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第69話 てんとう虫作戦

 偽金貨には別の仕掛けもしてある。

 匂いテクスチャーを貼っておいたのだ。

 これで追跡が出来るといいのだが。


「イオ、匂いを辿れる?」


 自信たっぷりな感じで、うなずくイオ。

 よし、頼んだぞ。


 金貨はそのまま盗賊のアジトへ運ばれたらしい。

 意外だな。

 あの親父の事だから、分け前を貰っていると思ったが。

 尻尾を出さないように用心しているのかも知れない。


 俺はイオの後を車で追った。

 途中、街道を外れて森に入って行く。

 ここからは徒歩か。


「イオ、ゆっくり歩いて」


 ライオンの歩みに比べると俺達の足は遅い。

 乗り物が使えれば良いんだけど。

 ドラゴンに乗るという手も考えたが、鞍を作らないといけない。

 それだと、たぶん転げ落ちる結果になると思われる。

 ドラゴンは乗るようには出来ていない。

 ゴンドラを作って運ばせるのが安全かも。


 どちらにせよ森が深いと上空からでは見失う。

 子供の体が恨めしい。

 オフロードバイクが使えればなあ。


「マリーはライオンさんに乗りたい。一度乗ってみたかったんだよね」

「そうか、ライオンなら乗れるな。ゆっくり進めば平気なはずだ」


 乗ってみた。

 駄目だった。

 揺れるし、堅いしで散々だ。

 上手く行かない。


 そうか、ゴンドラか。

 地上を走る物でゴンドラの役割と言ったら橇でしょう。

 これはいいんじゃないか。

 揺れないし、硬くても問題ない。


 ライオン橇が完成した。

 雌ライオン三頭で橇を引っ張る。


「凄いね。気持ちいいかも」

「接地面には氷の魔法テクスチャーが貼ってある。魔力は食うが、自信作だ」


 滑るように橇は進む。

 これは楽しいな。


 橇を引いていた雌ライオンが突然穴に落ちる。

 俺達は空中に投げ出された。


「いてて。マリー大丈夫か」

「平気。受け身をとったから」


 誰だよ、こんな所に穴を掘った奴は。

 落とし穴だったらしい。

 狩猟の為かな。

 ふと、木に目をやるとロープとボウガンがある。

 ロープに足を掛けると発射される仕組みだ。

 どうやら狩猟の目的ではないようだ。


 魔獣は鼻が良いからこんな簡単な罠には掛からない。

 掛かるのは人間だな。


「マリー、トラップがあるぞ。気を付けよう」

「うん」


 雌ライオンに先導してもらいその後に続く。

 雌ライオンは何度かトラップには引っかかった。


 ライオンはトラップにわざと引っかかるように出したから、これで良い。

 強引なのは分かっているが、チマチマと罠を解除するのはめんどくさい。

 俗に言う漢解除だ。

 雌ライオンだがな。


 イオが上を見上げたので俺も見たら、ツリーハウスが幾つもあった。

 ここが盗賊のアジトだな。

 考えたな。

 ツリーハウスならアジトを転々と変えられる。

 魔獣も木を登れないものが多い。

 安全とは言えないが、洞窟よりましだろう。

 洞窟は出口が一つしかない場合もある。


 俺達はツリーハウスが狙撃できる所に陣取った。


 盗賊がツリーハウスから縄梯子を下ろした。

 地面に降りる最中に狙撃。

 盗賊は落ちた。


 それを見て他の盗賊はゲラゲラ笑っている。

 ドジを踏んで足を踏み外したと思っているらしい。

 ぴくりとも動かない落ちた盗賊が心配になったのか、また一人降りようとしたので狙撃。


 今度は盗賊も笑わなかった。

 攻撃地点を探り出そうと盛んに窓から外を見る。

 窓から顔を出したので狙撃。


 残りは少ないようだ。


「【具現化】ドラゴン。ツリーハウスを壊せ」


 ドラゴンの爪でツリーハウスが壊された。

 真っ逆さまに落ちていく盗賊。


 程なくしてアジトの盗賊は全滅した。

 したが、人数が少ない。

 五人しかいない。

 もっといたはずだ。

 とりあえず死体を収納バッグに収めた。


 偽金貨は箱のままツリーハウスにあった。

 中を開けると石ころになっている。

 石ころを大事にとっておく訳はない。

 毎日、無事なのか、確認しなかったのか。


 せっかくの力作が不発かよ。

 金貨が石ころに変わって地団駄踏むところが見たかったのに。

 まあいいか。

 アジトを襲って取り返した事にしておこう。

 他のアジトを探し出すのは大変だな。


 何か手がかりがないと無理だ。

 発信機みたいな物を作れば良いんだ。

 盗賊にくっ付けてもばれない物。

 虫かな。

 それに匂いテクスチャーを貼る。

 そしてそれを追跡する。


 どんな虫にしよう。

 てんとう虫辺りでいいか。

 街道沿いにポリゴンのてんとう虫1000匹を放った。

 これで盗賊が出て来れば、虫が付いてアジトまで案内してくれるはずだ。


「てんとう虫、可愛いね」

「後でアクセサリーにしてみるのも良いかも。髪留めのワンポイントとかな」


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