生活魔術が便利すぎて前の世界がアホらしい
生活魔術を使えるカタリナが来たことによってドワーフ族が大歓喜。
地下室にいちいち氷を作らなくても食料を貯蔵出来るからだ、氷の準備は俺の仕事だったが。
後、俺が前の世界の知識で冷凍するともっと長持ちすることを伝えると、狩り部隊に「好きなだけ狩ってきていいぞ!」と興奮気味に伝えていた。
貯蔵庫はドラゴン族が来てから拡張していたので、ここが満杯になると相当な量の食糧が入っていることになるが、気にしないでおく。
掃除・洗濯と日々の家事もカタリナの生活魔術で解決しているのがすごい、魔術のテクノロジー恐るべしだな……。
カタリナに魔力切れは大丈夫なのかと聞いたが、「これくらいの魔術で魔力切れは起こさないわよ?」とにこやかに返事された。
これくらいって……前の世界じゃこれを自動化するためにすごい発明をして、エネルギーを使ってたはずなんだがなぁ。
それに手作業でするとそれなりに重労働だし、ウェアウルフ族とケンタウロス族の奥様方が「カタリナすごいわぁ!」ってなってるから間違いなくすごい。
カタリナすごい照れてるな、向こうじゃ当たり前だろうから褒められてないのだろう。
「私ももっと魔術の適性があればもっと役立てたんですけどねぇ……。」
「私もです、索敵魔術と動物会話より皆に役立てそうです……。」
姉妹そろってカタリナを見てしょぼくれている、2人は2人ですごいだろ?
メアリーは戦闘技術に頭の回転の早さ、ラウラはその2つが唯一無二の能力なんだからな。
そう言うと2人は笑顔になってくれた、何事も適材適所だ。
誰か1人が全部出来なくっていい、みんなで出来ることを合わせて形にすることが大事なんだからな。
カタリナに出来る仕事をまとめると言ったが、翌日に「村を見て回って、生活魔術で短縮できる事にどんどん手を出してくれ。」と言って丸投げした俺が多分一番仕事出来てない。
みんなには内緒だ。
カタリナのおかげで手の空いたウェアウルフ族とケンタウロス族が仕事を欲してきた。
休んだらどうだ?と言っても充分休めているらしいので、養蚕・畜産・料理などの1つの種族しか担当してない仕事の技術交換を提案。
技術者が増えることはいいことだ、不意のトラブルに備えるためにも仕事が出来る人員の確保は必須だからな。
手の空いた時間で技術交換が出来るなら、それに越したことはない。
提案し終わって畝に肥料を蒔こうとしていると、カタリナがこちらにやってきた。
「村長、とりあえず手の出せそうなところは終わったわよ。
畝に肥料をやるのね、私も手伝うわ。」
「いや、想像錬金術で済ませるから手伝いはいらないぞ。」
そう言ってサクッと終わらせると、カタリナが目を丸くしてこっちを見ている。
「話には聞いてたけど、とんでもない魔術ね……そもそも魔術なのかしら?
これで植物の成長も動物の解体も一瞬なんだったらそりゃここに他種族も集まるわけだわ……。」
実際役立ってる、動物の解体はワイバーンやドラゴンの牙製の包丁でドワーフ族が楽しそうにするのでやってないけどな。
めちゃくちゃ手際が良くて俺が手を出すこともなくなってきた、内臓はタイガにきちんと与えてくれてるし。
「まぁ、俺が出来るのはこれだけだ。
この村が形になってるのは他のみんながそれぞれの仕事を全うしてくれてるからだぞ。
カタリナだってこの村に来て数日だが、俺にとってはもう離れてほしくない人材だ。」
「離れるつもりはないから安心して、祈りや祭事だらけの里には飽き飽きしてたのよ。
神を信仰するのは全然いいんだけどね、自分たちの時間や命を削ってまですることじゃないと思うから。」
カタリナがニカッと笑って答える。
それはそうだ、信仰を重んじるあまり命をないがしろにするのは本末転倒。
神も信仰者が減るのは嫌だろうからな、今度ザスキアにそれとなく伝えてみよう。
「それより、村の暮らしはどうだ?
不便な面や気になるところがあったら細かいことでも言ってくれ、俺たちは慣れてるから気づかないことにも気づいてるかもしれないからな。」
しばらく悩んで、何か思いついたような表情をする。
「厠の匂いがちょっとなぁ……って。
肥料のために汲み上げてたら悪いから、分解してないのよね。」
「え、分解してくれていいぞ。
見てくれは前の世界のものだが、仕組みはここじゃ再現出来なくてな。
深い穴を掘ってそこに落としてるだけだから、処理してくれるなら助かる。」
「なら一度その穴を埋め立てて、また開け直してもらえるかしら。
入ったものを分解する魔法陣をその穴に書いておくわ。」
カタリナ、想像以上に優秀だった。
「里の厠では普通にしてることなんだけどね。」と言っていたが、そんなことは知らないからしょうがない。
女性にトイレのことを頼むのはちょっと気が引けるが、頼れるのはカタリナだけなので頼らせてもらうぞ。
想像錬金術で埋め立て、そして穴を開ける。
中に入るための入り口も開けて、カタリナに魔法陣を書いてもらい完成。
そこまで難しい術式ではないらしい、魔法陣が他の生物に消されない限り半永久的に効果は持続するとのこと。
生き物が入れないようにトイレと通じる穴以外を石壁に錬成し直す、これでほとんどの生物は入ってこれないだろう。
この世界の技術だけで、前の世界より快適になっていって楽しいな。
「生活魔術のスペシャリストだな、カタリナは。
正直ここまで生活の質が向上するとは思わなかったぞ。」
「掃除や洗濯なんかに時間をかけるなら神に祈れというイヤミな技術に取れるくらいだもの、そりゃ全部手作業よりは快適になるわよ。
でも他の種族は生活魔術が無いはずだものね、尊敬するわ。」
神、よかったな。
めちゃくちゃ信仰されてるじゃないか。
「そういえば生活魔術の構築が必要って聞いたんだけど、食材の冷凍以外に何か案はあるの?」
いや、他に考えはないぞ。
そう言うとカタリナは「そっ、なら私は散歩しながら技術交流会に参加してくるわ。」と離れていった。
この世界の人はいつ休んでるんだろう、俺ももっと仕事したほうがいいんだろうか。
そう思って目に見える範囲の雑草を想像錬金術で土に還す。
……終わってしまった。
家に帰ってタイガとゴロゴロする。
すると、タイガが突然立ち上がり平原に向かって走り出した。
なんだ、どうした!?
警備に「どこに行かれるんですか?」と聞かれた気がするが、聞き取れなかったし返事も出来てない。
しばらくするとタイガが立ち止まった、どうしたんだと思いながらタイガの視線の先を見る。
その先には、タイガと少し柄の違うデモンタイガーが2匹でお食事中だった。
……タイガ?
あの2匹ちょっと怒ってるぞ、大丈夫か?
家事してくれる人が欲しい、しなきゃダメなんですが億劫です。
隔日投稿(お昼12:00)していきますので追いかけてみてください!




