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恋してしまったのはあの文豪!?

5時間目のチャイムは自分の世界を奪われるようでいい気分ではない


そんなことを思いながら本棚に一冊の本を戻す

もともと本を読むのは好きだが、最近はいつもに増して読書の時間が増えている


それもこの『源氏物語』のせいなのだ


現代人にはおよそ書けないようなこの文章の魅力に俺は引き込まれているのだ


図書室を出たところだったが

「次の授業は数学か...

どのみち源氏物語の続きが気になるせいで授業も入ってこないならサボるか」

と、適当な言い訳で俺は他の生徒の流れに逆らい図書室へ戻った

そして源氏物語を手に取ると人のいなくなった図書室で一人で読み始めた


源氏物語を読むにつれてわかったことがある

それは俺がこの源氏物語の作者である紫式部に恋心のようなものを抱いていることである

もちろん自分でもアホなことを言っているのはわかっている

ただ、自分を虜にしたこの文章を書いた女性への興味でいっぱいなのである

そんなくだらないことを考えながら俺はこの文章にまた引き込まれていた


コロコロコロ...

本に夢中になっていた俺の足元になぜか筆が転がってきた

「なんでこんなとこに筆が?」

なんとなくそれを拾い上げたときだった


「"数ならぬ 心に身をば まかせねど

身にしたがふは 心なりけり"

この歌をあなたに送るわ、だから忘れないでね」

女の人の声が聞こえてきた


そう思ったときにはすでに意識はなかった




、、、ここはどこだ

というかさっきの光はなんだ

俺は目を開けることすらできずに光の中を疑問とともにいた


次の瞬間、目が覚めた俺の目の前は見慣れた図書室ではなく昔ながらののお屋敷の庭だった


まだ状況がつかめずにいた

なぜって目の前の景色にあまりにも見覚えがないからだ

「もしかして授業サボった罰ゲームか?」

そんな呑気なことを考えながら自分の姿を確認するために近くの池をのぞいてみた


そこには制服を着て本を読んでいる自分はおらず、

文官束帯のようなものを身につけて一本の筆を握りしめた自分がいた


「え? 罰ゲームでここまでやる?」

何が起こっているのかわかっていないどころか自分の顔と体以外に知っているものが何もないのだ


ふと周りを見回すと綺麗な日本庭園で、奥には大きな屋敷がある

「まるで源氏物語の世界じゃないか!」

少しだけテンションが上がり始めたときだった


「ここで何をしている?」

声のする方を向くと自分と同じような格好をした男の人が二人ほどこちらを見ていた

「いや~えっと、、、

何をしているっていうか何もしてないっていうか」

「は?意味がわからない。

とりあえず一緒に来てもらえるかな?」

「いや、ちょっと待ってくださいよ

怪しいものじゃないんですよ」

「君のことをどうするかは屋敷の方で決めるから」

何もしてないのに下手したら投獄とかシャレにもならない

急いで逃げなきゃ、と思っていたときだった

「待ってください、その人は私の客人ですよ」

俺と同じような服装だが、少し身分が高そうに見えた


その男性との出会いが俺のこの夢のような出来事のすべての始まりだったのかもしれない...

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