初配信(?)
個人へと全世界へのシステムメッセージを区別できるように、後者に【世界へ】のタグを付けました。
ワルドイベント。
プレイヤー、NPC、国家、世界中の全てを巻き込むゲーム内最大規模のイベント。
【邪神襲来】、【大洪水】、【新大陸を見つけよう】、【帝国の崩壊】......今まで16個のワルドイベントはどれも歴史に名を残した、世界に大きな影響を与えた事件。
ボス討伐戦、アイテム集め、地域占領......イベントの内容は多種多様で、貰える賞品もいいものばっかり。
仕様は一切公表されていないが、検証マニアのプレイヤーたちはいくつかの法則を見つけ出した。
~《Karma Online 攻略データベース》~
ワルドイベントの法則:
1. イベント期間、時間は通常の10倍まで加速する。(つまり、リアルの40倍速)
2. イベント期間、経験値獲得率20%アップ。
3. NPCとログイン中のプレイヤー全員強制参加。
4. NPCはイベントを「神の試練」と認識している。
5. 入賞者はイベントランキング上位10000人以内。
6. NPCもランキングに入っている。(NPCが一位を取ったことは三回ある)
7. プレイヤーが事態を誘導して、イベントを発生されるのも可能。
例:《精霊女帝》アカネによる【チョコ大戦~愛の奪い合い】
8. イベント内容について、運営から教えてくれる情報は「開催時間」と
「イベント名」だけ。他のは我ら検証班に任せて!
(公式に確認されていないため、今後例外が出る可能性もある)
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●メテラ大森林 上空●
《【世界へ】 55、54、53、52......》
カウントダウンのシステム音が世界に響き渡っている。
「ワルドイベントか......」
真っ暗になった空を見回して、ナカルは呟きを漏らした。
自分の行動がワルドイベントの引き金になるとは思えなかった。
でも、ナカルは取り乱さない。
何せ、するべきことは既に決まっている。
(情報は......)
どんな状況でも、情報を早く集めた者は優位に立てる。これは世界の鉄則だ。
そのため、ナカルはドラゴンロードの残骸とあの金ぴかの苗木を〈鑑定〉で見た。
しかし、
(ないな......)
何も見えなかった。
イベントはまだ始まっていないので、相関的なものは見せないのも納得できる。
(まあ、しょうがない、今はスリッパと合流しよう)
第一発見者、いや、イベントを起こした者として、ここに残って現場情報をもっと集めたい気持ちもあったが、【闘争の夜】と言う物騒な名を冠したイベントに初心者である彼女を放っておくのは流石にできない。
(来た方向は......こっちか)
そして、ナカルはちょっと残念な気持ちと共に、苗木に背を向けて飛び出した。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
《【世界へ】 50、49、48、47......》
《配信を始めました》
マイクチェック、マイクチェック、聞こえますか。
あ、聞こえますね。
どうも、初めまして、作者のluluです。
今回は実況者として乱入します。よろしくお願いします。
さあ、読者の皆様、さっきのシステム音の通り、間もなくイベントが始まります。
こんな時間にキャラクターの皆は何をしているのか、気になりますよね?
では、早速見てみましょう。
●ビナキ市 郊外●
えーと、ここら辺に誰かがいるような気がしますが......
おっと、やっぱりいるね。
岩だらけの坂道に、【紫水晶の亀】の背中に乗っている少女を見つけました。
「真っ暗で見えないじゃん、いやだ~」
その少女はもちろん我らのヒロイン、スリッパちゃんでございます。
夜空に見上げて、不満を吐いた同時に足もパタパタしてる~可愛い~
でも、それはイベントの仕様です、抗議無効、我慢してください。
え?松明をあげたいとおっしゃいました?
まあ、いいですけど......
[/give surixtupa torch 64]
ん?Error?
あっ、それ違うゲームだわ。ごめんなさい。もう一回やらせてください。
[スリッパはインベントリをチェックして、何故か松明が入っている]
これでどう?
《アクセス権限12、hanklulu様からの操作を確認しました》
「え?私松明を持ってるの?」
よし、ちゃんとできた。
さて、明るさを確保したスリッパちゃんは何をするのか?
「......町に戻ろうっか」
うむ、普通に考えばそうなるんよねぇ。
でも、今回のイベントには町のような人の多い場所が逆に危険そうな気がします。
え、何故ですって?
それはもちろん【紛争の種】が人に寄生してっ(察し)......この情報はまだ本編に出していないんですよね。
アハハ、やっちゃったわ......
《配信を終わりました》
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《配信を始めました》
......(深呼吸)......
どうも、初めまして、作者のluluです。今回は実況者として乱入します。よろしくお願いします。
え?さっきの配信?何言ってるんですか?
私ネタバレしたと?いやいや、そんな記憶ないです。皆さんの勘違いだと思いますよ。
まっ、まあ、そんなことより、見てください!いつの間にスリッパちゃんが【紫水晶の亀】を倒しましたよ!
どうやらキプロスの銅片の雨によって、この地域のモンスターはもうボロボロだ。彼女はそれらの傷を狙ってとどめうちをしただけですね。
本来、〈水晶砲〉を誘発してから、すぐ首に攻撃しなければいけないんですけど、随分楽になりましたね。
えーと、ちょっと説明を補足しますと、〈水晶砲〉を発動した後の数秒内、【水晶亀】シリーズのモンスターは副作用を受けたように防御力がめっちゃ下がります。なので、そのうち弱点である首に狙い打ちするのは普通の倒し方です。
「ハァ!チャ!」
お、今回は【紅水晶の亀】2匹を倒しました!
「へーヤ!」
もう一匹!
いや、なん狩るの?戻る気ある?
「よし、水晶ゲット!これで春巻き買える!」
そんなに食べたいの?
まあ、美味しいですけど。
「スリッパ!無事か」
おっと、空中から降り着きました!
Nakaru rains from above!
「おお!ナカル!大丈夫?あのデカいドラゴンは?」
「ああ、倒した」
「良かった!じゃ、春巻き行こう!ナカルの分も買えるよ!」
「いや、先ずは家に帰ってイベント情報を......分かった分かった、そんな顔しないで。安全だと確認できたらすぐ買いに行こう」
「はい~」
そして、彼らはテレポートして、この場から離れました。めでたしめでたし。
はい、というわけで、今回の配信はここら辺にしておこうと思います。
見てくれてありがとうございます。
面白いと思ったら、是非コメントで教えてください!
ブックマーク登録と高評価もよろしくお願いします!
では、また今度会いましょう。
Bye bye~~
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(これでスリッパちゃんのレベルはどれくらいになるのか......25?30? そう言えば、弱体化されたとはいえ、ドラゴンロードを倒したナカルくんのレベルをもかなり上げないと......)
あっ、
《配信を終わりました》
To be continued......
なんか茶番のような一話でした。
こういうの結構好きですね、私は。
皆さんも楽しんでいただけたら幸いです。