宴会2日目を一人で楽しんだ。
今日はエルケと行動しようかと思っていたが、エルケはそれより食い意地が勝ったらしく色んなものを食べて回りたいという事で別行動。
現在俺は一人、暇である。
厳密に言うと俺と話をしに来る人達は居るけど、会話が終われば離れるのでほぼ一人のようなものだ。
マンガ肉は確保出来てないけど、この様子だと明日も宴会をしているだろうしそこまで慌てはしないなぁ。
現在結構お腹はいっぱいだし、お酒も少し飲み過ぎたのでチェイサーを飲みながら胃腸と肝臓を休めたい。
だが何もしないのもなぁ……と悩んでいるといいことを思いついた。
遊戯施設に行けば暇つぶしが出来る。
あんなに利用したのにすっかり頭から抜けていたよ、この世界に来て娯楽という娯楽はあの数日しかなかったからな。
娯楽が無い生活に慣れ過ぎていた、どうせ一人だしダーツの練習でもしよう。
少し寂しいけどせっかくこんな大きい宴会を開いてるんだ、俺のワガママで付き合えというのも可哀想だよな。
そう思って俺は一人で遊戯施設に向かって歩いた、転移魔法陣を使えばすぐだが酔い覚ましも兼ねて。
「ロン!」
「ツモ!」
遊戯施設に入ると麻雀の席はほぼ満席でダーツは全て埋まっている、トランプの階はポーカーの講習会が開かれていた。
広場に相当な人数が居たからあれで全てだと思ったら、遊戯施設にもこんなに人がいるとは思わなかったぞ。
「村長も遊ばれに来たのですか?」
俺が啞然としながらキョロキョロしていると、遊戯施設を切り盛りしているラミア族に声をかけられる。
「いや、俺は一人でゆっくりしに来たんだけど……こんなに利用する人が居るなんて思いもしなかった。」
「宴会が始まった日から本格的に運営を開始しましたからね。
目新しさで利用されている人が多いのでしょう、そういえば人間領の王であるダンジュウロウ様もあそこで麻雀をされてますよ。」
え、ダンジュウロウ来てたのか。
挨拶してくれればいいのに、全然気づかなかったぞ。
「教えてくれてありがとう。
ちょっと挨拶をしてくるよ。」
「ごゆっくりなさってくださいね。
簡単な料理やお酒、飲み物何でもご用意出来ますから。」
そういうのが無くてもダーツの練習は出来るからここに来たんだが……もう少し休憩したら頼んじゃうとするか。
でも今日は早めに帰らないとな、恐らくしばらくは妻達もエルケと俺をきっちりくっつけようと画策してくるだろうし……2日連続で待たせるのは流石に可哀想だ。
とりあえずダンジュウロウに挨拶をしないと。
それに麻雀をしているなら教えてやれるはず、ダンジュウロウは人間だし村の住民みたいに理解の速度が異次元じゃないだろうし。
「ダンジュウロウ、来てたなら声をかけてくれればよかったのに。」
「おぉ村長か、今日到着したところでな。
声をかけようとしたのだが、新しい奥方と宴会を回っていたので先にこちらへ案内してもらったのだよ。
しかしこれはなかなか奥深い遊戯だ、人間領でもやりたいが……賭博が横行する内容でもある。
現状今は闘技祭典の本選とその予選の結果に対する賭博しか認めておらぬからな。」
「やっぱり賭博は規制してるんだな。」
「もちろんだ、常に射幸心を煽る物があれば自制出来ず依存してしまうのは過去の研究で分かっている。
だからこそ私の代で闘技祭典の勝敗の賭博まで規制したのだ、結果それを楽しみに日常を大事にしてくれるようになった。
この間のような他人に迷惑をかけるような輩も増えたが……村長に手を出したのを機に厳しく罰するようにしてからはめっきり減ったぞ。」
「それは良かった。
賭博さえしなければ麻雀は楽しい遊びなんだが、絶対に賭博に持っていく人は居る。
俺が居た世界だって賭博をするゲームだという認識が強かったからな、完璧に規制するなんて不可能だし。」
こればっかりは麻雀とトランプにずっと付いて回る問題だろう、ダーツも出来なくはないが……これはどちらかというと闘技祭典の賭け事のようなものになる。
あからさまに実力勝負になるからな、進んで賭けに出る人は少ないだろう。
「それはそうと、この前いただいた話もしたかったのだ。
どうかね、一局打ちながら対談をしていただけるかな?」
「もちろんだ、相手させてもらうよ。」
俺とダンジュウロウがそんな話をしていると、相手をしてくれる他の2人が少し不安そうな顔をしている。
どうしたのかと聞いてみると、機密事項を聞いてしまうのではないかと不安だったらしい。
そんな大層な話はしないから安心してくれと伝えると、ほっと胸をなでおろしていた。
……ホーニッヒの話は後で秘密裏にするとしよう。
その後ダンジュウロウと半荘2回ほど打ちながらこの間の謁見の話について色々返事をもらった。
試食提供は村から人間領もその逆もやってみようという事、これは非常に有難い。
魔族領より人間領のほうが入ってくる人が少ないから、その分技術や料理も入ってきづらいんだよな。
これを機にどんどん人間領の調味料や料理を村にも普及させていきたいものだ。
それとホーニッヒの件は季節の変わり目に100gだけ売ってほしいとのこと、少なすぎるのではと聞いてみたが完全にダンジュウロウの私用として購入するらしい。
人間領で採れたホーニッヒはそのまま市場へ流通して経済を動かしてもらうそうだ。
それともっといい話があった。
闘技祭典の概要説明や賭博の講習のために、マックスを村に派遣してくれるらしい。
これは嬉しいな、闘技祭典や賭博だけじゃなく他にも気になることがあれば教えてもらいたいものだ。
それとマックスから個人的なお願いがあるから、可能ならそれを聞き入れてやってくれないかと神妙に頼まれた。
内容は教えてくれなかったのが気になるけど、聞き入れれる願いなら聞いてあげたい。
マックスにはお世話になってるし。
その後ダンジュウロウはリッカに会いに行くということで遊戯施設を後にした、どうせまた連絡してないから怒られるんだろうなぁ。
しかし半荘2回も打てば少し小腹が空いてきたな、遊戯施設で食べるのもいいが……あのマンガ肉が忘れられない。
一度広場に戻って料理とお酒を見てみるとしよう、それ以外にも今だけ食べれたり新作があるかもしれないからな。
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