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ダンジョン攻略から帰り、久々の風呂と食事を楽しんだ。

ダンジョン前で一晩を過ごし、早朝に発って夕方前に村へ到着。


「開様、おかえりなさい。」


「村長おかえり!」


「ただいま、何か変わったことはなかったか?」


妻達が出迎えをしてくれる、他の皆も出迎えてくれる相手を抱きしめたり笑顔で話したり。


「変わったことは無かったですが重要な決定の連絡はありましたよ。」


「後で聞くよ、とりあえず今は風呂の後にご飯が食べたい。

 風呂は入れなかったし食事も保存食ばっかりだったからな、ドワーフ族が作ってくれたやつだから美味しいのは美味しいんだが……やはり温かいご飯が一番だ。」


「分かりました、では食事の時にお話しますね。」


俺が遠征の片付けをしようとすると、ウーテが「私がやっておくわ、早くお風呂に行ってきたら?」と言ってくれたので素直に甘えることにする。


久々というほどでもないが、お風呂はやっぱり毎日入りたい。


軽く体を流して湯船に浸かる、はぁぁ……気持ちいい。


「お、村長も風呂だったか。

 やはり遠征後の風呂は格別だ、数日入れてないせいかいつもより余計に気持ちよく感じるものだな。

 それよりどうだ軽く一杯、温かくてもうまく飲める酒をドワーフ族から教えてもらったのだが。」


オスカーはビンとグラスを持って湯船に入ってきている、せっかくなのでいただくとするか。


給水所にあるコップを拝借してオスカーにお酒を注いでもらう……色と匂いで判別する限りワインだ。


温かいワインなんて初めて飲むな、少し不安だがドワーフ族が美味いといなら間違いないだろう。


軽く口に含むとスパイスやワインには無い甘みが広がる、これは美味しい!


「普通のワインと違っていいだろう、最近はこれが楽しみで風呂が好きになったのもあるな。」


オスカーは笑いながらワインを口に運ぶ、それでこの前もお風呂へ足早に向かったのか……こんなものあるなら教えてくれればよかったのに。


俺も好きになってしまう、風呂で一杯というのも憧れだったし前の世界じゃ大衆浴場ではマナー違反だから出来なかった。


家だとこんな広い湯船は無いし、旅館なんかも再々行ける所ではなかったからな。


今度俺もドワーフ族に分けてもらうとしよう、これは本当に美味しい。


「しかしまさかラウラ殿が無属性持ちで、シュテフィの魔術の威力があれほどとはなぁ。

 さすがのワシも少しびっくりしたぞ、遠距離攻撃もこれで安心かもしれんな。」


「威力が凄すぎて地形が壊れるよ、やはりメアリーのような弓や他の手段を用いた物理攻撃も必要だと思う。」


「それもそうか、だがそのあたりはケンタウロス族が担っておるしハーピー族も上空から近づいてかぎ爪で相手を斬り裂ける。

 この村に逆らえる勢力は今のところおらんな、ワシやシモーネもついておるし。」


確かに過剰と言えるほどの戦力だけど悪用するつもりはない、あればあるだけ安心するから俺は嬉しいけど。


「おっと、そういえば妻達を待たせているんだった。

 そのお酒美味しかったよ、ありがとうな。」


「おおそうだったか、また時間が合えばご一緒しよう。」


少々長風呂になってしまったな、俺は頭と体を洗ってもう一度軽く湯船に浸かり風呂を出る。


ちょうどお腹も空いたし良かったかもしれない、久々のお風呂だし少し待たせても怒られないはず……多分。




食堂に向かうと妻達は既に食べ始めていた、やっぱり待たせ過ぎたか?


「長風呂でしたね、逆上せていませんか?」


「湯冷めしないように温かい食事を頼んでるから!」


よかった、怒ってないみたいだし俺の事を気づかってくれてる。


「ありがとう、ちょっとオスカーと一緒になって話してしまってな。

 早速大事な決定というものを聞こうか、魔族領からということはクズノハ関連のことだとは思うが。」


「ご明察です、式典と食事会の日程が決まりましたよ。」


早かったな、もう少し色々一緒に居たい気持ちはあったけど……仕方ない。


会おうと思えばすぐ会えるし、魔族領の城ならほぼ顔パスみたいなものだから実はそこまで変わらないのかもしれない。


「次の稔の季節に開催されるデパートが終了した2日後、だそうです。」


「えらく先だな、花の季節くらいだと思ってたよ。」


月日換算すると1年弱、かなり入念な準備がされるのだろうか。


「なんでも全てを最高級にするには相応の時間が必要ということで。

 今から動いてもかなりギリギリみたいですが、魔王様が早くクズノハさんと一緒に暮らしたいと仰っているらしく魔族領上げて大急ぎで準備を進めてるみたいですよ。

 それでもデパートの出店は絶対に欠かさないと念を押されていましたが。」


大丈夫なのだろうか魔族領、落ち着くまでは何か頼み事は避けたほうがいいかもしれない。


今のところ何か頼みたいということは無いから大丈夫だけど、強いて言うならミハエルの知り合いという歴史学者から魔法金属について見解を聞きたいくらいか。


もし過去に各領が貴重な装備を送り合えるような仲なら、これを機にもっといい関係を築けたらと思う。


そのほうが俺もやりやすいからな。


「対応ありがとう、とりあえず現状は把握出来たよ。

 クズノハももうすぐお別れみたいな雰囲気を出していたから、少し拍子抜けしたな。」


「本当じゃよ、我だって花の季節あたりだろうと思って皆に伝えたというのに。」


俺達の会話が聞こえたのだろう、クズノハが俺の言葉に返事をする。


「いたのかクズノハ、気を悪くしたなら済まない。」


「そんな事は無いから安心するのじゃ、我ももう少し村に居れるのは嬉しいからの。

 それにクリーンエネルギー機構の研究の引継ぎもしっかり出来るから悪い事ばかりではないのじゃ。」


「それで思い出したけど、カタリナさんって最近大丈夫?

 疲労がたまってるのか最近食欲も無いみたいで顔色も少し悪いし……そっちで根を詰めてるなら注意してほしいんだけど。

 私が聞いても心配しないでいいからって言われて困ってたのよね。」


ウーテの口から心配な情報が飛び出してくる、もしそうなら少し休ませるのだが。


「研究施設でも最近はほぼ休んでおるよ、必要な時だけ参加する形を取っておる。

 我も心配で理由を聞いたのじゃが、大丈夫の一点張りじゃったからの……。」


「どう考えても大丈夫じゃないな……今日家で話してみようか。

本当に体調不良なら一大事だし。」


「そうですね、流石にここまで皆に心配されてたらカタリナも口を割るかもしれませんし。

 では家に帰ったら聞いてみましょう。」


クズノハ曰く、カタリナは既に家へ帰ってるらしいので俺達も少し急いで食事を取って帰宅することに。


バテている程度ならいいんだけど。




家に帰るとカタリナの姿は見当たらない、どこに行ったのだろうか。


「寝室にも居ないわ、どこ行ったのかしら……。」


「俺はラウラに頼んで索敵魔術でカタリナを探知してもらう、ウーテは上空から村を探してくれ。

 メアリーは思い当たるところの捜索を、俺じゃ思いつかないところもメアリーなら思いつくはずだ。」


「分かりました。」


「分かったわ。」


2人は早速動きだしてくれたので俺もクルトとラウラの家へ走る、カタリナの体に何も無ければいいんだが。


極力毎日お昼12時更新します!

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