秋
もう夏が終わり、秋になった。季節が変わるのは、早いものだ。
夏は暑くて、仕事をするのもしんどかった。特に庭師の仕事が。ても、スポーツドリンクと水筒のおかげで熱中症にならずに夏を乗り切る事が出来た。他の庭師の皆もだ。
「今年の夏は暑かったけど、ルーナちゃんの作ってくれたスポーツドリンクと水筒のおかげで楽に過ごせたよ。ありがとね」
「ええっ!?い、いや、私のおかげなんかじゃないですよ!」
お昼ご飯の時にいきなりリベリオさんにお礼を言われて、私は焦った。
「そんな事ないよ!ボクもいつもよりも身体が楽たったもん」
私が欲しかったから作っただけだし、私がお金を稼ぎたかったから商品化しただけなのに、ラウルも私のおかげだと思ってくれているらしい。
全部私の為にした事なのに、お礼を言われると落ち着かないし、そもそもお礼を言われるような事はしてない。
けれど、私が作った物が皆のお役に立てたなら、それは嬉しい事だよね。
「そう?私が作った物が皆の為になったのなら嬉しいな」
「うんうん、為になったよ」
「ありがとね」
「エヘヘ」
こうして庭師やお屋敷の皆さんにスポーツドリンクを受け入れて貰えて良かった。
そして、実は、スポーツドリンクは一般市民(王都だから都民?)の皆様にも受け入れて貰えて、結構良い売れ行きになりましたー!!!
やったぁーーー!!!
売れ行きを心配してたから、この知らせを聞いた時には嬉しくなったし、安心した。良かったよー。
まあ、水筒の方は一般の皆様にはあまり売れてないんだけとねー。私が落ち込んでると、開発室の皆は、『仕方がない』ってなぐさめてくれた。ありがとうございます。
水筒はどうしたってそれなりのお値段がかかるし、気軽に手が出せないからね。うー、仕方がない。
皆が言うには、『まだ皆、水筒がどんな物か分かっていないのだろう。きっと、騎士団から広まっていくだろう』って。そうだと良いけどー。皆の言う事を疑ってる訳じゃないけどさー、心配になるよね。
皆の言う通り、水筒はこれからかもしれないけど、反対にスポーツドリンクの売れ行きはこれから落ちるだろう。
だって、夏が終わったからねー。
夏が終わって秋になったとは言え、まだまだ暑い。残暑が続いているのだ。だから、もうしばらくは売れると思うけど、涼しくなったらそうはいかない。
そうしたら、次はピーラーの開発だ。キッチンツールは季節関係ないもんねー。そして、ピーラーの次はスライサーだ。
まだまだリオン君に頑張って貰わないとならないなー。ごめんね、リオン君。頼りにしてます。
☆☆☆☆☆
秋が深まると、案の定スポーツドリンクの売れ行きが落ちてきた。まあ、そうだよねー。その分、水筒の売れ行きには期待だけど。売れ行きが伸びてくれると良いなー。
ー冬に温かい飲み物を飲みたくなりますよねー。だから、買って下さいよー。
さて、涼しくなったのなら、次の製品の開発だ。
騎士団からの注文分の水筒の納品は夏の間に完了したし、その後はお店にお願いする分を作っているだけだから、次にいきたいと思う。
「さて、次の開発ですが、予定通りにピーラーでいきましょう!」
「ピーラーっていうのは、確か、皮むき器…だったよな?」
「はい、そうです」
「前に絵に書いて教えてくれた物だったよね?あの通りに作れば良いのかな?」
「うん、そうだよ」
「分かった。じゃあ、試作品を作ってみるよー」
「えっ!?もう!?」
リオン君の発言に、私は驚いた。確かに、前に絵に書いて『こういうのが作りたいんだよー』って説明したけどさー、それでも早くないでしょうか!
もう作れるんですか?作れちゃうんですか?
ーさっすが、リオン君!君は天才だよ!!
「うん?早すぎる?」
「う、ううん。全然!ちょっと説明しただけで『試作品を作れちゃう』と言えるリオン君に驚いただけだよ」
「そうかな?ルーナちゃんがきちんと説明してくれたからだよ」
リオン君は純粋にそう言ってくれた。謙遜をするとかではなく。
リオン君はふんわり天然系だから、自分が天才だって分かってないのかもしれない。
ーは〜、リオン君は癒されるな〜。




