発売日
私はポスターの次にポップを作り、その後でチラシを作った。ポップには小さな絵と文字で分かりやすくしたよ。チラシには、ババーンと見出しを書いて、その下に絵と文字を書いていった。
ーこれで分かってくれるかなー?
一応分かりやすく書いたつもりだけど、不安になる。私は意見を聞こうとリオン君に見て貰う事にした。
「リオン君、今ちょっと良いかな?」
「ごめん。少しだけ待っててー」
「分かった。大丈夫だよ」
リオン君は今日も忙しそうにしている。ご苦労様です。
その間、私はアイスティーを淹れて待つ事にする。そう言えば、この国では冷たい紅茶って飲んだ事がなかったなー。人気ないのかな?美味しいのに。
リオン君には不評かもしれないけど、ちょうどここにレモンがあるし、リオン君は暑い所で作業してるから、アイスティーしかもアイスレモンティーにしようと思う。
程良い酸味が疲れに効くと良いなーと思ってね。
私は保冷庫から氷を取り出すと、その氷を紅茶が入ってる水筒の中に入れていった。これでアイスティーが出来るはずだ。
温かい紅茶がアイスティーになるのを待つ間、次にレモンを切っていく。レモンが切り終わったら、アイスティーをグラスに注ぎ、そこに切ったレモンを入れる。
ーう〜ん、グラスにも氷を入れるべきかな?
確かめるべく、私はアイスティーを1口飲んでみた。
ー…うん、これ以上氷を入れたら、薄くなりすぎちゃうや。
氷が入って紅茶が薄くなる事を考えて紅茶を濃く入れなきゃならなかったのに、あんまり濃さを考えてなかったよ。失敗。今はやや薄いくらいだから良いけど、これ以上はダメだね。
「終わったよー。ルーナちゃん、お待たせー」
そこでリオン君から声がかかったから、私はグラスを持ってテーブルに向かった。
私がグラスを置くと、ちょうどリオン君がテーブルまでやって来た。
「待たせてごめんね」
「ううん。こっちこそ忙しい時にごめんね。ありがとう」
「いいえー」
「あっ、お茶をどうぞ」
「ありがとう」
私がアイスティーを勧めると、リオン君はお礼を言って席に着いた。そして、グラスを見ると不思議そうな顔をした。
「これ、お茶なの?」
「そうだよ!紅茶を冷たくしてみましたー!そして、レモンを浮かべてみましたー!」
私の主張を聞いて、リオン君はグラスに鼻を近付けると、クンクン香りを嗅いでいった。
ーただ、レモンを入れてあるだけだよー。変な物は入れてないよー。
「失礼なー。変な物は入れてないよー」
「ご、ごめん」
リオン君は私に謝ると、慌ててグラスを手に取って口をつけた。
「お、美味しい!!」
「でしょう?」
ふっふーん!だから、『変な物は入れてないよー』って言ったんだよー。
「甘い方が良いなら、お砂糖を入れようか?」
リオン君に聞くと、リオン君はぶんぶんと首を横に振った。
「そんな高級なもの、使えないよ!」
そっか。お砂糖は高級品だったね。ついつい気軽に使いたくなるけど、ここでは自重しなくちゃだ。
私もお砂糖なしで飲んでいく。1口飲んで、私はリオン君にお願いをしていった。
「リオン君にお願いがあるんだけど、出来上がった物を見て、意見を聞かせてほしいんだ。良いかな?」
「ボクで良ければ良いよ」
「ありがとう!」
リオン君が快く引き受けてくれたから、私はポスターとポップ、そしてチラシを掲げて見せていった。
「これがポスター。商品を宣伝します」
「うん、なるほどなるほど」
「これがポップ。うーんと、どんどん買って貰う為の物」
「ふんふん」
「それで、これが広告。これも、商品を宣伝する為の物だよ」
「ふーん。そうなんだー」
「で、どうかな?分かりやすく出来てるかな?」
「そうだなー」
リオン君はそう言いながら、細かく見ていってくれる。私はリオン君が見やすいように、別テーブルにポスターとかを並べていった。
「ポスターと広告は、商品を宣伝する物同士だけど、具体的には何が違うの?」
「えっ!?えっとー、ポスターは1枚の紙に絵と文字で分かりやすく書いて宣伝する物で、広告はもっと細かく書いて配って宣伝する物、になるのかな?」
「なるほどね」
「で、どうかな?」
私はリオン君の意見をドキドキしながら待った。
「そうだなー。ポスターと広告はこれで良いと思うよ。ただ、ポップ?は、もう少しスッキリさせると良いと思う」
「ちょっとごちゃっとしてるかな?」
「うん、少しね」
「分かった!ありがとう!書き直してみるね!!」
私はリオン君の意見を元にポップを書き直してみた。今度は、下書きの段階で確認して貰ったよ。リオン君のオーケーが出たら、色塗り。そして
「かんせーい!」
発売日までに間に合わせる事が出来て、良かったよ。
私が書いたポスター達は、オルランドさんにお願いしてお店に貼って貰った。上手く宣伝出来てると良いなー。
そんな事を思いながら、私はスポーツドリンクと水筒の発売日を迎えたのであった。




