最初から事案
2040年代最高のゲームと言われる大人気VRMMORPG―Karma Onlineとはプレイヤーたちが自分の行為によって、善と悪に分けて争うゲームだ。ゲームの自由度が異常に高く、ほぼ何も制限されていない。職業がいっぱいあって、努力すれば自分の国も作れる。
今日、俺はそんな素敵なゲームの中でベテランの一人として、やり始めたばかりの幼馴染を迎えて、一緒に楽しい冒険を始める............のはずだ。
なんでこん状況になるんだ......
「お前、何をした?」
「え? 何でもないよ」
「......じゃ、なんで魔王軍に囲まれているんだ?」
小声で話している俺たちを中心にして、百人以上の凶悪な部隊が包囲網を作った。スケルトン、吸血鬼、デュラハン、赤鬼など、魔族のプレイヤーがいっぱいいる。彼らの後ろに魔王軍の旗も見える。
俺の質問が聞こえたように、隊長みたいな赤髪モヒカンのゾンビが声を出した。
「そこの嬢ちゃんがこの魔王都で『魔王を倒したいので、聖剣使いになりたい』と言った。 流石に我々魔王軍になめすぎるんだろう」
「ん? 剣士ギルドの職員さんに聞かれたから、そう答えた。 ダメなの?」
「「............」」
この天然さ、彼女らしい。
「本当にすみませんでしたが、見ての通り彼女は初心者なので、許してくれませんか」
「......それは出来ない。 これは魔王軍の名誉に関することだ。 貴様らは命で謝罪するしかない」
「へぇー、度量が狭いな~」
おい、交渉中にそんなことを言うな、怒られるぞ。
ほら、モヒカンがルーン文字みたいな飾りがある大剣を取り出した。
「貴様ら、覚悟はいいか」
「ああ、かかってこい」
俺も愛用の〔竜骨の槍〕を持って、彼女の前に立って、戦闘態勢に入った。
相手は魔王軍の部隊長、一対一なら勝算は五割くらい。だが、その部下も参戦すれば厳しい状況になるんだろう。どうやって彼女を守れるのか......
「じゃ、死ね! <スルトの裁き>」
「っ!! <流水の魔槍>」
モヒカンが炎に包まれた大剣を振り下ろした。 それに対して、俺も水属性になった槍で受け止めるようにしたが......
ホン!
槍が燃えて灰になった。
俺はぎりぎりのところで槍を放して、斬撃をよけたので、ダメージを受けていない。
「ハハハ、普通の武器では俺様【スルトの使徒】の炎に耐えないぞ」
「クソ......」
まさかの使徒級......普通の部隊長じゃないのか!
これはヤバい。 俺は〔竜骨の槍〕さえ燃やす炎に耐える装備を持っていない。
どうしよう? 一か八か自爆技で行くか?
そう考える時、一本の灰色の短剣がいきなりモヒカンの背後からその体を貫通した。
声を出す時間さえなく、モヒカンが光の塵になった。
「隊ちょっ」
「うっ」
「あっ」
部隊の兵士たちも一つ一つ、その短剣に殺された。
僅か5秒、百人以上の部隊が全滅されて、ダイヤモンドダストみたいな光景になった。
そこに残るのは一人の少女だけだ。
その中学生みたいな少女は白いセーラー服の外に茶色のパーカーを着ている。フードをかぶっているが、新雪のような白髪と鮮血のような赤い目も見える。最も奇妙のは彼女の姿は時々スノーノイズのように見辛くなることだ。
この特徴......もしかして......
「【放逐された者】......?」
俺の呟きを聞いたようにこっちに一瞥を投げるが、少女は短剣を懐に入れて、無言のままこの場から離れた。
俺たちを殺す気がないようだ。それはありがたい。
この状況を見ると、一切の元凶は俺の傍に来て、ハイテンションな声を出す。
「よし、いっちょ上がり!」
「お前が言うな!」
ツッコミしながら、俺は魔王軍の増援部隊が来る前に逃げるのため、インベントリから紫色の伝送用宝石を取り出して、魔力を注入し始めた。
宝石が使用可能の状態になった後で、俺は観光客のようにきょろきょろ見回している彼女に声を掛ける。
「おい、伝送するぞ」
「え? できるの? 伝送って」
「......チュートリアルの中に説明があるはずだ」
「チュートリアル? そんなことはもちろんスキップでしょう? 面倒いから」
「......はぁ」
俺はため息をついて、彼女の手を掴んだ。
「転送、開始」
これからは色んなことを説明しなければいけないな。 面倒いのはお前だろう、まったく......
そう思いながら、宝石から放いた紫色の光が俺たちを包まれた。
そして視界がだんだん白くなる......
To be continued ......
次話はゲームルールと用語の解説です。
感想をいただけると幸いです。