ウルリケから生命体の寿命について説明してもらった。
「それでは今から生体の寿命の違いとその仕組みについて説明します!」
ウルリケは魔術でそのあたりに生えていた木を切って魔術で板にして継いでいきホワイトボードのようにした後、ウキウキで講義のような事を始めた。
あれ本当に木の板だし、書けるような筆記用具も持ってないだろう。
紙とペンはあったが、流石に木の板に書き込むことは出来ないだろうし。
なんて心配してたが、ウルリケは即席の木の板に魔術で図と文字を書いていく―ーそんな事出来たんだな。
「まず大前提ですが、寿命は体内に溜め込める魔素の含有量によって決まります。
魔素が多いほど寿命は長いですし、少なければ短いですね。」
「待って、それは魔術を使えば使うほど寿命を削ってるって事?」
ウーテが顔を青くしてウルリケに質問。
それはそうだろう、村の住民のほとんどが魔術を使っているんだ……俺だってその心配だぞ。
「それは違います―ーとは一概に言い切れないですね。
簡単に言いますと、体内の魔素を空っぽにしない限りは著しく影響を与えることはありません。
要するに魔術の乱用は体にも寿命にも良くないってことですね、長生きをしたいという前提ならですけど。」
「ということは、ホブゴは物凄い魔素を体内に含んでいるという事か?」
「詳しく調べてみないと何とも言えませんが、ホブゴさんもシモンさんのように精霊を体内に宿している可能性があります。
いくら突然変異体とは言っても、ゴブリンがそこまでの魔素を体内に保有出来るなんて考えにくいですから。」
「繧エ繝悶Μ繝ウ縺ォ蟇セ縺励※螟ア遉シ縺?縺後◎縺ョ騾壹j縺?縲
繝ッ繧キ縺ッ邊セ髴翫r菴灘?縺ォ菫晄怏縺励※縺?k縲」
ウルリケが考えを口にすると、ホブゴが初めて全員に伝わるような声量で言葉を発した。
何を言ってるかは分からないが……恐らく声帯の構造が明らかに違うので俺達の言葉を喋れないんだろうな。
ここにはオスカーもオーガも居るから何を話してるか分かるけど。
「ゴブリンに対して失礼だ……しかし精霊を体内に保有していると言っている。
――精霊を保有しているだと、ワシそれ初めて聞いたぞ!?」
「隧ア縺励※縺ェ縺?°繧峨↑縲」
「話してないってお前……あの時言ってくれても良かっただろう!」
オスカーがまさかの事実に物凄く狼狽えている、あんなオスカーを見るのは非常に珍しい。
ウーテなんて笑いをこらえるのに必死だ、気づいたら恥ずかしいだろうからやめてやってくれ。
しかし、精霊と契約しているではなく保有と言ったな……またシモンのようにノームの分体だろうか。
「まったく……面白がりおって。
ホブゴよ、お前が保有している精霊の名は分かるのか?」
「繝輔ぉ繝ウ繝ェ繝ォ縺?縲∵ーキ繧貞昇繧矩ュ皮蕎縺ィ險?縺」縺ヲ縺?◆縺九?」
「聞いた事の無い名だな……古代の事でもワシが知らない事はあるということか。
どれ、ここには大精霊と契約している人物が3人も居る、呼び出して聞いてみるとしよう。」
「分かった。」
「はーい。」
オスカーに言われるがまま俺とウーテはドリアードとウンディーネを呼び出す。
オスカーもイフリートと呼び出してまず現状の説明。
3人とも最初は何でそんな事で呼び出したのかと少し不機嫌だったが、ホブゴの件を聞いて一気に真剣になった。
焼き鳥なんてどこで食べてたんだ、冷めると美味しくないからとりあえず食べておきなさい。
「それで、そのゴブリンが保有しているという精霊の名は何というのだ!?」
イフリートはオスカーにキス一歩手前まで近づいて質問をする、2人ともイケメンだから……こう……ちょっと変な事を考えてしまう。
ウルリケはそれを見て涎を垂らしてるし、そういう趣味があるのだろうか。
「む、イフリート殿はその精霊の力を感じて分かったりせぬのか?」
「契約と体内に取り込むのでは別なのだよ……契約しているなら分かるのだが。」
「フェンリル、と言う精霊だそうだ。
氷の魔狼ともいうらしい……道理でホブゴがとんでもない氷の力を持っているわけだ。」
フェンリルか、流石に精霊というだけあって俺でも名前は知ってる。
前の世界でも神話やアニメ、漫画でも引っ張りだこになっているくらいの知名度だからな。
この世界でも共通だとは思わなかったけど。
「フェンリルか、道理で契約では無く体内保有になったわけですな。」
「イフリート殿、何か知っておるのか?」
「うむ……しかしこれは話していいのか?
どちらかというと精霊間の問題だとは思うのだが。」
イフリートとはドリアードとウンディーネを見ながら悩むように返事をする……精霊同士で何かトラブルでもあったのだろうか?
「ここで立ち話もなんでしょ、とりあえず村に戻って話をしましょ。
そこのゴブリン……ホブゴだっけ、貴方も一緒に来てもらうわよ。」
ドリアードはイフリートの言葉に返事をする。
確かにここでずっと話すのも疲れるな、ドリアードは絶対焼き鳥をもっと食べたいだけなんだろうけど。
後で俺も食べさせてもらおう。
「谺。縺ョ菴上?蝨溷慍繧呈爾縺輔?縺ー縺ェ繧峨↑縺?′窶ヲ窶ヲ縺セ縺√>縺?°縲」
「大精霊様の言う事は聞いておけ。
それに村の料理は美味い、一度でも食っておくべきだ。」
オスカーには何を言ってるか分かってるのだろう、ホブゴを諭して村に来るように呼び掛けてくれた……はず。
グレーテはウーテに「頼みますから誰からも見られないようにお願いしますね……!」と念を押してお願いしている。
オーガだけでなくホブゴも隠さなくてはならなくなったので大変なんだろうな。
とりあえず……村に帰って話を聞くとするか。
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