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街道を敷き終わった

ミノタウロス族の里を目指して平原を進んでいる、俺の警備はウーテが付くことになった。


ドラゴン族なら終われば飛んで帰れるだろうという話になったところをウーテが聞きつけて、立候補した形だ。


「ミノタウロス族の里も見ていいかしら、どんな生活をしていたか興味があるの。

 村に何か活かせるアイデアを思いつくかもしれないし!」


「期待してるところ申し訳ないけど、うちの里は本当に何もないよ。

 住んでるところの土が悪くて、農業も成功しなかったから……誇れるのは炭鉱くらいだけどそれも寿命だからね。」


ヤンがそう言うと、ウーテは残念そうに口を尖らせた。


炭鉱がある以上気軽に移住も出来なかったんだろう、成功しなかったとはいえ農業経験があるなら畑と田んぼの拡張をお願いしてもいいかもしれないな。


今は俺がメインでやってるけど、いつまで経っても広くなった気がしない。


助っ人が居ると非常にありがたいぞ、話し相手が居ると違うし。


そう思いながら、ヤンが指示する方向に想像錬金術(イマジンアルケミー)で街道を敷いていくと、ヤンとペトラが固まってしまった。


そうか、説明を何もしてなかったな……幸い気絶はしなかったので、道すがら説明することにする。


「この街道すごいですね、普通の平原だと小石やデコボコがあって歩きづらいんですが、地形に沿って平坦な道で……。

 他種族を束ねる村長なだけあってものすごい力をお持ちなんですね。」


「俺は異世界から神によって転移させられて、想像錬金術(イマジンアルケミー)は神にもらったスキルなんだ。

 だからこの世界でも規格外な性能をしているんだと思うぞ。」


「おぉ神よ……あなたはこの地を見捨ててなかったのですね……。」とペトラが祈りながらつぶやいた。


この地……というのは年々厳しい状況が続いた未開の地のことだろうな。


正直このスキルが無い状態で、氷の季節を迎えて生き残れる自信は俺には無い。


雪はそれほど降らないが、寒さがすごかったからな……防寒着を来て火の近くに居ないと相当辛いくらいの寒さだ。


そのうえ作物が育たないとなると、そりゃ間引きも起こる。


「さて、陽も落ちかけていますし今日はこの辺りで野営にしましょうか。」


運搬兼警備部隊がそう言って、野営に必要なものを設営している。


「何か手伝うことはあるか?」


「それではたき火の火を起こしてもらえますか?

 村長のスキルは火も起こせるとお聞きしていますので。」


あんまり見せたことはないがよく知ってたな、メアリーとかから聞いたのかな?


俺は円状に設置した薪に火を錬成する。


簡単な保存食を温め、みんなで食べて寝る準備だ。


「開さん、いやもう村長って呼んだほうがいいかしら?

 一緒に寝ていい?」


呼びやすいように呼んでくれていいぞ、あと一緒に寝るのも大丈夫だ。


そう言った後に、カタリナにからかわれたのをふと思い出す。


ウーテは俺に好意を寄せてると言っていたな、もし求められたらここでは応えることは出来ないぞ!?


なんて一人焦っていると、ウーテは俺にくっついた矢先にすぅすぅと寝息を立て始めた。


……恥ずかしい。


俺も寝よう。




街道を敷きながら休憩を繰り返し、もう1日野営をしてミノタウロス族の里まで街道を敷くことが出来た。


道中特に魔物に襲われることもなく、平和に来れてよかったな。


「魔物は多くはなかったですが気配は感じてましたよ。

 ウーテさんに気づいてこちらに襲い掛かってこなかったのもあるんでしょうが、ミノタウロス族もかなり強い種族なのもありますね。」


そりゃそうだよな、このガタイで弱いなんてことがあるわけがない。


ましてや主な仕事は炭鉱夫だ、力も精神も強くないとやっていけないだろうな。


「よし、俺の仕事はここまでだ。

 運搬兼警備部隊、後はよろしく頼むぞ。」


「えぇ、お任せください。

 鍛錬で鍛えた力のおかげでその辺の魔物には負ける気がしませんから。」


頼もしい。


俺も少しは体を鍛えたほうがいいのかもしれないが、鍛錬所を覗いたときトレーニングも模擬試合も俺の理解の外だったので早々に諦めた。


あんなのは無理だ。


少し前にドラゴンの姿になって里を空から見に行ってたウーテも、こちらに向かって降りてきて人間の姿に戻った。


「ヤンさんの言う通りね、土地もやせ細ってるしこの上取引材料である石炭が採れなくなるなら完全に壊滅してたと思うわ。

 特に村に活かせそうな施設も見当たらなかったし、ミノタウロス族とは移住したら交流すればいいものね。」


よし、なら村に帰るとするか。


ドラゴンの姿に戻ったウーテの背にまたがり、村に向かって発った。


あ、そういえば居住区について考えてなかったな。


ドワーフ族と仕事が被りそうだし、その近くの土地を整地して居住区にするか。


この里より広めに整地しておくといいかもしれないな、後々何かに使えるかもしれないし。


ウーテは空から里を見たと言ってたし、後でざっくりとでいいから広さを教えてもらうか。




村に帰ってきた。


「ウーテ、ご苦労様。

 明日でいいからミノタウロス族の里がどれくらいの広さだったか教えてくれ。

 居住区予定地を整地するためにも広さが分かれば人数が増えても対応しやすいからな。」


「えぇ、わかったわ。

 ……でも少し気になることがあって。」


どうした?


「プラインエルフ族の里の方角から、変な気配がしたの。

 脅威とまでは行かないけど、感じたことないものだったのは確かよ。

強いて言うなら……グレーテさんに似てたかな、全然違うんだけど少しそんな気がしたのよね。」


それは見過ごせないな、プラインエルフ族に何かあったら大変だし。


「疲れてるだろうが、他のドラゴン族を案内して見回りにいってくれないか?

 もしプラインエルフ族が何者かに襲われていたら救助、異変があったら可能なら解決してくれていい。

 解決が不可能、もしくは原因を突き止めれない場合は一度帰ってきてくれ。」


「お安い御用よ、シモーネおば様の能力でなにかわかるかもしれないから頼んでくるわね。

 後は戦闘要員に1人誰か連れて行くわ。」


うん、それが最適解だろう。


ウーテも村のことを色々考えてくれてるだけあって、かなり頭が回るほうだな。




「話は聞いたわ、前に行ったときにほんの少し変な気は感じたんだけど、近くに魔物も居たからそれかと思ってたのよね……遠くから違和感があるほどなんて、何かあると見て間違いないわね。

 私の能力を使って、色々調べてみるわ。」


「なんで僕が……まぁ最近仕事も他の皆より少なかったからなまってたのは確かだけど。

 ラウラと離れるのは少し寂しいけど仕方ないね、村とプラインエルフ族のためだから。」


ウーテ・シモーネ・クルトの3人で向かうことになったらしい、前に言ったメンバーだから面識もあるしそれがいいな。


よろしく頼んだぞ。


3人はドラゴンの姿でプラインエルフ族へ飛び立っていった、何も問題がなければ一番だが、恐らく何かあるだろうな。


俺たちで解決出来ることなら全力で解決しよう、まず俺はウーテに聞きそびれたミノタウロス族の居住区予定地の整地だ。


とりあえず他の種族と同じくらいで、足りなかったらまた整地すればいいよな。


隔日投稿(お昼12:00)していきますので追いかけてみてください!

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