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そう、私は赤子 2


「・・・」


「・・・」



ぐっすり寝たのであろう、勢いよく目が覚め、ぱっちりと目を開けてしまってどうしようかと思っている。

無言の上無表情でこちらを見下ろすイケメンと目が合っているせいである。

綺麗な顔が表情ないとこんなにも怖いのか。とにかく気まずい雰囲気が漂う中、骨の髄まで日本人である私はえへへーと笑ってみた。

気まずいと笑っちゃうってない?私だけなのかな?

てか、笑ってから気づいたけど、ここは普通の赤ちゃんらしく泣いた方が良かったのか?いや、もう遅い。そうだ、私は赤ちゃん。笑っとけ笑っとけ。と自分を鼓舞してにこにこ笑って目の前のイケメンを楽しむことにした。

するとどうしたことか、イケメンは私の目の前に指を1本くりだした。まさか目潰し…己は敵か?と一瞬目を瞑ったが、その指が私の眼球を攻撃することはなく、何故か目の前で停止した。なんだ?と思いつつもやめろという確固たる意思にてその指をまだ融通のきかない両手で握った。


「・・・」


「えっへ、へへ!」


やめてくれと握ったはいいが、何せ私は赤ちゃん。指1本でさえ握るのがやっとの状態である。睨むとか泣くとかは無理である。とりあえず下手に出るにかぎる。や、やめてくださいよアニキー的な。

私の思いが伝わったのか、とりあえず指を引っ込めたイケメンにほっとした時、ピロン、と脳内で音が鳴った気がした。あ、ステータス!?と思い出し、目の前のイケメンの素性を把握しようとした時、私の身体が空に浮いた。


「ふむ。」


「あキャー!?」


まるで猫を捕獲しましたとばかりに、首の後ろを掴んで持ち上げられ思わず悲鳴をあげた。やばい、苦しい!殺されるかもしれない!首!首ぃー!!!座ってないの!私!

突然の私の叫びに驚いたのか意外にもわたわたと慌てた様子でベッドへと戻そうとしたイケメンより早く、扉が開く方が早かった。


「ハルティナ!?」


丁度近くにいたのか部屋に入ってきた母がその様子を見て慌てて私をイケメンから救い抱き上げた。ああ助かった…


「何をされているのです!」


「・・・」


「も、申し訳ございません…しかし、ようやくできた我が子です…どうかご慈悲を…」


声を荒らげた事にたいしてハッとした様子で、そう頭を下げる母を、またもや眉間を寄せて困惑したように見るイケメン。母は下を向いていて気づいていないし、無言が怖いので、そういえば、と思い出し、イケメンのステータスを見ることにした。


〘 名前:??? 性別:男

称号:ハルティナの父親

Lv:46 HP:300-20 MP:80〙


あ、パパ?このイケメンパパなの?そんな予感はちょっとしてたけどやっぱりそうなのか。私を抱えた腕を震わせて頭を下げる母を無言で見下ろす父。思うに多分お互い勘違いか何かしてない?

てことで、ここは私がチートを見せるしかない。


「あー」


「!」


「あー!えへっ、へへへ!」


「は、ハルティナ、お願い、静かに…」


「いや、いい。よこせ。」


「きゃっきゃっ」


大丈夫大丈夫ママ!とぺちぺち手を振りつつパパへと手を伸ばすと、無表情ながらも少し表情を和らげたパパもこちらに手を伸ばした。


「い、嫌っ!やめて!」


「っ!?我が子を抱こうとして何が悪い!」


「そんな!抱くな、ん、て?」


「扱いがわからずとも仕方ないだろう!赤子などはじめてなのだ!」


「え…女子だからと処理されようとしたのでは…?」


「わ、私とて心待ちにした我が子だ。そんなことするわけない。」


「心待ちに…」


「か、勘違いするな!お前との子だからとかそういう訳でなく、なかなかお前が身篭らぬから…」


「っ…ええ…ええわかっています…」


いや、わかっとらんだろうなこのママは。

なにこのパパ可愛いんですけど。

恐らく属性がツンデレなのだろうパパ。

しゅんとしたママは鈍感ヒロイン属性かな?この様子じゃ上手くいかずにすれ違い続けそうだ。ここは私が頑張るしかないな!産んでくれた恩も含めて!

また無言になってしまった空間で、パパに手を伸ばす。


「あー」


「ハルティナ…パパに抱っこして欲しいの?」


「パッ!?」


「きゃっきゃっ」


パパという単語に衝撃受けてるパパはさておき、そうだ!とばかりに手を叩いて喜んでみる。


「ふふ、不思議、公爵様とははじめて会うはずなのに、パパだとわかっているみたいです。」


「そ、そのようだ。先程も名を呼んだら起き、指を握れと思ったら握ったんだ。」


「まあ!」


「褒美に抱き上げてやろうとだな!」


「ふふ、そうだったのですね。」


名前を呼ばれて起きたのは知らんけど、握れと思って差し出してたのか。まさかの正解だが、結果的にパパの心は掴んでいたらしい。よかった。

どこか嬉しそうなママもようやく暗い雰囲気が無くなって私をそっとパパに差し出した。

まだ首が座っていないからこうして抱いて…と教わり、おずおずと私を受け取ったパパの手は少し冷たかったけれど、傷つけないようにと優しく抱えてくれているのがわかってほっとした。シャツを掴んでにこにこと見上げると、少し口元を綻ばせてこちらを見下ろすパパ。うん、イケメンでした。

そういえばなんかピロンっていってたよな?

私のステータス…?


〘 スキルに魅了が確認されました。〙


な、なるほど?わからん。


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