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オルランドさんとの話し合い

フィオ様とのお茶を終えると、私はそっと自分の部屋に戻った。誰にも見つからないように、こっそりと。体調不良で仕事をお休みしている私が、フィオ様の部屋の近くにいたらおかしいからね。こっそり、こっそりと移動していった。


ー気分はまるで忍者だよ。もしくはスパイ。う〜、ドキドキするぅ〜。


無事、誰にも見つからずに部屋に戻れた時にはほっとしたよー。はー、無駄に疲れた…。


☆☆☆☆☆


それから数日した後、仕事終了後に、私はオルランドさんから呼び出しを受けた。今日はフィオ様の帰宅が遅い予定だから、この時間なら良いでしょうって。呼び出された場所は、オルランド部屋!?ではなくて、図書室だった。

図書室は、度々オルランドさんの授業を受けてる所だから、最適な場所だね。


「失礼しまーす」

「どうぞ」

「オルランドさん、早かったんですね」

「ええ」


私はオルランドさんの向かいの席に座った。


「話というのは、前に言っていた商人に関してです」

「はい」

「確か、作りたい物は飲み物と調理器具でしたよね」

「そうです」

「それだと、食料品を扱う商会と金物を扱う商会の2つを紹介しなくてはなりません」

「はあ、そうなんですね?」


話の行き先が分からなくて、私は首を傾げた。一体、オルランドさんは何を言いたいのだろうか。


「この後も何か作る予定はありますか?」

「この後、ですか?そうですねー。今はまだ分かりません。あるかもしれませんし、何も思い浮かばいかもしれない」


私は聞かれるままに答えていく。


「分かりました。ここは、今後も何か作るとして話をすすめていきますね」

「はい」

「もし、次に作ろうとする物が、今回作る物とは違う種類の物だとすると、また違う商会を紹介しなくてはなりません」

「はあ、そうなんですか」

「それは、大変だと思いませんか?」

「思います」


確かに、次から次へと商会を探して貰ったり紹介して貰ったりするのは大変だ。オルランドさんも大変だし、私もたくさん紹介して貰っても覚えられないかも。


「なので、研究室を設立しませんか?」

「研究室、ですか?」

「研究室、というよりも開発室、でしょうかね。つまり、こちらで開発をして、それを商人に売り込んだらどうでしょう?という事です」

「なるほど、よく分かりました」


私は作るのに専念しろって事なのかな?


「了承してくれますか?」

「えっ?あっ、いや。まだまだ分からない事だからなので」

「すみません、そうでしたね。まずは、開発室の場所ですが、開発室はこの屋敷に用意します」

「はあ」

「それで、当面のメンバーですが、メンバーはルーナと私と旦那様と金属を扱える職人の4人になります」

「はっ、はい?今、おかしな名前が聞こえたような気がするんですが…」

「おかしな名前、ですか?」


オルランドさんは心当たりがないというように、首を傾げた。

いや、今、『旦那様』って言ってませんでしたかね?


「あの、今、『旦那様』って聞こえたような気がするんですが…」

「ああ、そう言いましたよ」


オルランドさんは、事も無げにそう答えた。


「旦那様も一緒に開発するんですか?なぜ旦那様が?」

「それは、旦那様が興味を示したからですよ。何でも、『異世界の物を作るのは、興味深い』との事です」

「…そうですか。この間、相談した時には何も仰ってなかったのですけどね」

「きっと、その後で思いつかれたのでしょう」

「なるほど、そうですか」


でも、私、これ以上フィオ様に負担を掛けたくないから、自分でどうにか稼ぎたいと思ってたんだけどなー。そりゃ、ここで何のコネもない私がいきなり物を作るのは大変だし、どうしたら良いか分からなかったから相談したんだけどさー。


私がそういった事を言ったら、オルランドさんは一言言った。


「あきらめて下さい」

「えっ?えっ?」

「旦那様は『やりたい』と仰せです。それに、私は旦那様のやりたい事をサポートする事が仕事ですので」


ーああー!オルランドさんは、フィオ様の執事ですもんねー。

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