流澪から気持ちを伝えられたので、試しに俺の家へ招待してみた。
「流澪さん、おめでとうございますっ!」
「頑張ったわねー、でもよかった!」
「やっとって感じだけどね、何度チャンスがあったし作ってあげたか……でもおめでとう。」
とりあえず流澪をこの家の生活に慣れさせるため家に招いていると、帰って来た妻達が流澪に抱き着いて祝福する。
「うん……皆迷惑とワガママばっかりかけてごめんなさい。」
「いいんですよ、恋が実って良かったです!」
流澪はしおらしく返事をするがメアリーにハグされて顔が見えなくなる、窒息する前に離してやるんだぞ。
流澪も柔らかくて気持ちいいのと苦しいのが混同している……あ、気持ちいいのが勝ったのか手で果実をほにほにし始めた。
「村長、流澪さんの荷物とかは?」
「とりあえずまだ流澪の家に置いたままだぞ、本人は大丈夫だと言ってたがこの家での生活に慣れてもらうためにとりあえず招待しているんだ。
俺が前に居た世界では一夫一妻制が常識だったからな、頭では分かっていても心がついてこないと辛い思いをさせてしまうし。」
「ふぅん、そのあたりはきちんと考えてたのね。」
ウーテが俺の返事を聞いて少しニヤける、他人と人生を共にするんだから考えれることはきちんと考えてやらないと可哀想だろ?
流澪だけじゃなく、メアリー・ウーテ・カタリナのことだってきちんと考えているつもりだが……通じてなかったのだろうか。
まぁ通じてもらうために考えてるわけじゃない、双方より幸せになるために必要だと思っているからしているだけだけど。
「流澪さんの部屋はどうするの?」
「とりあえず今日は俺の部屋で寝てもらうよ、きちんと住むことになったら増設するさ。
今日俺が寝る場所はリビングでもいいが……誰か良かったら一緒に寝てくれると嬉しい。」
カタリナの質問に返事をすると「はぁっ!?」とカタリナに怒られる、そんな悪い事言ったか?
「流澪さんと寝てあげなさいよ、あれだけ頑張って村長に気持ちを伝えたのに一人で寝させるなんて可哀想過ぎるわ。」
「いや、だって流澪は18歳だし……。」
「あら、私なら氷の季節に入った時点で19になってるわよ、秋が誕生日だから。
前の世界で転移させられた時の季節とこっちの世界の季節は一致してたし、体感日数的にも間違いないはずよ。」
俺の声が聞こえてたのか流澪が19歳になっているのを教えてくれた……まぁ、それならいいのか。
学生ってわけでもないし、そもそもこの世界に青少年保護法のような法律があるのかも分からない……というかここは魔族領でも人間領でも無いから法律や決まりは実質無いに等しい。
それに一緒に寝るだけで致さないかもしれないし、一緒に寝るか。
その後皆で食堂へ食事に行くことに、妻達が会った人全員に流澪の恋が実ったことを報告する。
流澪は横で「もういいからぁ……!」と顔を真っ赤にして妻達を止めようとするが、全く止まる気配はない。
報告を聞いた人達は祝福をしてくれるが、流澪の頭から湯気が出る勢いなのでやめてやってくれ。
食事が出来たので気を取り直して食べようと流澪に勧める、ちょっと頬を膨らませながら「分かった……。」と赤い顔のまま返事をする流澪。
「3人とも、流澪が恥ずかしくて参りそうだからそのあたりでやめてやれよ。」
「あら、非常におめでたいことなんですが……流澪さんに嫌われる前に止めておきましょうか。」
メアリーがそう言うと他の2人も報告するのを止める、やっと落ち着いて食事が出来るな。
食事も終わりお風呂へ、流澪は着替えを取ってくるらしく一度家へ帰宅。
「慣れてもらうために家へ招いたが、まさか一緒に寝ることになるとは……。」
「流澪さんなら大丈夫だと思いますよ、私達がくっついたり一緒に出掛けてたりしてるのを見ても嫌な感情は出してませんでしたし。」
それならいいんだけど……まぁ流澪や妻達を信じるとするか。
俺は風呂に入りホットワインを飲んでいると「おや、村長ではないですか。」と声をかけられる。
振り向くとハインツとローガーが一緒に風呂へ来ていた、鍛錬帰りらしい。
「聞きましたよ、流澪さんを妻に迎え入れたとか。」
「村長もスミに置けないな……妻を4人も迎えるとは。」
「そういえば2人は複数人の妻を迎えてるのか?」
ふと疑問に思ったことを聞いてみる、あまりそういう話題にならなかったから誰が誰と夫婦の契りを結んでるかって知らないんだよな。
「私が5人、ローガー殿が10人ほどでしたか。
2人とも異種族の方と契りを結んでますよ、私達含めて皆さん抵抗は無いみたいですから。
それにローガー殿は最近ヒルデガルド殿に言い寄られているとか、強い男はモテますねぇ。」
ハインツが珍しくローガーをからかう、あまり見ない光景だから内心結構びっくりだ。
「気持ちは嬉しいがただでさえ家が手狭だからな……それに種族の長同士、多少慎重にもなる。」
「家は言ってくれれば増設するからな。
いい関係になることを祈ってるよ。」
そんな話で盛り上がりながら、俺はグラスを取ってきて2人のホットワインを注ぐ。
他にも出会った時の話や村の状況なんかを話しながら飲んでいると、あっという間に一樽空いてしまった。
「おや、無くなってしまいましたね……。」
「む……もう一樽行くか?」
「いや、今日は流澪が家に泊まるからこれくらいにしておくよ。
何なら少し長湯しすぎたかもしれない……2人とも逆上せないようにな。」
そう言って俺は風呂を出る、誰かとホットワインを飲みながら風呂に入ると、どうしても長風呂になってしまうな。
注意しなければ。
俺は着替えて外に出ると案の定妻達は俺を待っていた、全員から「遅い!」と少し怒られてしまう。
俺は分かってもらうために事情を説明したが、更に怒られてしまった……ホットワインを禁止される前に何か対策を考えなければ。
しかしタイマーなんて便利な物は無いし……時間をほぼ正確に測る方法を誰か知っているか聞いてみよう。
家に帰って寝る準備、子ども達は非常に寝つきがいいので助かる。
あまり見てやれてないがスクスク成長しているのが分かるので嬉しい、カールは手押し車があるとどこまでも歩いていってしまうほどたくましくなったそうだ。
運動面では俺に似ないでくれよと思ったが、俺に似てもいいところが無いのではないかと軽く自己嫌悪に。
この世界では人望はあるほう……だと思うので人柄は似て欲しいと思うことにした。
「村長……お待たせ……!」
流澪が寝る準備を終えて俺の部屋に入ってくる、相当緊張してるのが聞かなくても分かるくらいガッチガチだ。
「そんな緊張しなくても……。」
「そ、そんな事ないわよ!」
しかし、普通に寝るかもなと思ったが……そこまで緊張しているとなるとやることをやるつもりなんだろう。
年上としても男としても、こうなってる流澪をリードしてやるべきだろう。
俺は部屋に鍵を掛けてカーテンを閉め、流澪をベッドに誘い抱きしめる。
その後することをして分かったことが一つ、流澪って着痩せするタイプだったんだな。
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