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ウェディングドレスについて皆に説明した。

「村長、流澪さん。

 ウェディングドレスって何?」


村の住民から次々に同じ質問をされる、そんなに言わなくても教えるから落ち着いてくれ。


「俺達が前に住んでた世界では、一般の人も夫婦の契りを交わせば親や友人を招いて結婚式という式典を開くのが習慣づいてたんだ。

 その時に女性が着る一般的なドレスがウェディングドレスというんだが、まさにアラクネ族が今描いてくれた案と似たようなデザインなんだよ。」


「その中でもアラクネ族が考えたデザインは良いお値段すると思うわよ。

 遠方の友達が結婚するから一緒にドレスを見てたけど、似た奴で物凄い値段のやつがあったし。」


流澪の友達が結婚するって、18歳のはずなのに早いな……だが時代を考えると早い子はそんなものか。


「ちなみに品質だけ見ると魔族領とこの村ではどっちが上なの?」


流澪が皆に質問をする、流澪は買い物にあまり参加してないからそのあたりは分からないのだろう。


「服飾の模様の綺麗さなら間違いなく魔族領や人間領のほうが上ですが、品質で村に勝るものを作れる場所は無いと思いますね。

 今まで見たことありませんし、ギュンターさんやキチジロウさんに最高級品を見せてもらっても品質だけなら村が勝ってましたよ。」


ザスキアから意見が出る、メアリー・ラウラ・カタリナの3人がびっくりした顔でザスキアを見ているがどうしたのだろう。


「あのおばあ様が俗世の物に興味を持つなんて……。」


そういう事か、俺はザスキアが結構前から他の文化に興味を持ってることを知っていたからあまり驚かないが。


というか一緒に買い物に行っていただろう、ただ付いていってるだけかと思ってたのだろうか。


「それならクズノハさんのドレスは村の全技術を結集して作るべきだわ。

 アラクネ族が出してくれた案に村の品質にアラクネ族とドワーフ族の装飾品を加えれば、魔族領史上最も美しい魔王の伴侶として名を馳せれるはずよ。

 後は化粧品だけど……魔族領や人間領にそういったものはあるのかしら?」


「それならどちらにもあります、今度買えるだけ買い漁ってきましょうか?」


それは無駄づかいだからやめたほうがいいと思うぞ?


「お願い、お金持ちの人が使ってるというだけで売れている物に隠れて良い物があることもあるから。」


お願いしちゃったよ、無駄づかいじゃないのか?


「それなら私は人間領のものを買い漁ってきます、魔族領はお任せしますね。」


マーメイド族が胸を叩いて買い物を引き受ける、もう無駄づかいというツッコミはやめておこう……女性達には重要な案件だと思うことにする。


その証拠に他の女性達も「後で試させてね!」と話しているし、興味があるなら自分達で開発すればいいと思うのだけど。


「あの、一つ提案があるのですが。」


声のする方へ顔を向けると、ユリアが手を挙げていた。


「どうしたんだ?」


「クズノハさんがそのようなことになるのであれば、是非着飾った姿を絵に収めたいのですが。」


「それはいいわね、前の世界でも結婚式前の前撮りなんかもあったし。

 商売にはならないかもしれないけど、思い出や歴史に残すと言う意味では有りだと思うわ。」


流澪が前の世界の文化を例えに肯定すると、ユリアも大喜び。


「絶対にいい絵を描いてみせます!

 魔族領にお出ししても恥ずかしくないようなものにしますね!」


ユリアが両頬をぺちんと叩いて気合を入れる、今からそんなに張り切らなくてもいいと思うぞ。


「しかし、ウェディングドレスからここまで話が広がるとはな。」


そもそもウェディングドレスが出てきたのが驚きだけど、そこから他にやれることが見つかるのも驚いた。


やはり色んな人を交えて意見を考えるのは重要だな、前の世界では意味のない会議がほとんどだったけどこの世界ではそんな事がほとんど無くて助かる。


「私も考えて良かったです、ケンタウロス族やドワーフ族と力を合わせて極上のドレスを作ってみせますよ。」


「アラクネ族は装飾品も作らにゃならんだろうに、大丈夫かの?」


「そちらはその専門にお任せしますから、服飾担当がそちらに回りますので。」


同じ職人同士ドワーフ族とアラクネ族がお互いを軽く煽り合っている、煽るのは良くないことだと思っていたが2種族の関係を見る限りあれで仲良く出来てるみたいだ。


他の意見は特に出なかったので、クズノハが城に招き入れられた時点でこの話を魔族領に持っていこうという事で決定。


2人の関係が魔族領には非公表かもしれないし、そのあたりを配慮した結果だ。


最近は堂々と村でデートしているし、あまり隠せてはないかもしれないけど。


話し合いを終えてダンジョンから外に出ると、ちょうど食事をしに来た魔王とクズノハにかち合った。


「皆ダンジョンからぞろぞろと出てきて、どうしたのじゃ?」


クズノハから聞かれて皆がしどろもどろになる、その態度は少しまずいかもしれない。


「新しい鉱石をダンジョンから出るようにしようかという話でな、皆とダンジョンを見ながら話し合ってたんだ。」


前半は嘘だが後半は本当。


「ふむ、それじゃ後で我も見せてもらおうとするかの。」


「いや、それが人間領で採れるものだから交易で買うものだけにしようという事になったんだよ。」


「なんじゃ玻璃のことか、だがまだ実物を見たことが無いからの。

 もし手に入ったら是非見てみたいのじゃ、何かに使えるやもしれぬし。」


「その時は見せるようにする、安心してくれ。」


俺との会話を終えてクズノハは魔王と腕を組んで食堂へ入っていった……何とかバレてないようでよかった。


「よくあんな嘘、咄嗟に思いついたわね……。」


「前の仕事で言い訳する場面が多くてな、そこで培ったスキルだ。」


「要するに不手際が多かったってことじゃない、誇れないわよそれ。」


流澪から無慈悲なツッコミが入る、出来てても重箱の隅を楊枝でほじくるような真似をされて言われてたんだよ。


だが俺のミスがあったのも事実なので何も言い返せずにいると、メアリーが流澪に何かを言っている。


それを聞いた流澪はオロオロしている様子だが、何を言ったんだろうな。


流澪のツッコミにへこみながらも、クズノハには今回の件がバレずに済んだので今出来ることをする事に。


最近出来てなかった村の見回りとデパート開店の進捗状況の確認だな、2人の件でやることは決まったので今は村の事に集中しよう。


極力毎日お昼12時更新します!

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