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魔族との交流が盛んになってきた。

関所も設置し終えて、定期便も徐々に機能し始めてきた。


村にも何人か魔族の人が訪れて見学だったり食事を食べたりしている、魔王から食事なんかは代金を頂いてくれと忠告されたけど。


よく考えれば当然だよな、ただでご飯が食べれるならこの村は魔族で溢れて魔族領が機能しなくなってしまう。


村に来る魔族は商人か冒険者がほとんどだった、冒険者は武器の購入も希望してきたがドラゴンの素材やオレイカルコスを使ったものを流通させるわけにはいかないので、鉄や鋼を使ったものを売ることにしたらしい。


鋼って合金だったはずだけど、そんな技術あったんだな。


ドワーフ族に聞いてみると「純度の高すぎる鉄なぞただのゴミだ、炭素を増やしてやらんと話にならんぞい。」とのこと。


俺が知ってる鉄って純度100%じゃなかったのか……本当に知らなかったぞ。


閑話休題。


冒険者は「こんな質のいいものが手に入るなんて、そこそこのお金を払って来る価値はあった!」と喜んでいる……オレイカルコス製はますます流通させるわけにはいかなくなったな。


メアリーの助言を聞いておいてよかった……メアリーが村長をしたほうが村はもっとうまく発展するんじゃないか?


だが本人は絶対望まないだろうし、俺を慕ってくれてる皆にも失礼だから考えないようにする。


商人はどちらかというと売りにきたのがメインだ、前に商人ギルドで飲んだ紅茶の葉も売りに来てくれたので買うことに。


後はティーセットやその他の食器などなど……紅茶と抱き合わせみたいに勧められたがついでだし買っておこう。


こういうところにお金を使う余裕は前の世界でなかったから、かなり新鮮な気持ちだ。


「村長、無駄遣いしすぎでは?」


魚を買うより安く済んでるから許してくれ、皆も使っていいから。


「こちらの茶葉と追加のティーセットも後日持参してきましょうか?

 村長の分だけだと皆さまも不服そうですが……。」


そんな商人の声を聞いて、近くに居た住民が首を縦に振った……わかった、皆の分も買うからよろしく頼む。


「毎度ありがとうございます、では次の機会にお持ちいたしますね。」


商売上手だなぁ、俺だけじゃなく周りの表情もきちんと洞察していたんだろう……流石商人。




月日が経って陽の季節になった。


魔族領からの定期便の利用者から「日光が強くて品物が傷んだり、暑くてバテてしまう。」と声があがった。


俺がよく知る馬車じゃなく、荷車でずっと定期便を走らせてたからな……気が回らなくて申し訳ない。


荷車を少し長くして枠組みを作り、断熱材代わりに羊毛を挟んだ布を被せて馬車の完成。


今度からはこれを使って便を走らせてくれ。


後は広くなったスペースを使って飲料水の配備を、脱水症状を起こしてしまったら大変だからな。


すぐに出来ることといえばこのくらいだろうな、しばらく運用してみて意見が出たら都度対応していくことにするか。


しかし本当に暑くなってきたな、何とか涼しくなる方法はないかと考える。


「水浴びなんてどうでしょう、大人も子どもも喜ぶんじゃない?」


カタリナが案を出してくれた、確かに水浴びはいいかもしれないな……でも大人が喜ぶほどはしゃぐものか?


「あら、色気で目の保養になるんじゃないかしら?」


そういうことか。


水浴び……そうだプールを作ろう。


川みたいに流れも無いから安心だし、生活魔術で水を綺麗にしておけば安心だし排水すれば掃除もしやすい。


思い立ったが吉日、広場の近くに開けているスペースがあるのでそこにプールを作ることにした。


そうとわかれば建材に使う石が必要になるな、ミノタウロス族とドワーフ族に採掘の際に出る使い道のない石を分けてもらおう。


「こんな廃石でいいのか?

 色はきれいだが強度は本当に石程度だぞ?」


俺が目を付けたのは白い石……大理石だ。


滑って危ないかもしれないがこれが一番綺麗だし、何より廃石置き場に一番量があるから十分な量が確保できる。


「建材に使うならもっといいヤツがあるんだが。」


俺はこの大理石でほぼ決定なんだが、ドワーフ族の助言を無下にするわけにもいかないな。


どんなものか確認はしておこう。


そうして連れてこられたのが銑鉄作業所だった、鉄は流石に錆びるし良くないと思うんだが……他に使用用途もあるだろうし。


何よりここ最近は武具や農具の売れ行きがすごい、商人にも冒険者にも飛ぶように売れて行っている。


一応相場を調べて高めに値段設定はしたはずなんだが、やはりいいものは高くても売れるのだろう。


買っていく冒険者は練度の高そうな人ばかりだし、そこに辿り着くまでは魔族領で作られた武器を使ってくれているはずだ。


「おーい、銑鉄で出た粉持っていくぞー。」


そうして鉄の粉を持って、ドワーフ族のために作っていた倉庫へ向かった……何をするんだ?


そこで俺が目にしたのはセメント――この世界にセメントなんてあったのか!?


「村長はワシらが以前住んでた里をじっくり見てなかったんじゃの、この練り石は結構使っていたんじゃがな。」


この世界では練り石というのか、前の世界の練り石とは全く違う意味で使われてるんだな。


「これにさっきの粉を入れて混ぜると、更に強度の高い練り石の完成じゃ。」


なるほど、これなら滑って転ぶという事故も防げるしいいな……大理石はやめてこっちにしよう。


人の意見は聞いておくものだ、結論ありきの行動は視野を狭めるな。


「この練り石ってここにあるだけか?

 俺が作りたいものはもっと量が必要なんだが。」


「なら制作するドワーフ族をもっと増やそう、作る過程はそこまで難しいものではないしさっきの粉も今の銑鉄速度なら腐るほど出るはずじゃ。」


よろしく頼んだぞ、しかしセメントがあるなんて今の今まで気づかなかったな……村の住居も強度のあるいいものに出来るかもしれないな。


ただセメントやコンクリートって冷たいんだよな、床だけは別の材質にして壁と外壁に使用するべきか?


プールはもちろん、セメントの使用用途をいろいろ考える――これを使ってもっといい生活が出来ないだろうか。


色々考えているうちに、突然足元が揺れ出した。


……地震か!


そこまで大きくは無いが、この世界に来て初めての地震を体験して少し恐怖する。


幸いすぐに揺れは収まった……何も無くて良かったよ。


「なぁ、この地震は珍しいものなのか?」


「ちとびっくりしたの、滅多にないんじゃがたまに大きい揺れがある。

 大きい時は建物が倒壊したり……だが自然の摂理には逆らえないから運が悪かったと諦めている者がほとんどじゃろう。」


今セメントの使用用途が思いついたぞ。


「練り石の製造速度を限界まで高めてくれ、別途倉庫は用意するから。

 それを使って村の住居を全て改築する。」


いい使用用途があるじゃないか、地震に負けない基礎を作るのに利用しよう。


だがまずはプールから、ドワーフ族の製造速度の限界は絶対俺の想像をはるかに上回るからな……プールから作っても余裕で間に合うはずだ。


憩いの場のためにも納涼のためにもプール、決して女性の肌が見たいわけではないからな。


隔日投稿(お昼12:00)していきますので是非追いかけてくださいね!

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