表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/8

義兄



まだまだ私はぼんやりと日々を過ごしながらHPを伸ばそうとしている赤子である。

昨日は寝返りをうてるようになった上、ごろごろするごとにHPが減って経験値が入っていることに気づき、ふんふんごろごろしていたら、称号乳母さんが慌ててたので人がいる時はやめておこうと思った。

そして先程、人が居ないのを確認してふんふんしていたとき、ピロンと音がなりステータスを見たところなんとレベルが上がっていた!1から2だから上がりやすいのだろうかとステータスとにらめっこしていたら、ガタン!と音を立てて扉が開いた。

何事かと驚いていたら、少年が部屋に入ってきていて、ベッドの仕切りの間からこちらと目が合ったのだ。


「ふーん。お前が俺の妹か。」


その言葉で合点がいったが、一応ステータスを見てみることにする。


〘 ユーリス 性別:男

称号:ハルティナの義兄

Lv:3 HP20 MP6 〙


やはり、兄であったか。

なぜ名前を知っているかというと、この屋敷にはおしゃべりなメイドさん達が多いようで、赤子の私が理解していると思っていない彼女達が、ハルティナお嬢様は可愛いわ、ユーリス坊っちゃまとは大違い、とか、またユーリス坊っちゃまが我儘を言って〜とか、色々愚痴を私の部屋で話していたからである。

まだ見ぬ自分の兄は相当やんちゃらしいと思ってはいたのだが、兄に続いて入ってきた乳母さんが、坊っちゃま!ここに来てはいけないと!と慌てていたので確かにやんちゃらしい、と納得した。

ベッドの高さギリギリで目が合う兄もまだ幼く、おそらく5歳くらいではないかと思う。やんちゃ盛りではないか。

興味津々とばかりに仕切りの間から伸ばされた手に、にこりと笑って手を伸ばした。


「!」


「いーいー」


兄妹仲良くやろうという意思で伸ばし、両手でその手を握ってみたものの、兄はその手を動かさないのでにぎにぎと握ってみる。

やはり自分の手は小さく、兄の手は自分より大きかった。


「あら…お嬢様はお兄様がわかるのかしら。」


「!だよな?今にーにーって言ったよな!?」


興奮気味に乳母を振り返りそういった後、ハッとしたように、私の手を振り払って部屋を出ていってしまった。払われて行き場のない手をよしよしするように、乳母がさすってくれたので、泣くのはやめておいた。


「お嬢様は本当に賢いお方ですね…」


そりゃ、普通の赤ちゃんじゃないもんなーとぼんやり思っていたが、その手が暖かくていつの間にか眠っていた。




評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ