表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
over and over  作者: 富士江 三蔵
19/23

第19話

お気に入りの賑やかな楽曲が静かな寝室に響く。

完全に遮光された部屋で真知子はそれを嫌がるように音源の反対側に寝返りを打ち、掛け布団で頭を隠す。

先方の意志は固いらしく、スマホから流れる曲は途切れることなくサビに入っていく。


『ん・・もう・・誰?』


根負けした真知子は体をそのままにもぞもぞと手を伸ばし、ベッドの枕元にある棚を探った。

暗がりに光る画面には亜紀の名前が記されている。

寝惚けまなこの真知子は狙いを定めて人差し指で受話を押した。


「おはよ―!チコ姉!ごめん、寝てた?」


いつも通りの元気な声は寝起きの耳にはそぐわない。


「今起きた・・なに?こんな時間に・・」


そう言いながらも真知子は現在時刻を知らない。彼女は一旦ベッドに座ってから立ち上がり、廊下を経由してリビングキッチンへとゆっくりとした足取りで移動する。


「あのね、今日、そっちの近くで飲み会があるから泊めてほしいの。」


「え!?今日!?」


「予定あった?・・もしかしてデートとか・・」


「バッカ・・そんなのないわよ。でも明日仕事じゃないの?」


「えへへ~。この前休日出勤したから代休なんだ~。」


真知子はちらりとカレンダーを見て起き抜けの脳に正しい日付けを入力する。

明日は第二月曜だ。

そして今日は・・


『あ・・研次の誕生日・・』


忘れるべき男ではあるが真知子は覚えやすい研次の誕生日を記憶からまだ消せずにいる。


「ゾロ目なんだ。すごいだろ?」


「すごいのはその日に産んでくれたお母さんじゃない。」


そんな過去の会話が真知子の脳裏を駆け抜ける。


『やだ・・思い出しちゃったじゃない。』


「チコ姉、どうかした?」


その声に真知子は我に返り、何でもないと会話を続けた。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ