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キプロス 戦 (下)



 ビナキ市北東にある、メテラ大森林にいるプレイヤーたちが空を見上げている。

 そこに見たことのない程巨大なドラゴンが暴れている。

 小さな影しか見えないだが、【大魔導士】のような人間があの巨竜と戦っているようだ。

 初心者卒業ばっかりの彼らにとって、戦いの余波から身を守るのは大変だが、雰囲気がかなり盛り上がった。


「おお!いきなり接近戦だ!」

「動き速っ」

「【魔導士】系じゃなくて、【魔法戦士】系か」

「尻尾を切った、尻尾を!」

「ナイス!」

「ああ!怒った怒った」

「ヤバいの来た!」

「うわ、目が痛いぃ」

「無事か?」

「あ、はい、大丈っ」

「お前じゃない」

「瞬間移動で逃げ出したようだ」

「は!?」

「そっちにいるよ!魔力を集めている」

「大技撃つつもりか!」

「なんだそりゃ!?槍の吹雪?」

「あんなスキルある?」

「わかんないけどかっけー」

「おい!落ちた銅片を〈鑑定〉した結果、[【カッパー ドラゴンロード】のうろこ]らしいぞ!」

「マジ!?」

「激レア素材じゃん!」

「あのドラゴンが倒されたら、もっといいアイテムが落ちてくるかも!」

「おお!【魔法戦士】さん頑張れ!」

「負けんな!」

.

.

.



◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇



「〈レーザー ランス〉! 〈アイス スパイク〉! 〈メテオ スリングショット〉!」


 もう一回【カッパー ドラゴンロード】に《ブリザード ランス》を食わらせるナカルは更にMP消費量の少ない遠距離攻撃を繰り返してダメージを重ねる。

 ハイテンションな観客たちと違って、戦っている本人は落ち着いている。


 今までの戦闘は順調だ。


 〈シフト〉があったら肉薄する、ないなら距離を取る。

 ドラゴンロードの動きがちょっと早くなったら《ブリザード ランス》。

 接近戦で、〈フローズン〉を掛けられたドラゴンロードはナカルの動きに対処できない。

 遠距離戦で、ナカルは粒子放射線やドラゴンブレイズなど直線的な攻撃に撃たれるわけがない。


 このように、一方的な戦いは半時間も続けた。

 ドラゴンロードのHPゲージは見えないが、多分2割くらいしか残っていないだろう。

 尻尾が切られただけじゃなくて、亀裂もその全身に走っている。

 オリハルコン(最上級金属)に匹敵する銅の鎧でさえ、防御を無視できる[Dragon killer v3.0]の前には紙と同様だ。

 このままいけば、間もなくナカルの完全勝利になるのだろう。


 だが、不安はある。


(おかしいな......なぜ〈人化〉しない?)


 〈人化〉というのはあるレベル以上の【竜王】が使えるスキル。その効果は肉体を魔力に変換、圧縮して、人の形に再構成することだ。百メートル級の巨竜に比べると、〈人化〉した後の体積があまりにも小さいため、質量と魔力の密度が恐ろしい程上昇する。ステータス的に言うと、STRとENDが2か3桁も跳ね上がる。STRはともがく、ENDが増えるのは「【竜王】討伐戦の最難関」とも言われている、非常に厄介なことだ。元々【竜王】は防御性能が高い、その外皮はメタルドラゴン系じゃなくても鉄以上の硬さを持っている。〈人化〉すると、その硬さはオリハルコン並びにもなり、そして、異常に高いENDのため、物理現象による異常状態も効かなくなる。つまり、〈人化〉した【竜王】は物理的にほぼ無敵、腕力だけでその防御を打ち破るのは至難の業だ。

 

(それで〈フローズン〉を無効化すばいいのに......デメリットを心配しているのか)


 ゲームバランスを維持するために、メリットの大きいものはきっとデメリットが存在する。例えばナカルの [Dragon killer v3.0]は竜族に対して高い性能を持っているが、制限とペナルティーが厳しい。つい地上の小動物やチームメンバーの足を踏んでしまって、即死された経験は何回もある。


 〈人化〉もその法則の例外ではない。魔力が人の形に圧縮された状態で、非常に高いのは密度だけじゃなくて、圧力もだ。パンパンまで膨らませた風船のような状況だ。もし空気を放出するために穴をあけば、即座に爆発するだろう。そのため、〈人化〉した【竜王】は魔力放出系の技を使えない。一応、風船を刺す前にガムテープを貼るような裏技もあるけど、それはまた別の話だ。


(遠距離攻撃できないのはさほどのデメリットではないんだろう。今まで当たったことは一度もないし......)


 納得がいかないが、ナカルは攻撃を緩めない。

 外皮のひびを狙って撃たれたスキルはどんどん【カッパー ドラゴンロード】のHPを減らしていく。

 そして、

 パキッ......パキッ......

 銅のうろこが一枚ずつ剥がされて、落ちる。


「Grrrrrrrr」


 もはや竜の叫びが咆哮なのか悲鳴なのかさえ分からなくなった。


 相手は既にボロボロだ、考える時間はもうないと理解したナカルは頭を切り替える。


(〈人化〉しない理由は分からないが、ここで押し切れば問題なし!)


 不安を抑えてから、彼は弾丸のように巨竜に突進してーーー


「〈竜滅(りゅうめつ)〉!!」


 ーーー竜の血を浴びた槍を突き刺した。




◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇



《【世界へ】 【カッパー ドラゴンロード】キプロスが討伐されました》


 巨竜が貫通された後、システム音が聞こえた。

 地上にいるプレイヤーたちも喜んで喝采を送る。


「おお!」

「よっしゃー!」

「やった!」

「【魔法戦士】さんつえー」

「いいもの落ちてくるのかな~(ワクワク)」


 しかし、その喜びはすぐ疑惑に被られた。


「おい、よく見ろ! 竜の体内に何かあるぞ」

「金色の......苗木?」

「どういうこと?」

「嫌な予感が......」


 そして、天空が黒に塗られた。


《【世界へ】 【紛争(エリス)の種】の宿主の死亡が確認されました》

《【世界へ】 故に、ワルドイベント【闘争(Party)の夜(Night)】が開催されます》

《【世界へ】 開始まであと60秒、59、58、57......》


.

.

.


To be contimued ......


面白いことを書きたくて、1時間も考えたが、結局何も思いつかなかった(╯▽╰ )


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