教育施設の講義が無事終了した。
マックスの講義を受けた次の日。
前回の復習を皆でしようと書斎に集まっていると、少し部屋の中が暑くなってきたので広場で復習をすることに。
氷の季節前の最後の暖かい日だろうか、外で何かをする機会もしばらくなくなるだろうし皆喜んで移動の準備を始める。
「いやぁ、日差しが気持ちいいですねー。」
「ホント……復習をしている間に寝ちゃいそうな気持ちよさだわ。」
「寝ちゃダメだろう、広場に着いたら食堂から飲み物と簡単な食べ物をもらって復習するぞ。」
前の世界のファミレスのような使い方だなと思う、2人は楽しみなのかきゃあきゃあ言って喜んでいるし。
だが学生に戻ったような感覚なので少し楽しみだ、俺も内心少しウキウキしながら準備を終えて広場へ向かった。
3人で復習をしていると、村の住民が興味を持って俺達の所へ集まってくる。
説明すると「なるほど、これが!」と言って参加する人やその場を去っていく人様々だ。
参加した人には一から講義の内容や教育施設とは何かを説明する、人に教えると言うのは自分の復習に持って来いなのでちょうどいい。
「変ですね、去っていった人も明日の講義に参加したいという人が居たのですが……。」
メアリーがそう言いながら首をかしげる、まぁ明日から学ぶしいいだろうと思っているのかもしれない。
もちろん基礎が入っているに越した事はないが。
数人が加わり一緒に復習をしていると、一度どこかへ行った人達が他の人を呼んで続々と集まってきている。
待て、結構な人数になってないか?
適当に見積もっても50人くらい居るんだけど、大学の講義じゃないんだから……そんな大人数を教える技術を俺は持ってないので困り果てる。
「3人で別れて教え合いましょうか、流石に同じペースで進めることは難しいですし。
私とウーテさんは今向かってくる人達と復習をしますね。」
「すまないな、よろしく頼むよ。」
2人は来ている人達と話して、さらに二手に分かれて広場の机に座る。
俺はそれを見て一安心し、今まで教え合っていた人達と復習を再開。
色々質問されたらどうしようかという不安も少しあったが、マックスの教え方が上手だったのできちんと言語化して質問に答えることが出来た。
ほぼ知識が無い状態からここまで頭に残る講義をするマックス、やはりリッカの恩師であり教育施設の責任者だけあって人に教える技術がすごいんだな。
その後は皆真剣に復習に当たって終了、分かりやすかったと言ってもらえてよかった。
俺も更に理解を深めることが出来たし、大成功だな。
それから1週間ほどかけてマックスの講義を受けて教育施設のノウハウ伝授は終了。
「それでは実際に運営を開始する時に再び顔を出させていただきますね。
皆さんかなり優秀ですし技術も充分持っていますが、村の更なる発展に役立つ施設になることをお祈りしてますよ。」
「それなら今から土地を見繕って作るから見て行ってくれないか?」
「何をおっしゃいます、講義を聞いてて分かったと思いますがそこそこな大きさの建物が必要になりますので。
それなのに土地を見繕うところから始めて、すぐに建つようなことがあるわけが……。」
確かに想像錬金術をマックスには見せてないからそう思うだろう、だが建物も土地もすぐに準備出来るから早めに始動させたい気持ちが俺にはある。
「マックスの時間が大丈夫なら1時間ほど食堂で休憩しててほしいんだが……人間領で仕事が入っていたりするか?」
「いえ、ダンジュウロウ様からは村が納得するまで滞在してみてやれという命を受けてますので……。」
「それなら俺を信じてくれ。
信じれないなら俺についてきてくれてもいいぞ。」
俺の言葉を聞いたケンタウロス族が気絶者の介護の準備を始めたのが横目で分かった、そんな所に敏感にならないでもいいのに。
「大変興味がありますので村長について行かせていただきますね。
はてさて、どんな面白い物が見れるのか楽しみです。」
俺はケンタウロス族とミノタウロス族に資材の準備を施設区に持ってくるようにお願いする、その間に俺は土地を見繕っておくとしよう。
居住区に設置しても良かったんだが、他の土地から来た人が利用する可能性も考えて施設区にした。
住民なら村の移動を短縮する転移魔法陣もあるし、そこまで不都合ではないだろうからな。
俺はちょうどいい場所を見つけて2人で待機、マックスは俺が選んだ土地をまじまじと眺めたり調べたりしている。
土地自身には何も無いぞ、手品のようなものを想像しているのかもしれないが。
しばらくしてケンタウロス族とミノタウロス族が資材を持って到着、俺はそのまま想像錬金術を発動して教育施設に使う建物を錬成。
結構大きな建物だがマックスの講義が分かりやすかったおかげで、どういった建物にすればいいか簡単に想像出来たので特に迷わずに済んだ。
「出来たぞマックス、一応これでいいか中を確認してくれ。」
「村長、マックス様は気絶されております。」
そうケンタウロス族に言われて振り返ると、既に抱き上げて施設内へ運び込んでいる。
荷物を見る限り介護の準備はばっちりのようだ、それは別にいいんだが少し嬉しそうに人を看病するのは怖いからやめてほしい。
その後マックスが起きて事情を説明。
「そのようなことが出来るなら教えてほしかったですね。
短期間で村が発展した理由にも納得がいきました。」
驚かせたかったのもあるので反省、次からはあまりやらないようにしよう。
人をわざと気絶させるのはどう考えてもいい趣味ではないし。
マックスが施設内を見回り出したので俺もついて行く、細かいところをダメ出しされたのでその都度想像錬金術で修正。
俺が黙っていた事の仕返しのようなものだろうか、窓の位置を5cmずらせと言われるとは思わなかった。
「お疲れ様でした、これなら明日からでも稼働させることが可能でしょう。
ですが今日の講義の復習がありますので明後日にしましょうか、講師と受講する人の選別は村にお任せしますね。」
「分かった、ではまた明後日の昼前にここに集合でいいか?」
「受講する人はそれで大丈夫ですが、講師の人はもう少し早めにお願いします。
少し伝えることがありますので。」
「それじゃそのように、また明後日な。」
俺はマックスと別れて村の皆にそのことを伝えに行く、マックスは商店街と神殿に寄ってから食堂に向かうそうだ。
デパートと重なって慌しいが、皆にはちょっと協力してもらうとしよう……断られないといいけど。
極力毎日お昼12時更新します!




