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必要な物

最初の試作から何回か更に試作を重ねて、ようやく基準となるスポーツドリンクが出来上がった。


ー良かったよー!ばんざーい!


そして、今は次の段階に進んでいる。それは、お屋敷の皆さんに飲んで貰う事だ。

私は庭師のお仕事の休憩の時に飲んでいるし、庭師の皆にも飲んで貰っている。皆には高評価を頂いている。やったね!


けれど、その時に分かったんです。スポーツドリンクを作るだけじゃダメな事に!

庭師の小屋には、日本の冷蔵庫にあたる保冷庫があって、そこに入れておこうと思ってたんだ。けど、実際にスポーツドリンクを入れた縦長のガラスの麦茶ポット的な容器を入れようとした途端……。


ーい、入れられなぁーい!?


そう。保冷庫にはドアポケットが無かったのです。何て悲しい現実…。よよよ。

私は、庭師のお仕事をして汗をかいた後に、冷たいスポーツドリンクを飲みたかったのにぃーーー!!!むしろ、自分が飲む為に開発した上でお金が稼げたら、一石二鳥で素晴らしい!!って思ってたのにぃーーー!!!

保冷庫のドアポケットなんて、気にしてなかったよ。はあ。


そこで私はフィオ様とオルランドさんに提案してみる事にした。ドアポケット付きの保冷庫と、保温保冷が出来る水筒を。

そう、水筒も考え付きました!!

それは、『私がドアポケット付きの保冷庫を開発したとして、そしたら庭師小屋にある保冷庫を買い替えて貰えるようにお願いする事になるのかな?』って考えた時に、瞬時に『いや、それは勿体無いでしょう!』という私の貧乏性が発揮されたからだ。


ー買い替えは、壊れてからで良うござんす!


それに、一般家庭では急に買い替えるのも難しいと思うしね。水筒ならそんなに場所を取らないし、保冷庫よりは手軽に買う事が出来ると思う。


でも、問題は作り方だよね。私は2重構造になってる事と内面が鏡である事、そして真空状態にしている事は知っている。この知識だけで、鍛治職人さんは水筒を作り出せるかな?

そして、中栓はどうしたら良いかな?この国にはプラスチックは無さそうだから、中栓は作れなさそうだ。中栓なしの直飲みか、蓋を深くしてコップとして使えるようにしたら良いかな?

あとは、肩ひもだね!これは必要でしょう!肩ひもが付けられる様にして貰わないとならないやー。


私は知識と絵、そして要望を紙に書き出していく。こうしておけば、説明する時に楽チンだもんね!

けれど、私はここまでしておいて、これらに需要があるのか心配になってきた。この世界には魔石があるからね。保温保冷の機能がなくても、常温のものをパッと温めたり冷やしたり出来るのかもしれない。そして、それが普通なら、水筒は売れないと思う。


私だって、魔石を自由自在に使いこなせていたら、水筒に必要性は感じなかったかもしれない。私はまだ魔術の勉強中の修行中の身だから、上手く使いこなせてないし、オルランドさんからも『生活魔道具以外の魔石は使わないように』とのお達しを頂いている。

だから、冷たいスポーツドリンクが飲めないのだ。はあ。残念だよ。

あの、喉が渇いてる時に飲むスポーツドリンクは最高なのに。『生き返るー!』って感じがするのになー。


まあ、私だけで悩んでいても仕方がないね。まずは、フィオ様とオルランドさんに提案して、それぞれ意見を貰えば良いよね。


スポーツドリンクは、夏の暑さがピークを迎える前に売り出せたら良いなと思う。そして、需要があるようなら水筒も同時に売り出せたら尚良い。

まあ、保冷庫のドアポケットは後でも良いだろう。ピーラーも後回しにしても問題はない。

それらを考えると、開発にあまり時間をかけられない。


ーこうしちゃいられない!急いでフィオ様とオルランドさんに提案してみなくっちゃー!


私は急いで紙に思い付く事を全て書き出していく。


「うん!これで良し!」


後は、早く鍛治職人さんが見つかる事を祈らなくちゃならない。まだ良い人が見つからないんだってー。でも、早くしないと夏が終わっちゃうよー。


ー鍛治職人さん、早く来てーーー!!

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