魚の確保が出来た、村の皆の反応が楽しみだ。
魔族領から帰って夜が明ける少し前。
ギュンターとの約束で、市場に行くことになっているのでかなり早起きだ。
メアリーを含めた村のほとんどの住民がまだ眠っている、前の世界では絶対こんな時間に起きるなんてことなかったから少し新鮮な気持ちだ。
しかし、こうして起きてみると漁師をしている人って本当にすごいな……毎朝これより早く起きるか夜から漁に出ているんだからな。
さて、着替えて顔を洗って準備完了だ。
「メアリー、朝早くに済まないが今日も魔族領に行ってくるよ。」
「ふぁぃ……気をつけてくださいねぇ……むにゃ……。」
寝ぼけながらも見送ってくれるメアリーが可愛らしい、魚が確保出来たらたくさん食べさせてやらないとな。
だが、マグロやカジキなんかはあんまり食べさせることが出来ないんだっけ……この世界でも適用されるかわからないが注意しておいて損はないだろう。
メチル水銀だったかな、それを摂取しすぎるとよくなかった気がする……動画投稿サイトで得た知識だけど。
魔法陣の前に来ると、デニス・ウーテ・カタリナは既に到着していた。
「すまない、待たせてしまったか。」
「ううん、私たちも今来たところだから大丈夫。
とりあえず昨日より少し多めにお肉と野菜は持ってきてバックパックに詰めてあるわ、他に何か必要なものはあるかしら?」
それだけあれば充分だ、でも見張りへの毒見用に小分けにしたものも用意しているとやりやすいかもしれない。
「それはワシが持っておる、安心してくれていいぞい。」
準備がいい、さすがだな。
そういえば今回は3人だけなのか?
カタリナは魚を持って帰るために来てもらったけど。
「オスカーおじ様は、ワシが居なくてももう大丈夫だろうって言ってたわ。
グレーテさんはお昼から魔族領に入るって言ってたわよ、鍛錬で体を動かして頭を整理したいって。」
魔王・先代魔王と直々に話すからグレーテなりの頭の整理の仕方なんだろう、魚の知識があれば借りたかったが仕方ない、来ないということはあまり詳しくないかもしれないしな。
「なら準備も人も揃ったな、ギュンターがある程度確保してくれてるかもしれないが、俺たちの都合で漁師や市場に迷惑をかけても悪いし出発するか。」
「「「おー!」」」と3人揃って元気だな、というかデニスそんなキャラだったのか?
楽しそうなことは乗っかっていくらしい、1年くらい一緒に居るけど初めて知ったぞ。
「お通りですか、では荷物の確認と食料があれば毒見をさせていただきます。」
魔法陣の前に来ると魔族領の見張りに声をかけられる、村の見張りからは「おはようございます!」と挨拶をされた。
「はい、持ち込む荷物はこれ、毒見用に準備したのがこのお皿に盛り付けてあるものよ。」
ウーテが見張りに荷物を渡し、見張りは毒見をする。
「美味しいですね、このようなものが流通すれば魔族領の領民も笑顔になることでしょう。
安全は確認出来ました、お通りください。」
ほぼ無限に獲れるから流通はなんとかすれば可能だろうが、ギュンターの話を聞く限り難しいよな。
そう思いながら俺たちは転移魔術の魔法陣に入って魔族領に転移した。
――これは4人が転移してすぐの見張り同士の会話。
「……あなたたちの村はいつもこんな美味しい食事が出るので?」
「あれは見た感じ、何も凝ってなかったし毒見用にドワーフ族がさくっと作ったものじゃないかな?
いつもはもっと美味しい味付けになってるよ、俺も交代が来たら食堂で食べてくるし。」
「羨ましいですね、ここ最近は魔族領で民間に流通する食糧の収穫量が悪くて困っているらしいので……。」
「村長は優しい方だから、魔族領側から頼まれたら出来ることはしてくれると思うよ。
なんだったら、見張りの間くらい何かもらってきてやろうか?」
「改善されるのを願います、あとその優しさも甘えさせていただきますね。」
そんな会話がされていたらしいが、これは後で聞いた話。
市場に到着、するとギュンターが俺たちに気づいたのか手を振って俺たちを呼んでいる。
やっぱり少し待たせたみたいだな、急ぐか。
「今しがた漁で揚がった魚が市場に並んだところですぞ、見て回りましょう。」
「そこまで待たせてないみたいでよかった、案内よろしく頼む。」
そう言って市場を見て回ると、料理人・商人・一般の人も混ざって市場は開かれているんだな。
魚の種類は知ってる魚から知らない魚までいろいろ並んでいた、俺も魚の種類全部を知っているわけじゃないから当然だろう。
だが、前の世界で見た魚と似た形がほとんどだったので野菜や穀物同様に、同じものがあると思っていいだろう。
神、グッジョブ。
「どうでしたかな、開さんが所望する魚は揚がっていましたでしょうか?」
「今すぐ刺身で食べたいくらいだったよ、是が非でも村に魚を持ち帰りたくなった。」
「サシミ……?」とギュンターは疑問を感じたようだ、鮮度の関係上刺身は食べられていないのかもしれない。
今まで見た魚の全てが生け簀に入っていたからな、冷凍庫どころか生活魔術もないから製氷の技術も無いかもしれない。
まぁそれは頼まれたらプラインエルフ族に来てもらって実践してもらうとしよう。
「そうだ、一応交換用に肉と野菜を持ってきたんだ。
俺たちも試しに魚を持って帰りたい、魚の種類は指定するから交換出来るだけしてもらえないか?」
そう言ってウーテが持っていたバックパックをギュンターに渡す。
「もちろん大丈夫ですぞ。
では早速拝見させていただきます……ほぼ取り放題ですぞ。」
それは悪い、適正な価値を出してくれ。
「適正な価値でこの答えです、それに魔族領に流通している食糧も不足しておりまして……肉や野菜は高騰気味なのですよ……。」
そうだったのか、しかしなぜ魚は高騰しない?
「前にも言いましたが、魚は保存が効きづらいものですので……天日干しなどは出来ますが常時使用する食糧ともなると食べやすさに難があります。
なので一般の方がここ最近多めに市場に参加しておるのですぞ。」
そういう事情があったんだな、まぁ遠慮はするがお言葉に甘えてある程度好きなのを選ぼう。
今回は本当にお試しだからな。
鯛・ヒラメ・鯖・鯵・太刀魚を各5匹ずつもらうことに。
ギュンターからは「まだ全然足りませんぞ!?」と驚かれたが、これだけあればお試しには充分だ。
大きさもかなりあるから身も充分に取れるだろうし、皆に不評で食べきれないのも申し訳ないからな。
「流石にこれだけでいいのは申し訳ございません、1匹でもいいのでマグロをもらっていただけないですかの?
このあたりで獲れるマグロは絶品なのできっとお気に召すと思いますぞ!」
マグロは大きいからもらうつもりはなかったんだけどな……腰の角度が90度に曲がるまで頭を下げられて頼まれたら断りづらい。
「では職人に解体させましょう、仕込みまでさせますか?」
「それなら大丈夫だ、是非頼むよ。」
そう言ってギュンターが職人を呼び、マグロを解体させ始めた。
プロはやはりすごい、道具がいいとは言えものの15分程度で解体が終わったぞ。
「すごーい、こんな大きな魚があっという間にお肉だけになったわ!」
「なるほど、魚はあのように捌くのだな……勉強になるわい。」
「これが海の魚なのね、川の魚と違って大きいのねぇ。」
三者三様の意見が出ている、デニスは勉強になったみたいだし皆美味しそうとその後に言ってたのでよかった。
「よし、じゃあ持って帰るか。
カタリナ、全部の魚に出来るだけ強めの冷凍を頼む。」
「任せて。」と言って一瞬ですべての魚を冷凍する、魚は出来るだけ低い温度で急速冷凍するのがいいから生活魔術は本当に助かる。
バックパックに詰めれるものは詰めて、入らないのはウーテに持ってもらう。
流石ドラゴン、冷たさにも強いらしく凍った魚を素手で持ってもなんともないらしい。
ギュンターにお礼を言って帰ろうとすると、「待ってください!」と呼び止められた。
「それが言っていた冷凍という技術ですね……!
知っての通り魚は保存が効きづらいのです、漁師の待遇改善のためにも技術の提供をお願い出来ないでしょうか……。」
「この後魔王との話し合いもあるから、それが終わって村全体で話し合ってからでもいいか?
俺だって友好な関係は続けたいが、それを使える種族に反対されると断らざるを得ないからな。」
「わかりました、前向きな返事を期待してお待ちしておりますぞ。」
助けれるなら助けてあげたいが、俺の力じゃなくプラインエルフ族の力が必要だからな、俺が勝手に決めれることではない。
ギュンターと別れ、一度魚を保管しに村へ帰る。
さて、次は魔王・先代魔王、そしてミハエルとの対談だな……さて何と言われることやら。
執筆作業をサボってたら怒ってくれる人がほしいです。
2021.1/29時点で41000PV突破!
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