メアリーとウーテの試合に決着がついた。
「いただきます。」
シュテフィとラミア族がユニコーンの肉の処理応援に来てくれてひと段落。
そして馬刺しとその他のユニコーン料理も出来たので食べることに。
「うっま!」
馬だけに、という言葉は馬刺しと一緒に飲み込めた。
いや、これは前の世界の馬刺しより断然美味いぞ……これを家畜にしたいくらいなんだがユニコーンは非常に嫌われているのでそれも叶わない。
定期的に食べたかったなぁ、この馬刺し。
「久しぶりに食べたけどやっぱり美味しいわね!
村に来る前はユニコーンってご馳走の一つだったから、懐かしくもあり嬉しくもあるわ。」
ウーテが少し懐かしそうにしながら箸を進める。
でもこれだけ美味かったらそういう位置付けになるのも分かるな、この場だけにするのは惜しい。
「ユニコーンは初めてなんですが、確かに美味しいですね!
これは私のダンジョンコアで出現させてもいいかもしれません。」
メアリーが独り言を言いながら馬刺しと唐揚げを交互に食べながら満面の笑みを浮かべる、確かにダンジョンコアなら……そうか、ダンジョンコアなら行ける!
すっかり忘れていたよ、解決じゃないか。
「メアリー、さっきの独り言を採用する気は無いか?」
「ですが作物やその他が決まって……あ。」
「そうだよ、もう決める必要が無い。
俺は神を止めない限り死なないんだから。」
「本当ですね!
早速帰って他の候補を練り直さないと……。」
「私との模擬試合は!?」
俺とメアリーの会話を聞いてたウーテがやや不機嫌そうに突っかかる、大分お腹も膨れたのでそろそろ試合を……と考えていたのだろう。
それより食のほうが有意義だし、こっちで良くないか?
「そうでしたね。
私も腹八分くらいですし、そろそろ始めましょうか。」
メアリーのお腹ってどうなってるんだろう、軽く俺の倍くらい食べてたんだけど。
ちなみに俺は満腹、もう食べれません。
酒なら入る……けど、持ってきてくれてない。
村の外だから仕方ないと言えば仕方ないけど。
「あ、開様。
そのあたりで材料を見繕って矢の補充をお願いしていいですか?
さっきオスカー様に全部燃やし尽くされたので。」
「分かった、矢じりは石でもいいか?」
「大丈夫ですよ。」
「その辺の石程度でドラゴン族は傷つけられないわよ?」
ウーテが呆れたように言ってるが、確かにその通りだよな。
どうするんだろう。
「開様、矢にエンチャントを付与してください。」
まさかの俺頼りで解決するつもりだった、別にいいけどな。
準備も終わり試合……が終了してから5分程経過しただろうか。
メアリーとウーテが仲良く伸びているので、ウンディーネとシルフが介護してる途中。
試合開始早々両者仕掛けて、物凄い盛り上がっていたんだが両者同時に大精霊の力の使役を中断。
何事かと思ったら魔力切れらしい。
「オスカーは平気なのか?」
「ワシは自分の力とイフリート様の力を混ぜ合わせて使っておるから平気だぞ。」
流石指先だけでする作業以外に関しては器用だな……それも戦闘に関する技術なら当然か。
「まだ契約して間もないのに、力をバンバン使いすぎよ。
いくら不死でもちゃんと自制すること、体に負担は掛かっているはずだからね。」
ウンディーネが困ったような怒ったような口調で俺にアドバイスしてくれた。
「分かった、目が覚めたら注意しておくよ。」
しかしその力が無くなるというのは体調の変化か何かで感じれなかったのだろうか……一体どうなってるんだろうな。
「しかしウーテが魔力切れって……ドラゴン族の魔力量は相当高いんじゃないか?」
素朴な疑問をぶつけてみる。
メアリーはまだわかる、そもそも魔術を扱えなかったし魔力量が少なくて魔力切れになるだろう。
だがウーテがそんな事になるなんて考えにくい、妊娠だって今はしてないから赤ちゃんに力を持っていかれるわけじゃないし。
「それはウンディーネの力のせいよ。
他の3人の大精霊に比べてウンディーネの力は圧倒的に燃費が悪いもん。」
「しょうがないじゃないの!
この世界のほぼ全ての物質や生物に水が含まれているのよ、そんな多い物質を操るんだから燃費が悪くなって当然じゃない!」
なるほど、それは確か……に……?
今なんか物凄い怖い事言ってなかったか?
「なぁ、生物に含まれている水もウンディーネの力で操れるのか?」
「もちろん、水だもん。」
即答で物凄い怖い事を肯定された。
ウーテとウンディーネは怒らせないでおこう……怖すぎる。
極力毎日お昼12時更新します!




