中と敵対するのは初めてのはずだ。魔剣騒動はカウントするべきか?」

「あれも非常にも稀な類なのでカウントしなくてよいかと」

「なら初めてだな」


 そんなユウ達の戦闘を俺達は眺める。

 ユウはオーラを纏った近接戦闘、ネクストは短剣を杖代わりに使った魔法攻撃をメインで使っていた。

 ユウはやはり人が相手でないと動きは鋭くなる。

 おそらく相手を傷付けないようにと無意識にストッパーをかけてしまっているからだろう。

 いい言い方をすれば傷付けないようにしていると言えるが、悪い言い方をすれば力加減が下手糞だと言える。

 人を相手にした時だってきちんと手加減が出来れば殺す事はないし、寸止めだってできる。

 でもそれをしない、出来ないのはまだまだ未熟な証拠だ。


 ネクストの方は範囲攻撃系の魔法を使って一気にレッサーデーモン達を倒す。

 一度に多くの相手を倒す魔法をすぐに選択して使う判断力は良い方だ。

 しかしMPの消費が激しいのが範囲魔法攻撃だ。

 そんな近くの敵に魔で魔法で攻撃していたら、すぐにMPが尽きてしまう。


 でもまぁそれも経験か。

 俺は2人が戦い、経験を積むのをのんびりと見守る。

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