『本当の自分』
前回から引き続き、閲覧有難う御座います!
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ああ。終わってやがる。
彼はおもむろに呟いた。
そう思うのも仕方がない。
なんせ彼は召喚されてしまったのだ。
『異世界』と言う未知の世界に。
なぜ、異世界と言いきれるか?そんなのは簡単だ。
目の前のエルフらしき少女が言っていたじゃないか。
ああ。終わってやがる。
俺たちの世界で異世界ってのは『夢』そのものだが、
さすがに動揺を隠しきれない。
「あのー?大丈夫?」
青い瞳をこちらに覗かせながら少女は聞いてきた。
顔を近づけられたからか、もしくは頭が吹っ切れたからなのか、
「ぁ、ぇ・・・?」
その瞬間、俺はスイッチが切れたみたいにぶっ倒れた。
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--二ヴァルヘイスト某所
「はあ!? この私が!?」
金髪のエルフの少女が叫んだ。
「ですからアスティナ様!こればかりは・・・」
「嫌だ! いぃぃやぁぁだぁぁ!」
情けない言葉が少女から放たれる。
この子供っぽい少女はこう見えても、この都市。二ヴァルヘイスト最強の魔術師。
『アスティナ・ユークレア』その人でもあるのだ。
「人間界に莫大な魔力反応があったんですよね? なに急にビビってるんですか!?」
アスティナの側近。クエリア・ファレルが低い声で少女に言う。
「だってぇ! 人間こわいじゃん! 絶対襲われるぅ!私行かなくてもいいでしょ!」
アスティナは駄々をこね、ファレルの意見も聞かなくなってきた。本当に怖いらしい。
そう、彼女は大の人間嫌いだ。無理もない。
でもなぜ、異世界でこうも力を持たない人間ごときに騒いでいるのか。
簡単だ。その人間は他の人間とは全くもって別次元の存在であるからだ。
「さぁ、アスティナ様。お迎えのご準備を。早めに手を打たねばなりません。そして、ご無礼のないように。」
「・・・し、仕方ないわねっ。や、やるわよ・・・」
この時、その人間は自分の力が世界を救う希望だなんて知るよしもなかった。
------目を覚ませ。時はもう近づいているぞ。少年。
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